居酒屋の娘の恋
昭和50年、板橋の商店街に
47歳の女将が経営する居酒屋があり、大繁殖していた。
女将は美人で愛嬌があり、料理が上手である。
料理はお惣菜だけでなく、定食ものも扱っていたので、会社帰りのサラリーマンにも人気の店だった。
それだけで無く、23歳の美人な娘が、店を午後9時位まで手伝い、接客にあたった。
酒よりも娘目当てに通う独身男どももいた。
娘は、客と談話しながら、大きめのお猪口に酌をする。
その微笑みが男にとって眩しく、酒はグイグイ進んだ。
娘は、テーブルやカウンターを飛び回り、酌をした。
ある日のこと、イケメンの坂田が来店し、カウンターの片隅に座った。
坂田は独身の25歳、店から徒歩で10分以下のアパートに住んでいた。
独身にしては割と広い2K風呂付きである。
ちょっと仕事帰りに飯でも食おうかと初めて立ち寄ったのであるが、一目で娘が気に入り、それから居酒屋に通い始めた。
坂田は巧みな話術で、娘の気を引いた。
娘の心は、次第に坂田に惹かれるようになった。
1ヶ月も通ううちに、坂田は娘に、自分のアパートに来ないかと誘った。
娘はコクリとうなづいた。
坂田は、娘の仕事が終わる午後9時前に、お勘定を済ませ
店外で、娘が出てくるのを待った。
そして、二人はアパートに消えた。
二人は、サントリーロイヤルのストレートを飲みながら
坂田は娘を愛撫した。
娘のおしりは大きく、後から
舌で攻めたりいたしたり。
娘は、長い髪を振り乱しうめき声をあげた。
そんな夜を重ねて、娘はすっかり女房気取りになり、坂田からアパートのスペアキーを受け取り、昼間に部屋の掃除をしたり、洗濯にと、坂田の面倒をみだした。
ある日の午後、娘はいつものようにスペアキーで坂田のアパートの鍵を開けて、部屋掃除を始めた。
タンスの整理を始めた時、タンスの奥底に一通の封書が大事そうにしまわれていた。
中を開けて見ると、それは男からのラブレターであった。
娘は悟った。
当時、ホモやレズビアンは異常性愛者として、変質者扱いされていた。
その手紙に添え、別れの手紙をテーブルに置き、娘はアパートの外に出た。
そして、ポストにスペアキーを投げ入れた。
「さよなら!」
娘は悔し涙を流していた。
完
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