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まだ飛べる?

毎日暑くて、もう溶けそう。
それでも日常は続き、週末はやってくる。

週末のお楽しみ、能の仕舞のお稽古で、
「まだ若いから、飛べるでしょ?」
と先生に言われ、思わずえっ、と声がでた。

そもそも、もう若くない。
とはいえ、お稽古場では最年少だから、若くないですとは言いづらい。

でも、相対的に若いとはいえ、人一倍運動音痴の私が、飛べるとは思えない。

飛べる、というのは、未来に羽ばたけるとかそういう意味ではなく、仕舞の型の一つ「飛び返り」に挑戦できるという意味だ。
くるっと回転して飛び上がり、片膝をついて鮮やかに着地する。プロの仕舞を観に行くと、これがとてもかっこいい。

この型が出てくる竹生島の仕舞を、今度の発表会に向けて、これから練習することになった。
竹生島はちょうど謡も練習しているから、いつか仕舞もやってみたいと思っていたけれど、こんなに急に挑むことになるとは…不安しかない。

とはいえ、選り好みする立場ではない。
師匠が自分にやれと言ったからにはできるはずだと信じて、死に物狂いで稽古するだけと、安田登さんの本(「能」・新潮新書)にもあった。

それにしても、まさか四十にして飛ぶとは。
人生は、何が起こるか分からない。

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