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時代の需要に応える『海運』*日本経済68業界

日経平均株価(225銘柄)で登場する
合計68業界の動向を紹介します。

物流・運輸の『海運』

▼業界動向
2014年→2019年    横ばい
2020年                  下落
2021年→2023年    回復(2019年水準)

▼業界平均
・売上高   :2525億円
・営業利益率 :6.02%
・自己資本比率:55.60%
・ROE          :8.45%
・ROA          :4.10%

※用語の詳しい説明は文章下段の
 【経営の基礎知識】から確認できます。

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1位 日本郵船株式会社
減収増益:売上2兆3872億4000万円/24年3月期

1870年に岩崎彌太郎が設立した
九十九商会を前身としています。

子会社の日本貨物航空株式会社を
2023年7月にANAホールディングス株式会社に売却。
業績寄与がなくなり減収していますが、

アメリカの消費意欲が高く、
コンテナ船の需要は底堅い状況が続いています。

また、半導体不足の緩和により、
生産回復が進む自動車輸送の需要も高まり最終増益。

中東イエメンの武装勢力による商船への攻撃が激化。
多くの船会社が紅海の通航を諦めて、
アフリカ南端の喜望峰経由で運航しているため

運航日数が伸びることに伴って
需給が引き締まり、運賃が高くなっています。


2位 NIPPON  EXPRESSホールディングス株式会社
増収増益:売上2兆2390億1700万円/23年12月期

日本通運株式会社は、2022年1月、
単独の株式移転(新設会社への株式移行)を行い、

持株会社(ホールディングカンパニー)として
NIPPON EXPRESS ホールディングス株式会社を設立。
日本通運は、完全子会社(100%子会社)になりました。

24年12月期は半導体の荷動きが回復し
トラック運賃の引き上げで採算が改善しました。

また、2024年1月は、オーストリアの物流会社
カーゴ・パートナー社を完全子会社化するなど

人口減少に伴う国内市場の縮小を見据え、
欧米・アジア地域に強みを持つ海外同業の
買収を通じて国際物流の競争力を高めています。

アルファベットの社名に変更したのも
海外でも認識されるようにするためです。

積極的なM&A(合併・買収)で海外事業を拡大。
半導体関連やヘルスケア(健康教育や治療)などの
成長領域への投資も行っています。


3位 株式会社商船三井
増収増益:売上1兆6279億1200万円/24年3月期

鉄鋼原料/石炭/木材チップなどを運ぶ各種専用船、
原油を運ぶタンカー、液化天然ガスを運ぶLNG船、
硫酸・苛性ソーダなどの化学製品を運ぶケミカル船、
自動車船、コンテナ船など、

多彩な分野で時代の需要に応える世界の総合輸送。
世界最大級の船隊と、約140年の歴史で培った
経験と技術で事業拡大を続けています。

直近では、中東情勢の緊迫化や貨物需要の増加で
コンテナ船などの運賃が高騰し、増収増益。

従業員に対しては自己資本利益率(ROE)に
連動させる一時的なボーナスを導入しました。

ROE10%なら従業員平均で年500万円以上。
株主が重視するROEを指標にすることで
従業員にも株主目線を取り入れています。

また、日本郵船株式会社、株式会社商船三井、
川崎汽船株式会社の海運業大手3社は、

それぞれのコンテナ定期船事業部門を
切り離して独立させるスピンアウトを行い、

2017年、総じて世界90か国を繋ぐネットワークを
事業統合する形となったオーシャンネットワーク
エクスプレスジャパン株式会社を設立。
(3社が利益分配を受け取る持分法適用会社)

同社は、外航コンテナ定期船事業の代理店として
集荷営業や船の運航に関わる業務、
後方から事業活動を支える業務を担っています。


4位 川崎汽船株式会社
増収減益:売上9623億円/24年3月期

緊迫が続く中東情勢を背景に
コンテナ船運賃が高騰し、

鉱石などをばら積み船で運ぶ
ドライバルク事業や自動車船の需要も底堅く増収。

自動車船ではバイオ燃料を使った試験運航を実施。
従来の化石燃料に比べて8割〜9割程度、
二酸化炭素削減の効果が期待できる想定で
2050年の温暖化ガス実質排出量ゼロを推進。


5位 山九株式会社
減収減益:売上5635億4700万円/24年3月期

主力事業の港湾運送、貨物自動車運送だけでなく、
国際物流、機工(製鉄・物流搬送系設備などの
設置・改修)、倉庫事業など幅広い物流サービスを提供。

日本製鉄、JFEホールディングス株式会社、
三菱重工業株式会社、川崎重工業株式会社、
株式会社神戸製鋼所、三井化学株式会社、
住友化学株式会社、AGC株式会社などがお客様で

梱包や在庫管理といったロジスティクス事業、
プラント建設や設置、メンテナンス、改修などの
プラントエンジニアリング事業を手掛けています。

また、国内コンテナ船も運航しており、
株式会社日新、日本通運株式会社と共に
日系物流会社として中国へ進出したことで
「中国物流御三家」と呼ばれています。

社名の由来は、
「山陽地方と九州地方」を基盤としている点と
感謝の気持ちを表す「Thank You」を
掛け合わせています。

コーポレートスローガン
「ありがとうの気持ちが会社の名前です」

お客様の事業拡大やグローバル化に向けた
工場建設や移転などを成功に導くため、
様々な要望に対して確実にお応えしながら

長い歴史の中で培ってきた
物流と機工が一体となったトータルサポートを
最大限に発揮する一貫責任施工体制を確立しています。

高騰していたコロナ禍と比較した際の
海上・航空運賃は下落傾向。

全事業を合わせた受注量や取扱量は
減少している状況で売上は減収。

また、危険物倉庫で約50億円を投資し、
延べ床面積を昨年23年度の約2倍に拡張。

25年3月期は、国内メンテナンス工事や
鉄鋼・環境分野の設備工事が増加したため、
増収増益の可能性が高まっています。

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【経営の基礎知識】これさえ分かれば大丈夫!

[ 損益計算書(PL) ]

売上高(客数 × 客単価)
−原価   :仕入など製造原価、人件費など売上原価
−販売管理費:営業活動費、物流、広告、水光熱など
=営業利益

−営業外損益:銀行利息、為替損益、株式損益など
=経常利益

−特別損益 :突発的な損益、固定資産の売却など
−税金   :法人税、法人住民税、消費税など
=当期純利益

営業利益率(=営業利益 ÷ 売上)
5%〜10%で優良な経営状況といえます。

年間の経営活動で得た当期純利益を
利益余剰金として自己資本(純資産)に加える。

ちなみに、自己資本(純資産)と、
銀行などから借りた他人資本を合わせた
「総資産」が会社のお財布になります。

自己資本比率(=自己資本 ÷ 総資産)
少なくても30%、50%以上で優良な経営状況。

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[ 貸借対照表(BS) ]

ROE(=当期純利益 ÷ 自己資本)
自己資本(純資産)は、返済不要な資産、
ROEは、自己資本利益率の略になります。
10%以上で投資価値があると判断されます。

ROA(=当期純利益 ÷ 総資産)
総資産は、自己資本(純資産)+他人資本(負債)、
ROAは、総資産利益率の略になります。
5%以上で投資価値があると判断されます。

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