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つもり、があれば

赤毛のアンには、印象的な言葉がたくさん出てくる。
大人になってから読み返すと、一つ一つの言葉が心に沁みる。

アンがマリラに問われて、自分の生い立ちを語ったとき、マリラは、孤児となったアンを引き取った掃除婦のトーマス夫人や、アンをこどもの世話に使っていたハモンド夫人が、アンによくしてくれたかどうか尋ねる。
アンは口ごもり、答える。

あの、二人とも、そのつもりはあったのよ…できるだけ優しくするつもりだったって、私にはわかるの。他の人が親切にしようと思ってくれたなら、必ずしもいつもそうならなくても、あまり気にしないわ。だっておばさんたちには苦労が多かったもの。お酒呑みの旦那さんがいたり、双子が続けて三組もいたら、大変でしょう?でもおばさんたちは、私に優しくするつもりだったのよ。私にはちゃんとわかるの

モンゴメリ「赤毛のアン」松本侑子訳・文春文庫

生後3ヶ月で孤児となった赤の他人のアンを育ててくれたトーマス夫人は、元々は優しい人だったのだろう。
大人も、余裕がない。たくさんの責任を抱えきれなくて、つい弱い者に牙をむいてしまうこともあるだろう。
それを分かってあげられるアンは偉大だ。

折に触れて、読み返したい。



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