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日本映画『PLAN75』

8/19(金)吉祥寺アップリンクで「PLAN75」見てきました。前にCMか何かで見てずっと見たいと思っていた映画です。
素晴らしい映画でした。みんなに見て欲しいと思う作品です。

今より高齢化が進み、老人を支える社会保障費が若い世代の大きな負担となっている、いつかの日本。老人ホームが襲われ高齢者が殺されるような事件も起き、大きな反対がありながらも「プラン75」という制度が施行されます。それは75歳以上の高齢者を対象に、自身の安楽死の選択を認め支援する制度。主人公の78歳のミチは夫に先立たれ子供もおらず、ホテルの清掃員として働いています。ある日、一緒に働く同じく高齢の友人が職場で倒れ、その煽りを受けてホテルを解雇されてしまいます。住んでいるアパートも取り壊しのため退去日が迫っている。友人の死なども重なり、プラン75への申し込みを決めます。プラン75の申請窓口担当の市役所職員やコールセンタースタッフ、関連施設で働くフィリピン人女性など、プラン75の周りで関わる人々のそれぞれの視点で物語は進んでいきます。

本当にありそうな未来の話です。冒頭老人ホーム襲撃の場面がありますが、以前あった障害者施設が襲撃された大量殺人事件を彷彿とさせます。このまま高齢化が進んで社会の負担が増えていき、高齢者を排斥するような空気になってくるとこんな世界もあるかもしれません。この映画の世界ではプラン75があることで、「この人は75過ぎてても死なないんだ」というような社会の空気が出来ているのでしょう。劇中で病院に行って血圧を測っている場面で「こういうところも来づらくなったわね。長生きしたがってるみたいで。」という言葉が印象的でした。

映画を見ている間、自分の老後のことをずっと考えてしまいました。定年がどんどん延び、年金受給年齢も更に延びる、あっても十分な年金額はもらえない。子供も伴侶もおらず、ずっと働かなくてはいけない、でも排斥され働き口もない、そうなった時、いつまでも生きる事に希望を持てるか。60まで働くと考えても、その後数十年生きていかなければいけないわけです。それならば、終わりを決めた方が楽に生きていけるかもしれません。劇中でもプランに積極的に申し込む人が結構出てきます。どの人も生活が苦しそうな孤独な人たちです。老後への備えというのが本当に重要だと思いました。

これからの日本、これからの老後を考えるきっかけになるような映画かと思います。

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