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女性だけのものじゃない!男性にも知ってほしいHPVワクチンの話

今日は私たちの研究テーマの一つ、「ワクチン」の話をします。

今、男性も注目すべきワクチンとは何か、ずばりHPVワクチンです!

このワクチンは、子宮頸がんの主要な原因とされるHPVを防ぐためのものですが、実は男性にも見過ごされているリスクがあるのです。
(PDF) A call for bridging gender gap in HPV vaccination policies in Japan (researchgate.net)

本当は怖いヒトパピローマウイルス

ヒトパピローマウイルス(HPV)は、子宮頸がんの主要な原因となることは聞いたことがある方もいるかもしれません。でも、実はこの問題は女性だけのものではありません。男性にとっても、HPVは咽頭がん、肛門がんなど種々のがんの一因となり得ます。じゃあワクチンを打って予防しよう!と、すぐにならないのにはワケがあります。

というのも、現状はHPVワクチン接種は3回接種がデフォルト。男性に対する補助はないことが普通であり、完遂には半年ほどの期間と、合計5~10万円ほどの費用が必要になります。

現状、ワクチン接種は、3回のスケジュールで行われます。でも、「3回も打たなきゃいけないの?」と思う人もいるでしょう。私です。

さらに、「5〜10万円もかけてまで打つべきなの?」と疑問を感じる人もいるかもしれません。これも私です。

そこまでしてワクチン打つ必要あるんかいな?って疑問に思いますよね。

すみません、打ってないです😭

世界で増えている男性のHPV関連疾患

1975年から2014年までの約40年間で、米国における口腔咽頭がんの発生率は57.3%増加し、オーストラリア、カナダ、日本などの先進国の男性でも同様の傾向が報告されています。そして、このうちの7割は、HPV感染によるものだと推定されています。

また、HPV感染を背景とする尖圭コンジローマの有病率も、アメリカでは~2000万人と推定されています。日本でも厚生労働省の報告によると、2011年以降増加傾向にあり、2020年には5,685人の患者が報告されています。

このような傾向を受け、アメリカやイギリス、オーストラリアなどの国々では、既に男性向けのHPVワクチン接種が推奨され、集団接種や無料接種といった取り組みが進んでいます。これらの国々では、HPVワクチンの接種が、男性自身だけでなく、パートナーを守るための重要な手段として認識されています。

医師国家試験でも問われる重要知識です

日本のHPVワクチン接種の現在地は?

日本では、男性のHPVワクチン接種に対する取り組みがまだ足りないと言えます。政府が2020年に男性をHPVワクチン接種戦略に含めると宣言したものの、実際の実施プロセスはまだ不十分であり、青森の平川市や山形の南陽市といった、自治体レベルでの取り組みに留まります。

女性のHPVワクチン接種が再開され、接種率も着実に上昇していて、きっと、子宮頸がんの発症率低下に寄与することと思います。
(えもさんが別の論文でまとめてくれました)。
(PDF) Underlying background of the current trend of increasing HPV vaccination coverage in Japan (researchgate.net)

同時に、男性に対するHPVワクチン接種の重要性も見逃さず、男性がワクチンを接種することで、自身だけでなく、大切な人たちを守ることにもつながることを強調していくことが重要です。

Take home message!

まとめると、男性もHPVワクチン接種に注目すべきです。そして、皆さん一人ひとりが、自分自身だけでなく、大切な人を守るために、積極的にHPVワクチンについて考え、行動することが大切です。ワクチン接種は、自分だけの問題ではなく、社会全体の問題です。

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