【拳闘】井上尚弥VSルイス・ネリ
日本ボクシング界、因縁の相手だ。
このカードが決まった時、私は「こんな馬鹿な奴と闘うべきではない。」と思った。
多くの人も同じことを思っただろう。
度重なる悪行により、山中慎介を葬り去った男は、信頼できず、スポーツマンシップに欠けて、一言で言えば、胸くそ悪い。
井上尚弥のデメリット、ネリのメリットしか頭に浮かばなかった。
しかし、ご存知の通り、井上尚弥は上回った。
闘ったら、たまたま強かった、なんかの陳腐なレベルではなくて、用意周到の結果である。
井上尚弥は勝利インタビューで、
「山中慎介さんの無念は勿論感じるが、今日は井上尚弥とネリの闘いとして、良い闘いをしたネリに感謝した。」
と爽やかに、高揚しつつ話した。
観客や視聴者など、ボクシングファンの期待を、いとも簡単そうに上回ったのだ。
もちろん並大抵の事ではない。
少年漫画の主人公。
ジャンプかよ、ですね。
大橋会長をはじめジムの方々、父弟をはじめセコンド陣、4人のラウンドガール、4万人の観客、全国いや世界中の視聴者を魅了した。
日本ボクシング界の宝、世界ボクシング史に残る王者を目撃できる事に感謝したい。
困難は、人間を強くする。
失敗から学ぶ。
全戦全勝の井上尚弥であるが、彼の言動からは、小さな失敗からでも学ぶ姿勢がはっきり見てとれる。
我々は、彼のそういう所を見習うべきで、圧倒的な強さや華やかなパフォーマンスも勿論だが、日本人が持つ長所や美徳の裏付けとなる精神的な強さ、高潔さこそ讃えたい。
日本ボクシングファンのおそらく全員が、井上尚弥を誇りに思っている。
次の試合、そこに到るストーリーも、今から非常に楽しみである。