因縁深からぬチェス

 小学生の頃だったと思うが、携帯用のチェスセットを買った。多分数百円の物だった。何故買ったのかはわからない。周囲にチェスの出来る人はいなかったし、自分だって特に興味があったわけでもない。セットに同梱されていた説明書で大まかなルールをおぼえたような気がするが、結局それ以上の事はなかった。

 高校の頃、近所の古本屋でチェス・マスター・ブックスのセットを見かけた。六冊セットだったので改訂前の物だ。なんとなく気になったが、部活と格闘ゲームに忙しいうえに小遣いも乏しかったため、売り場を通るたびに背表紙を眺めるにとどまった。

 いつの事かは忘れたが、古本屋でボビー・フィッシャーのチェス入門を買った。タイトルは入門書のようだが中身は初心者向けの問題集で、パズルを解くような感じの暇つぶしになると思ったのだろう。多分ひと通り読んだはずだ。

 ある時、ニコニコ動画のユーザー生放送でチェス教室を見つけた。教室を名乗っているものの、ニコ生なのでみんなで真面目にお勉強といった空気は皆無であったと思う。そこで紹介されたサイトに行き、プログラム相手に何度か遊んだ。それからルイロペスとシシリアンディフェンスという単語だけは憶えた。

 こんな具合に、縁があるのかないのかよくわからないチェスなのだが、今また向かい合っている。きっかけは定かでないが、恐らく本屋に行ったらチェスの本を見かけたとかその程度だ。そしてなんとなく買ったswitch版の銀星チェスに酷い目に遭わされたので、今回はそれに勝つまで続けてみようと思う。

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