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カスタマーサポートより 利用規約に込められた想い

自己紹介

私は現在READYFORのプラットフォームオペレーション部で部長を努めている小寺と申します。カスタマーサポートG、カスタマーサクセスG、(クラウドファンディングの掲載可否をチェックする)審査チームを横断的に見ています。


まずはじめに

サービス利用規約ってどんなイメージでしょうか?利用規約を作ったり、日常的にそれをもとに対応や判断をしている方はそうは思わないと思いますが、一般的な方からすると「堅苦しい文章がたくさん載っているもの」「当たり前のことが書いてあるもの」「理解しなくても特に問題にならないもの」「執拗に同意を求められるもの」くらいだろうと思います。

本記事では、カスタマーサポート業務で自社の利用規約を通じて感じたことをご紹介しながら、利用規約は上記のような無味無臭のものではなく、ちょっとだけ楽しく発見があるものであると思ってもらえることを目指したいと思います。

利用規約を作成する方、法律業務に携わる方からすると「おいおい」と思う部分もありますが、厳密さや正確さよりも、わかりやすさを重視しておりますことご理解ください。

カスタマーサポートと利用規約と私

カスタマーサポートを始めた頃は、マニュアルやサービス理念やコンセプトに照らしてどのような対応が適切なのかを考え、日々の業務にあたっていたと思います。ただ、経験を重ねるにつれて、マニュアルに書いてあるような定形対応ではないものも増え、後輩から相談されたり、判断しなければならないケースも増えていきます。そのような場合でも、これまでのやり方がいきなり通用しなくなるわけではないのですが「属人化」という単語が常に頭をもたげる様になってきます。それと並行して、より一層高度&影響も大きい判断をしないといけないことが多く発生し始めます。

そんな時、幸運なことに、弊社CLOと一緒に弊社の利用規約と向き合う機会が増えました。ユーザー対応を行うときの利用規約の使い方を学ばせていただき、さらには新サービスの利用規約作成も一部で一緒にやらせてもらうこともありました。

利用規約の作成は特に学びが深く、「どんなサービスなのか」「どのように提供したいのか」「守るべきことはなんなのか」など、通り一辺倒テンプレのように見えていた利用規約がサービスそのものに見えるようになりました。サービス提供は全ステークホルダーにとって何かしらのリスクを負っているような状態になります。もっと言えば弊社が提供しているクラウドファンディングサービスは『〇〇をやる資金を集める手段なので使用されるのが未来であり確定事項ではない』ので、特にそのリスクは大きくなります。そのため不確定要素から誰を守るのかなどを入念に検討し、納得感のある整理をしていく作業はとてつもなく大変なものでした。

このような利用規約作成を経験してみると、日頃行っているユーザー対応も自信を持ってできるようになりました。「〇〇のようなサービスだから、〇〇を守るための〇〇というルール(利用規約)があり、それに照らすと〇〇ような対応をさせてもらう」という、思いや思想を込めて納得感が醸成しやすい案内ができるようになったと思います。

そうはいっても、本来はフラットなルールでも、〇〇を守ることが◇◇から見ると不利益になっているようなことも起こるのは世の常、ご愛嬌というところでしょうか。

READYFORの利用規約

READYFORの利用規約をいくつかご紹介いたします。

第3章 実行者に関するルール
第9条(プロジェクト及びリターン)
実行者は、RFに対し、プロジェクトページの内容に従ってプロジェクトを実行し、また、リターンを提供することについて以下の各事項が真実かつ正確であることを表明し、保証するものとします。
① 関係法令に違反せず、また、違反するおそれがない(必要な許認可等が存在する場合、当該許認可等を取得できる具体的な見込みが存在する)こと。
② 第三者の著作権、肖像権・パブリシティ権、プライバシー、名誉・信用その他の権利を侵害せず、また、侵害するおそれがない(権利者の承諾など必要な権利処理が存在する場合、当該権利処理を実施できる具体的な見込みが存在する)こと。
③ 第三者との間で締結している契約や実行者に適用される規則、規程等に違反せず、また、違反するおそれがないこと。
④ プロジェクトページに明示した事項を除き、プロジェクトを実行できず、又はリターンを提供できない具体的なおそれが生じていないこと。

READYFOR 利用規約

これは一見、実行者(クラウドファンディングでお金を集める方)を締め付けるように受け取ることもできますが、「これから新しいことをやるケースも存在する」「手軽さから思い立ったが吉日的に始めようとしてしまうケースも存在する」というクラウドファンディングの特徴から生まれる(プロジェクトやリターンができなくなってしまうなど)リスクから、支援者(お金の出し手)を守るために設定しています。

第5章 支援者に関するルール
第30条(支援時の留意事項)
1. 支援者は、プロジェクトページの内容を十分に理解し、かつ、将来のプロジェクトの実行やリターンの提供が一定のリスク、不確実性を伴うことを理解した上で、自己責任でクラウドファンディングに対する支援を行うものとします。

READYFOR 利用規約

クラウドファンディングというサービスの一定の不確実性を表現した条項で、実行者側(未来に発生すること)を守るような主旨です。原則的にはプロジェクトやリターンは履行されることが前提となっておりますが、それでもなおこのような文言が規約に入ってくるのは「らしさ」があって、個人としては好きな条項です。


上記のようなもの以外にも「未来に向けた」「個人の思いと個人の思いをつなげる」という色の強いサービスであるからこそ存在するような条項もたくさんあるので、興味があればぜひご覧ください。

最後に

利用規約雛形などたくさん世の中にあふれているので、すべての利用規約が思想が込められたものではないかも知れません。また、本来の目的は適切にサービスをご利用いただき利用者も自社も守ることだとするとそれも仕方ないことだと思います。
ただ、とてもとても魅力的な利用規約もたくさんありますので、気になるサービスは利用規約も読んで見たり、サービスを比較するときは比較サイトやそれぞれのサービス紹介ページだけでなく規約を見てみるなんて楽しみ方もできるのではないかなと思っています。

もし、このサービスの規約は色が出ていて面白いよ!とかおすすめがあればぜひ教えて下さい。

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