冬の寒さに
すっかり寒くなった。
11月ももう終わるのだから当たり前なのだけれど、暖かい日が続いていたので、急な寒さがこたえる。
年々、寒さが苦手になっている気がする。
そんなときは、南木佳士さんのエッセイ集「生きてるかい?」を思い出す。
南木さんの勤める長野の病院では、寒くなると、高齢の通院者さんが、「こんなにさぶい日ばっかりつづきゃあ凍み(しみ)死んじまうよ」と言う。
東京の冬で、凍み死ぬことはないだろうけれど、寒くなると、命が縮んでいくような気がする。
昔、夜遅くに会社を出て、小雪の舞うなか、ずっとバスを待っていたことがあった。
そのうち心がしーんとして、ぽろぽろぽろぽろ、涙がこぼれた。バスに乗っても電車に乗り換えても、涙は止まらなかった。
寒さが怖くなったのは、その頃からかもしれない。
今夜は、暖かくして眠ろう。
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