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【シャニマス番外編】ライブ会場でアイドルが吐いた息を俺たちがどのくらい吸えるか調べてみた。

突然だが、皆さんはライブ会場で「アイドルと同じ空気を吸っている….!!!」などという感想を抱いたことがあるだろうか。
これがキモいかエモいかはさておき、実際にどのくらい同じ空気を吸っているかを定量的に調べてみたくなるのが理系大学生の好奇心である。下心は世界を救うのだ。よって表題の通り、ライブ会場でアイドルが吐いた空気の量を評価してみた

なお、大学院生のテキトーなレポート課題の産物であるのでクオリティはご容赦頂きたい。


想定する会場

今回はつい先日行われた6th大阪の会場である大阪城ホールを元に計算を行う。
この理由として、

  1.  直近で足を運んだ会場であり、舞台のセットやアイドルの配置を覚えている

  2.  今後開催されるライブ会場のキャパに近く、以降の参考になる

  3.  拝啓タイムカプセルが素晴らしかったから

という3点が挙げられる。

1.については特にアリーナの組み方はライブによって変化することから記憶に新しい会場を選択した。
2.に関しては城ホのキャパがおそらく10,000人+αほどであり、今後のシャニマス単独のライブはしばらくこの規模の箱で開催される可能性が高い。

3. こいひなが尊かった

ここで計算の条件として今回は二次元平面の息の拡散を計算する。
つまりは高さ方向への拡散を考慮せず、一つの面を広がる様子を調べてみた。よって航空写真から城ホの敷地面積を入手し、それを元に計算する必要がある。
したがってフリーの画像解析ソフトである「ImageJ」を用いることで航空写真の縮尺を基準とし、フリーハンドによる城ホの囲いこみによって敷地面積が10,449[㎡]であると推定された。

ガバガバなフリーハンドは許して

この敷地面積を元にMicrosoft Excelのスプレッドシート上に城ホを再現した(下画像)。ここで緑色がスタンド席、黄色がアリーナ席、灰色部分が舞台である。

このときセルの大きさは縦横を1mと仮定し、合計10,330セルの配置をした。これは先述の推定面積である10,449という値に及ばないが、誤差1%ほどであることやガバガバフリーハンドの推定面積であること、エクセル上で円形を表現する難易度を考慮すると無視できる誤差である(多分)。

エクセル上の城ホ

計算式


方程式が「嫌になっちゃうな〜」という方は計算結果まで飛ばして頂きたいセクションである。

今回用いた計算式は以下の拡散方程式である。

なんなんすかね、これ

端的に言うと左辺が時間の変化を表しており、右辺は息が広がる様子を示す。
ここでkは空気の拡散係数である2.0×10^(-5)[㎡/s]を用いて、今回は中心差分で解いた。
Δtだけ時間を進めたときにfnからfn+1に吐いた息の量が変化する(数式の表現がnoteだと難しいので許して)。
また、(x, y) = (i, j)で表現したときに以下のように式が変形される。

ここで先述の条件からΔx = Δy = 1[m]とし、fn+1について整理する。

これはある(i,j)という地点においてΔtだけ進んだとき、届いた息の量がfn+1であるということを左辺が示す。一方で右辺は同地点に元々存在した息の量fnに加え、拡散係数kとΔt、() 内の量をかけたものを足した量を示す。() 内は時間nにおけるfi,jの周りのセル4つを足し、そこから4×fi,jを引いたものである。
このように考えると意外と簡単な計算式になっている。

計算条件

肝心な計算条件であるが、今回は「Spread the Wings!!」の披露に焦点を当てて計算を行う。「Spread the Wings!!」は全体曲であり配置できる演者の数が多くなる。より息の広がりが顕著で最も息を吸うチャンスがある楽曲と言える。この時のアイドルの配置は下図の赤色のセルである。

26人しかアイドルが配置していないのはDay1の再現ではなく、単純に覚えていないので大体等間隔になるように配置した(?)。
また、ここでアイドルのセルには100(%)という値を初期条件として与え、城ホの外周には境界条件として0(%)を与えた。
そして「Spread the Wings!!」はブラジルアレンジではあるものの、full尺は原曲と同じとして5分10秒まで計算をした。このときのΔt = 10[s]である。

多分、これが一番正確だと思います。

計算結果

様々な前提条件を設定したこともあり、ここで計算結果の前に一度条件を確認しよう。

  1. 会場を大阪城ホールに設定し、真上から見下ろした時の平面で計算する

  2. 方程式を解いて時間変化で拡散する息の量を決定する

  3. アイドル26人で「Spread the Wings!!」を披露しているときの息の拡散を計算する。


なんとなく上記3点を頭に入れて頂けたようであれば幸いである。
では計算後の実際に60秒ごとに息が拡散する様子を見てみよう。
(値によって色づけする機能を使う関係で先ほどの色付けしたスタンド、アリーナ、ステージの区別がつかないが許して)

おお〜(KONAMI感)

息の量はアイドルを配置したセルである赤色が最も大きく、黄色、緑色と段々小さくなるように設定した。
180秒後には黄色部分が会場の半分を占め、順調に息の拡散がされた。
一方で240秒後→310秒後(曲終了)の期間で息の拡散は緩やかになった印象を受ける。これは距離が遠くなるほど指数関数的に拡散が難しくなるためである(つまりは距離が少し遠くなるだけでも息が劇的に届きにくくなるということである)。

考察

吐いた息の量(呼吸量)の計算


では息の拡散の様子が計算で求められたのでここからは実際に吐いた息の量を求め、ある席における息の届く量がどれほどかを評価してみる
これは初期条件ではアイドルの息の量を設定せずに「100%中、何%がこの位置に届く」という計算しか行っていないからだ。

早速「Spread the Wings!!」披露時の吐いた息の量を計算してみよう。

引用元:中外製薬株式会社, “肺胞 - からだとくすりのはなし"

安静時の成人は1回の呼吸で約500mlの空気を吸い込む。これはペットボトル1本分に相当し、1分間の呼吸回数は約15~20回に及ぶ。一方で運動時には呼吸量が増加し、1分間で50Lもの呼吸をする。

よって「Spread the Wings!!」の披露時間を5分10秒と設定したことからこの曲で吐き出される息の量は、

50000[ml/1分間] × (310/60)[分] = 258333.3 [ml]

ではこれを元にある席における届いた息の量を計算しよう。

考察1 ずーぺの席の場合

手始めに私、ずーぺの席の場合の計算を行う。
6th大阪Day1は見切れ席だったため、下の画像の ( i ) に該当すると思われる。
メインステージの上手側のスタンド席であり、かなり演者とは近い印象を受けた。
私の席に最も近いアイドルは約8mほどの席であったが計算によって出された届いた息の割合は、3.757 × 10^(-30) [%] であった(10^x は10のx乗の略とする)。

気を取り直して先ほど求めた息の量と掛け合わせると、

258333.3 × 3.757 × 10^(-30) ÷ 100 = 9.707 ×10^(-30) [ml]

これが本当の「微粒子レベルに存在していそう」、という冗談かと思いきや実際に水素原子の半径を5.3 × 10^(-9) [cm] として水素原子の球の体積を算出することを考えると、球の体積は半径の3乗を用いることから10のマイナス27乗ほどの値になりそうである。

なんと届いた息は水素原子より数10、数100倍小さい(というか届かないであろう)。

今回は想定した系に息を吸うような換気設備や人を配置していないことから実際の会場ではこのような少量の息は前方のオタクに吸われて夢が叶うことはないだろう。
ずーぺの夢はここで覚めるのであった。

アスファルトが見やすい席

考察2 最前席

いや、まだだ。まだずーぺの夢は終わっていない。
古屋 真さんに言わせればシャボン玉色の夢は終わらないのである。

私の、我々の夢をこの最前席の計算結果で導こうではないか。

今回の最前席はアリーナではなく、メインステージから伸びるサイドステージに面するスタンド席に設定した。
これは演者から1~2mほどの距離の席であり、おそらくこれ以降のライブでこれほど至近距離でアイドルを拝めることはないであろう。

ついでにこの席は計算条件との相性も良く、今回の計算の穴となる高さ方向の拡散を無視できる点や換気、周りの人の呼吸といった部分をカバーできるほど近距離である。

前置きは以上にして実際に息が届いた割合は、0.001817(%)であった。
この時点では非常に小さい値に思えるが、先述の私の席と比較すると非常に高い印象も持てる。では早速呼吸量を算出してみる。

258333.3 × 0.001817 ÷ 100 = 4.695 [ml]

これは小さじ1杯にギリギリ及ばないほどの量であるが、やはり最前席ではこれほどの息が吸えるのであった!!!

小さじ1杯であっても息が届きうる可能性を定量的に確かめられたことは今後のプロデュースに活かせることであろう。
また小さじ1杯という量はある種の隠し味のようであり、納得がいった(?)。

結び

まず、このような駄文を長々と書き、それを読んで頂いた方には感謝を。
くだらないことに全力を出してしまうのが性分なのである。

また、今回の計算は大学院生が講義の課題で解いた簡単な微分方程式とエクセル、そしてガバガバ条件を使ったもので信頼性はそこまで高くない。
先述の通り距離が遠くなればなるほど息が届きにくくなることや高さ方向の計算をしていない点、換気扇や人の呼吸だけでなく、アイドルやPの動きによって生じる対流、温度勾配など気体に作用する要素はごまんとある。
私自身、流体力学に関する研究をしていなくともこれほど考慮する要素があり、その筋の専門家がこの記事を見た日には鼻で笑われるであろう。

しかしながら、白ヒゲではないが最前席レベルであれば息が届きそうだと示すことは出来た。
最前でなくとも、今回の計算では1曲分のみを行ったので披露する曲数が多くなれば息の届く量も比例して多くなるだろう。最近では1公演で30曲も披露することが多く、全体曲ばかりではない分、アイドルの配置にも問題はありそうだが、それでも席によっては2回、3回と近い距離でパフォーマンスを見ることはありそうだ。
みなさんは夢を見ることが出来ただろうか。

今後の座席ガシャでは「何%の息が届きそう」と少し思い出して頂ければずーぺは嬉しい。



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