『ウマ娘プリティーダービー 新時代の扉』感想とアグネスタキオンというひとについて
モルモットです。
話題になってますね、ウマ娘映画。
私も先日観て来ました。人間のお金持ってなかったのに通してくれたスタッフのお兄さんありがとう。今度ご主人の実験台になる権利をあげます。上映中ずっと発光しててごめんね。眩しかったよね、人間の皆さん。
という訳で本記事では映画『ウマ娘プリティーダービー 新時代の扉』の感想を語り散らかしていきます。ネタバレへの配慮は一切しません。とっととネット世界との繋がりを絶って、人間も人間以外もすべからく劇場に行くべし。
以下のような順番です。
・映画全体に対する感想
・アグネスタキオン
・アグネスタキオン以外(ローランド?)
映画全体に対する感想
面白かった。
中山の直線のごとく短く感じた。ずっとずっと面白かった。
ウマ娘に限った話じゃないけど、決着とか目的のわかりやすさってフィクションにおいて割と大切だと思います。鬼滅は首切ったら勝ちじゃん。スポ根はライバル校倒したら勝ちじゃん。タイムマシンの影響で世の中がおかしくなったら元通りにしたら勝ちじゃん。
それの何が良いかって、基本フィクションって意味わかんないんですよね。受け取り手の常識は通じないわけで。そんな受け取り手にカタルシスを与えようとなると決着の分かりやすさが活きるんです。
その点ウマ娘はクリアーしてて、競馬行ったことのない私も各レースの決着シーンには全身が粟立つ感覚が襲った。歓喜に湧く観衆の声が脳を貫いて、思わず宙に目が行った。緊張→脱力。脱力して初めて自分が緊張・興奮していたことを思い知る。テーマパークのアトラクションの面白さに近いんだけど、あとからジワリとこみ上げてくるものがある。マリオ映画ともまた違うんだよね。
作画完璧。タキオンの狂気、覇王の輝き、ジャンポケのほとばしる戦意、咆哮。それと、フジとの併走の果てにジャンポケが走る楽しさを思い出すあたりから綺麗に刈られ露を落とす芝がたびたび映るのがよかった(記憶違いだったら申し訳ない)。本作品の重大なテーマに「ウマ娘の本能」があると思うんだけど(後述)、本能って薄れちゃうものなんだよ。人間だってそうだし、ジャンポケはタキオン脱落に打ちひしがれて停滞、虚無感に襲われてた。それでも根っこには走ることの喜びがあって、もろもろのしがらみを取り払ったあとに残るのが幼いころから触れてきた芝。これすき。ジャパンカップで観戦するタキオンの顔に芝の緑が光るのもすき。
音楽も最高。ダービーの処刑用BGM(ジョジョの話はしていない)ってどこで聞けますかね。あれ特に好きだった。効果音もね。白衣やマントを翻す音、地面を踏みしめぶっとんでいく音の迫力たるやってかんじ。
それと小ネタですよね。かしもっちゃん可愛いよ。ミラクルはいい加減食べるのやめなさい。何回でも見れるわこれ。サイゲの愛が伝わった。こんなに真摯に向き合ってくれるんだな、作品と。ここで働かせてください(贅沢な名のガキ)。
アグネスタキオン
サイゲ様の手にかかれば、マッドサイエンティスト、儚い天才、泥臭い努力家は一人のキャラクターにぎりぎり詰め込めるらしい。いやあ‥‥‥いいね‥‥‥。
皐月賞のラストランは本当にぞくっとした。あの残光はウマ娘みなに焼き付いて消えないわ。
初登場時の得体のしれなさ本当にすき。強キャラ。
この映画の主題に「ウマ娘は本能として走らずにはいられない」ってのがある。プランAを諦めたタキオンはその本能の対極にいるみたいに振舞うんですよね。「可能性の果てを見るのは私である必要は無い」なんて言って。でもさ‥‥‥走ってるタキオンは滅茶苦茶楽しそうだし、プランBを選んだあとのジャンポケVSダンツをTVで観戦しながら足が無意識にぱたぱた動いてるしキャスター付きの椅子は前に進んでるし。これ見ててとても辛かった。やめろジャンポケ、下手に口答えするな。タキオンに嘘つかせんな。
とはいえタキオンは「可能性の果てを見るのは私である必要は無い」っていう主張を本心だと信じて疑ってないんですよね。その嘘が完璧すぎるし、もう走れるわけではないし。自己暗示をかけて納得しようとしているその姿がまた何とも痛ましい。
こいつさ、普段は自分さえ良ければ良いみたいなところあるじゃん。なのに脚壊してからは、周りに気を遣って笑うんだぜ? 笑えねえよ泣いちゃうよ。
だからラストのジャパンカップでジャンポケの走りによって自己暗示が解け、会場を飛び出し駆けだすあのシーンにぐっときた。あれは今まで理性で見ないよう蓋をしていた本能に、ついにタキオンが敗北したシーンなんだ。データキャラが理屈を捨てる展開熱すぎ。
それで終わってても綺麗に纏まってたんだろうけどさ‥‥‥最後の最後に復活したじゃん!?!?!? ジャンポケたちと肩並べて!!!!!!ありがとうサイゲ!!!!!! たぶんあれプランA選べたゲームの世界線だよね!?!?!? よかった!!!!!!
タキオンは本当にいいキャラでねえ‥‥‥頭脳キャラではあるんだけど研究対象的にはむしろロマンチストなところがある。賢さ補正なしに根性で運命に抗う天才で、ちょっと斜に構えててまっすぐ捻くれていて。しかもマッドサイエンティストなので一次二次問わずどんな話にも出てくる。一見イロモノに見えるけどいくらでも味わえるすごいキャラクターです。これを機にモルモットになりましょう皆さん。
アグネスタキオン以外
ジャングルポケット
触手おばけ。
ジャンプから来た? そうそう、こういうまっすぐな主人公が良いんだよ。捻くれてるご主人が背筋を伸ばしちゃうくらいまっすぐだった。咆哮のシーンめっちゃよかった。
至る所で才能の片鱗が見せつけられるんだけど、それでも気持ちよく応援できるザ・主人公。人一倍努力して人一倍苦悩していたからなんだろうな。
この子はエゴイストに見えて、実はお人好しだよね。他人の領分まで自分の領分と考えるエゴイストと言うべきか。
マンハッタンカフェ
出番食われてた? これが史実通りなの?
レースを降りてプランBに移行しアドバイザー然として振舞うタキオンに「おかしな人‥‥‥」って言うシーン、正妻って感じが致します(腕組み)。かみつくジャンポケ、困惑するダンツに混じって一人タキオンの表面に出てこない心情を汲んでいる。タキオン自身が無意識に自分の本能に蓋をして頑なになっているのを感じ取ってる。いやあ、正妻だよ(相手なき頷き)。
お友達かっこいいね。雷はじける黒雲なのね‥‥‥本当に真っ黒の影だと思ってた。
ダンツフレーム
「ウマ娘プリティーダービーのプリティー部分」ってtwitter(鋼の意志)で話題になってたけど、言うほどか? タキオンの去ったレースで見せたジャンポケとの死闘が良かった。
あとさあ‥‥‥勘違いだったら申し訳ないんだけど‥‥‥カフェのお友達のこと見えてない? なんかカフェとはちょっとだけズレたところに目線が行ってビビるシーンが2つくらいあったと思うんだけど。気のせいか?
フジキセキ
観客の大変なものを盗んでいくマジシャン。あなたの心です(銭形)。
失意のジャンポケと並走するシーン大好き。
タナベトレーナーは結構いろんなところでジャンポケと拳を合わせて活を入れてくれるんだけど、大抵ナベさんが拳を突き出したのに対してジャンポケが応じるって感じなのね。でもフジさんとナベさんが拳を合わせるシーンはアイコンタクトも無しで同時に拳を突き出すんですよ。長年の絆が窺い知れて自分が健康になるのを感じる。私の弱点はこういうやつです(術式の開示)。
開幕直後の爆走でも心掴まれた。そらジャンポケも一目惚れしますわ。かっこよすぎた。
あと勝負服にハラハラしました(小声)。
テイエムオペラオー
大好きです(何度目かの浮気)。
RTTTの時の弱さを隠している強さとはまた違う、圧倒的覇王だった。
オペラオーがラスボス然としていられる理由、タキオンは引退したのにオペラオーを倒して大団円というプロットに誰もが納得できる理由があると思っていて。オペラオーって実質タキオンなんすよ。
最終目標は覇王になること。しかし有象無象の屍の上に立ったところでしょうがない。だから周りにも強くなってほしい。これがオペラオーでしょ?
対してタキオンの目標は「ウマ娘の可能性の果てを望むこと」。それを達成するのは自分じゃなくてもいいから周りにも強くなってほしい‥‥‥んですけど。最終的にタキオンは自分の脚でそこを目指そうとする。
ほら、プランAを選んだタキオン=オペラオーなんだよ。だからジャンポケはオペラオーとの戦いを通してタキオンとの決着もつけてたのさ。
マントがスネイプ先生の次に似合う覇王、ほんとかっこよかった‥‥‥。
ヒシミラクル
食うな
アドマイヤベガ
フワるな
終わりに
ラストのタイトル左のウマ娘シルエットに何か仕掛けがあったらしいけど見逃したの惜しいな……これから行く人はレースの感動に呆けてないで画面見ててください。
今回はウマ娘ミリしらの弟くんを引きずって鑑賞したんだけど案の定ハマってくれました。だよな、オペかっこいいよな。土日が来るたび「もう一回観に行っちゃう?」と悪魔の囁きをしてきます。良いけどもう交通費と映画代出してやんねーからな。
だから観てない人、早く観てこい。ウマ娘知らなくても大丈夫だから。
あ、それと4Dどうでした?まだ行ってないんだけど。有識者の感想が聞きたい。
ゲームの方は眼鏡タキオンをスッて以来全然触れてないですが熱が高まりました。勢いそのままに二次創作書きました(ベクトル変換)。誰かUD達成方法教えてください。
それではこんなところで。
じゃね!
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