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ナイフ製作『森王』その2

『森王』着手を某SNSに書き込んだところ、なんとブレード供給元のWoddsknife社さん公式のアカウントから「いいね!」を頂いてしまった。まあこれで今回の勝手極まりないコラボも公式から認められたということにしておいて(これも勝手だ)作業を進めよう。

先週までに、ブレードの下拵えとマテリアルの「合わせ」を済ませておいたことは先に書いた通り。まず樫材でハンドル形成を行う一本から取り掛かる。


ハンドルのポイント側は先に成型、研磨しておく

張り合わせ前に、ハンドルの前側、刃の根元側を磨く。ここは組み立て後に磨くことができぬからだ。光沢の出具合を見ながら#2000で良しとした。マスキングテープを貼って汚れや傷がつかないように養生。

当初の組み合わせは変更し、これから着手

接着面をアセトンで清拭し、油分や汚れを除去する。使用するボンドはセメダイン社の定番のこれ。硬化後の収縮が少なく、強度についても数値を公表している点でも信頼できるのだ。
最終の点検後、2液を混ぜて塗布し張り合わせ、嵌入、そしてクランプで締める。付着していけない部位にはみ出た接着剤はアセトンで除去。


ギリギリと締め上げられる、やがてナイフに変わるもの

この状態で24時間放置し、ハンドル形成にかかる。楽しい時間の始まりだ。僕はベルトグラインダーも使うが、ハンドツールでゴリゴリやるのを好む。頼もしい相棒をご紹介しよう。


これですよこれ

作業時間が限られているときでも、ハンドル・シェイピングにはこれが欠かせない。素材との対話にも似て、モノづくりの悦びを実感するときだ。実際のところは堅くて硬すぎる樫材にありったけの呪いの言葉を吐きかけ、なかなか進まぬ研削作業そのものに悪態をついている。
ひとつ所を仕上げて別の部位へ、ではなく、全体を少しづつ触りながら素材の中に埋められている道具としての「かたち」を探っている。
さて、大まかな削り出しができたところで、陽当たりのいい庭に出て作業しよう。


まだまだつづく、手仕事

ナイフを以って、ナイフを作る。時々ルーターを回したりベルトサンダーの助けを借りたりしながら、少しづつ削っていく。何度も何度も握っては持ち直し、いろんな使い方を想定して力を入れてみたり、引いてみたり。


このカービングナイフもLauri社製のブレード

樫の木、硬すぎる。ぐぬぬぬぬ。

何度もナイフを革砥に当てながらの作業
#180のペーパーからはじまったところ

ペーパーを当てて磨いていくと、表面の小傷などが浮かび上がってくる。これをひとつひとつ消しながら、形のバランスを探る。握り具合なども何度も確認し、ペーパーの番手を上げていく。これは屋外で、陽光の下でやらないといけない。角度を変え、向きを変え、あらゆる角度から睨みつけて道具としての「かたち」に向き合う。

うつくしい

ある程度形状に納得できるところまでたどり着いたら、表面の光沢を得るための研磨に移る。ペーパーが1000番を超えると、もう粉は出ない。つまり形は変わらない。表面に傷が残されていないか、探しながら磨きながら。

2000番でフィニッシュ、樫独特の模様が美しい

朝、8時過ぎからハンドル形成を始めて4時間。傷ひとつないハンドルをまとったナイフが生まれた。WoodsKnife社のフルタング・ブレードを国産の白樫のハンドル材で挟んだブッシュクラフト・ナイフ、『森王』誕生。

『森王』はいま、オイル漬けになって眠っている

このあと、シース(鞘)の作成、最終的な刃付け(研ぎ)へと続く。


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