本を乗せて
子どものころ、小公女セーラが好きだった。
本も好きだったけれど、テレビでアニメも放映されていたので、そちらも熱心に見ていた。
当時見ていたアニメのなかに、セーラ達が学校の授業で、本を頭に乗せて歩く練習をするシーンがあって、物語の筋とは直接関わりないところなのに、妙に印象に残った。
大人になってから、しばらく忘れていたのだけれど、少し前にNHKで放映されていた「アンという名の少女」で、ダイアナと妹のミニー・メイが、自宅で本を頭に乗せて歩く練習をしていて、小公女セーラのあのシーンを、久しぶりに思い出したのだった。
貴婦人になるためには、頭が揺れないように、しずしずと歩く必要があるようだ。
レディの道は、険しそう。小さいうちから、訓練するんだなあ。
今、能のお稽古で、摺り足の練習をしている。
丹田に力を入れて、上半身が揺れないよう、腰で運ぶ、というのだけれど、とても難しい。やたらと上半身に力が入って、よろよろする。優雅とは程遠い。
国も時代も違うけれど、セーラとダイアナのことを、思い出す。
古今東西、美しい歩き方とは、上半身を揺らさないことなのかもしれない。
私も、本を落とさずに歩けるようになりたいな。
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