私が30万円を失った日
たった1日の出来事が、私の投資人生を大きく変えました。嬉しさから悔しさ、そして反省へと続いたこの経験が、投資初心者の方々にどんなヒントを与えられるか分かりませんが…最後まで読んでいただけると幸いです。
1. 初めての利益に浮かれる私
平日の仕事帰り、いつものように立ち寄ったカフェで、一杯のカフェラテを片手にスマホを眺めていました。
最近始めたばかりのFX。
まだ利益なんて期待していなかったので、なんとなくスマホの画面をタップしながらチャートを見ているだけの日常でした。
その日も、軽い気持ちでそろそろ取引をしてみようかな…、何気なくスマホを操作し、通貨ペアを選んで買い注文をポチッと。特に深く考えるわけでもなく、「ちょっと増えたらラッキー」くらいの感覚で初めていました。
しばらくして、トレード結果を確認してみると、+3,000円という数字が目に飛び込んできました。
「えっ、これって勝てた?」
豪華なのランチ代くらいの金額ですが、仕事をして稼いだお金ではなく、ただスマホを触っただけで得たという事実が信じられず、思わず何度も画面を見返しました。
それから数日後、また同じように軽い気持ちで取引してみると、今度は+5,000円。そして次は+10,000円。気づけば、カフェでトレードをするのが私の日課になっていました。
そんなある日、トータルの利益を計算してみると、+30,000円に達していました。3万円といえば、仕事で頑張ったとしても、月末の残業代にやっと加算されるくらいの金額です。それが、たった数回の取引で得られたのです。
「すごい…私、才能あるんじゃない?」
そんな思いが頭をよぎりました。そして、次第に「これをもっと増やしたらどうなるんだろう?」と考えるように。
その後も順調に利益は伸び、+50,000円、+100,000円と数字が増えていくたびに、心の中で小さなガッツポーズを繰り返していました。そしてついに、トータルで+300,000円近くの利益を到達したのです。
そこから少し私の中で変わり始めた意識がありました。
30万円。普段の生活では、なかなか手にできない金額です。それが、短期間で自分のものになったという事実に、私はすっかり浮かれてしまっていました。
「こんなに簡単に稼げるなんて、もっとやらないともったいない!」
次第に、私は「仕事のお給料」よりも「投資の利益」に期待を寄せるようになっていました。そして、いつの間にか投資が私の生活の一部に溶け込み、勝つたびに快感に浸っていました。
でも、その快感は危険な罠だったんです…。
2. 失敗の瞬間:すべてが一瞬で消えた日
その日は平日の夜でした。仕事から帰り、いつものように夕飯を済ませてPCの前に座ると、相場が大きく動いているのを見つけました。
スマホの通知で見た「円安が加速中」のニュースに胸が高鳴ります。
「これ、チャンスかも…」
気づけば、チャートを見つめる私の指は自然とマウスを動かしていました。
頭の中では理屈を組み立てていました。
直近のトレンドは上向きだし、ここで大きく張れば確実に利益が出るはずだ。少し前に得た30万円がある。この利益をさらに増やして、もっと自由になりたい——そんな考えが頭を支配していました。
でも、本当は分かっていたんです。これは「賭け」だって…。だけど、そんな冷静な声は欲望の波にかき消されてしまいました。
最初の兆候は突然やってきました。
エントリーしてしばらくすると途端にチャートが急激に逆方向へ動き始めたんです。
「えっ?なんで?」
目の前で赤い数字がみるみる大きくなっていきます。含み損が増えるたび、画面の中の数字が現実の金額だという感覚が薄れていきました。ただのゲームみたいに見えるのに、頭の中では警報が鳴り響いていました。
私は必死で「…戻るはず」と自分に言い聞かせ、損切りを躊躇しました。指先がキーボードに触れるたびに止まり、心臓はバクバクと音を立てていました。
そして、最後の一撃が訪れます。
わずかな希望を抱いていたチャートが叶わず、完全に跳ねてシステムが強制ロスカットを実行しました。
「ピーッ!」
無機質な警告音が響く中、画面に浮かぶ数字はゼロ。利益どころか、今までの積み上げがすべて消えていました。
「嘘でしょ…」
気づけば椅子に深くもたれかかり、放心状態の私がいました。頭の中は真っ白で、何を考えればいいのかもわからない。手は震え、何度も画面をリロードしては同じ数字を見つめていました。
一瞬で吹き飛んだ30万円。時計を見ると、ほんの数分の出来事でした。数カ月かけて得た利益が、たったこれだけの時間で消えてしまったのです。
その夜は眠れませんでした。ベッドに入っても目を閉じるたび、赤く点滅する数字と、警告音が耳の奥に響いてきます。「あのとき損切りしていれば」「もっと小さな金額にしておけば」——後悔が押し寄せ、胸の奥がずっと締めつけられるようでした。
3. 反省:浮かれた私が気づいたこと
翌朝、カーテンの隙間から差し込む光で目が覚めましたが、体は鉛のように重く感じました。起きると同時に思い出すのは、昨夜の出来事。夢だったらどれほど良かっただろう、と一瞬思いましたが、現実は容赦なく、パソコンの画面に残る数字がそれを証明していました。
「30万円…全部なくなったんだ…」
放心状態でリビングの椅子に座り込み、ぼんやりとした頭で考えました。なぜこんなことになったのか?どうしてあのとき冷静になれなかったのか?
スマホを手に取り、過去の取引履歴を見返してみました。一つひとつのエントリーを見ると、あまりにも感情に振り回されていた自分が浮き彫りになってきました。
・「もっといける!」という自信過剰。
・「取り返さなきゃ!」という焦り。
・「一気に挽回するんだ!」という欲望。
これらが積み重なり、私を破滅へと導いていたのです。
✔︎冷静さを取り戻すためにやったこと
私はまずは紙のノートを一冊取り出しました。画面ばかり見ていても落ち着かないので、手を動かして頭を整理するためです。
1ページ目に大きく書いたのは、「なぜ負けたのか?」という言葉。そこから思いつく限りの理由を書き出していきました。
・リスク管理をしていなかった。
・損切りのタイミングを決めていなかった。
・ルールを持たず、相場に振り回されていた。
ノートにペンを走らせるたび、心の中が少しずつ整理されていく感覚がありました。そして気づきました。
「私は、自分の感情に振り回されていたんだ」と。
30万円を失ったショックは大きかったけれど、その経験が私にとって一つの転機になりました。それまで「利益を出すこと」だけに集中していた私が、初めて「リスクを管理すること」の大切さを知った瞬間だったのです。
また、投資をする上で自分自身と向き合うことの重要性にも気づきました。FXのチャートだけでなく、自分の中にある「欲」「不安」「焦り」——これらもまた、投資の結果を左右する大きな要素なのだと感じました。
この反省ノートをつけ始めてから、私は取引のルールを決めることにしました。
✔︎自分なりの取引のルール
・一回の取引で失う金額を、自由資金の2%以内に抑える。
・必ず損切りラインを設定しておく。
・感情的になったときは取引を中断する。
こうしたルールを守ることで、少しずつ「投資の土台」を作っていくことができるようになったと思います。
4. まとめ:私が学んだこと
30万円を失ったあの日、私は投資の怖さと同時にその可能性を改めて感じました。軽い気持ちで始めた投資が、たった1日の判断ミスでこんなにも大きなダメージを与えるとは想像もしていませんでした。でも、あの失敗がなかったら、私は投資の本質に気づけなかったかもしれません。
投資をする上で大切なのは、「増やすこと」だけを目指さないことだと思います。それよりも、資産を守りながら少しずつ増やしていく。そういう堅実な考え方を持つことが、長く続けるためのコツだと今は思っています。
正直、最初は焦りや後悔ばかりでした。でも、冷静に振り返ると、あの30万円は「未来の自分に必要な授業料」だったのかもしれません。
✔︎私が気づいた3つのポイント
この経験を通して、特に重要だと思ったことを3つにまとめてみます。
1. 「感情」は投資の最大の敵
投資は数字との戦いであると同時に、自分の感情との戦いです。利益が出たときの浮かれた気持ち、損をしたときの焦りや不安。それらに振り回されると冷静な判断ができなくなり…失敗する。
2. 「リスク管理」がすべてを決める
投資は未来予測のゲームではなく、いかにリスクをコントロールするかが大切です。私はそれを知らず、利益を追い求めることばかり考えていました。でも、損を最小限に抑える術を知ることが、投資を続ける上で一番重要だと学びました。
3. 「小さな成功」を積み重ねる心構え
投資はマラソンのようなものです。一気にゴールを目指すのではなく、一歩一歩前進することが大切。日々の小さな成功を積み重ねることで、結果的に大きなリターンになると思っています。
読者さまへ
この記事を読んでいる方の中には、「私には投資なんて無理」と感じている方もいるかもしれません。でも、最初はみんな初心者です。私だって、最初の一歩を踏み出すときは不安でいっぱいでした。
大切なのは、失敗を恐れないこと。失敗は成長のチャンスです。もちろん、大きなリスクを取る必要はありません。少額から始め、少しずつ経験を積んでいけばいいのです。
投資は、自分の人生を豊かにするための手段の一つです。でも、焦らず、欲張らず、まずは「学ぶこと」を優先してください。そして、楽しむことも忘れずに。
私の失敗が、これから投資を始めるあなたのヒントになれば嬉しいです・゚・(ノД`;)・゚・
最後まで読んでいただきありがとうございました。