見出し画像

さよならピアノ


リビングにあったピアノ


妻は独身時代、貯金をして
ピアノを買いました。
ローンも組んだそうです。
低賃金だったので
さぞや苦しかった事でしょう。

実家に置いていた時代は
邪魔者扱いされていました。

私は上福岡(今はふじみ野市)に小さなマイホームを
持っていました。
51歳で交通事故で亡くなった父の保険金をあてて購入
しました。

妻と知り合い、結婚したのですが、嫁入道具は
ピアノとタンス3点セット
でした。
タンスは整理箪笥、洋服箪笥、和箪笥で桜の木でできたまるで武家屋敷で使うような
重厚なものでした。
それに和箪笥には一度も袖を通していない
和服が満載されていました。
これは義母の命令だそうです。


昭和の頃は、嫁入り道具は
必需品でした。
古いですね。

一応3DKでしたが
一室はタンスとピアノに
占領されました。

2児が誕生後
妻や長男が気管支系の発症
から、空気の綺麗で日当たりがよく、広い部屋のある
毛呂山町に引っ越ししました。
ここにはピアノ専用設置スペースがあり、床は耐圧ボードが設置されています。

しかし、ピアノはほとんど使用しませんでした。
騒音の問題があるからですね。


妻は書道の師範を獲得した時点で、ある先生から勧められ、小学生を集めて
「春香書道塾」を開く決心を
しました。

リビングは8畳ですが
書道塾を開くには
ピアノは邪魔で、一大決心
をして処分しました。

そのあと、心にポッカリと
穴があきました。

「独身時代から大切にして、嫁入道具までしたピアノが無い!」

その後、急速に体調を崩し
書道塾は諦めました。

まぼろしの書道塾。

妻の為にせめてもの慰めが
UFOキャッチャー書道塾ですが、これは春香のチョッピリ本音です。


思い切り
嫁入道具を
処分する
書道塾の為
さよならピアノ

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?