父のオットマン

先日のnoteに、実家におきっぱなしになっている一人掛けソファのことを書いたら、いろいろと思い出がよみがえったので、記録しておこうと思う。

昔、仕事で東京を離れていたころ、近所に素敵な家具屋さんがあった。
通るたびに見ていたら、二階もありますよと声をかけられ、上がった先に、そのソファがあったのだった。
木製の大きな枠組みにロイヤルブルーのクッションが置かれて、ヘッドレストの弾力が心地よく、両手を置く部分の木が、すべすべとして気持ちいい。
オットマンは別売りなので迷ったけれど、あるとないとでは快適さが格段に違う。
いずれ東京の狭い家に戻らなくてはならないことも忘れて、買ってしまった。

母に写真を送ったら、「お父さんの椅子に似てるね」と言われた。
そういえば、そうだった。

こどものころ、父がいつも寝そべっていた一人掛けの椅子。二つに折り畳めて、藍色の薄い布が張られていて、オットマンがついていた。

ずいぶん前になくなっていたから、どこかの引っ越しのタイミングで処分したのだろう。
ソファを買ってきた時には気がつかなかったけれど、あんなに心ひかれたのは、幼いころの思い出と重なったからかもしれない。
思い出って不思議。

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