「ちょイケじぃじぃの独り言」: 日経ビジネス【人的資本開示の心得】
1 はじめに
私の頭の老化防止のため、関心があった「日経ビジネス」を定期購読してい
て、自由時間は十分あるので、気になった記事を整理しました。
2 今回の特集 : 「人的資本開示の心得」
(1) 国際標準化機構(ISO)は、2018年12月に人的資本の情報開示のガイドライ
ンに関する初の国際規格「ISO30414」を発表した。
米証券取引委員会も2020年、ISOのガイドラインを遵守する形で上場企業
に人的資本や多様性の情報開示を義務付けた。
(2) 日本政府も、「人への投資」を成長と分配の好循環実現に向けた柱の一つと
して位置付け、2023年3月期の有価証券報告書での人的資本情報の開示を義
務付けた。
その内容は、人材育成方針とその目標や実績、男女の賃金格差や女性管理
職比率など、多様性に関する指標の記載が多くの企業で義務付となったほか
任意であるが独自の人材戦略に基づく企業価値向上までの戦略・ストーリー
を示すことが奨励されている。
(3) これまで「人材に投資する」視点を持たなかった日本企業の多くは戸惑いを
隠せず、ある研究所の調査で「開示で何を重視するか」と大手企業に聞いた
ところ「他社の動向」が約78%と、どの調査項目よりも高かった。
(4) 日経ビジネスが、2023年3月期決算の上場企業の有価証券報告書に記載さ
れた人的資本開示内容から、「人的資本開示アワード」として、「全体表彰
(金賞・銀賞・銅賞)」及び「部門表彰(各5部門で優秀賞・準優秀賞)」を選定
し、各企業の取り組みを紹介している。
また、全体表彰された企業の『PBR【株価純資産倍率】: 金賞(1,83倍)、
銀賞(2,85倍)、銅賞(3,7倍)』で時価総額が純資産を上回り、有形資産に
加えて無形資産の価値が高いことを紹介している。
3 その他の内容
(1) インバンド戦略の専門家が、①インバンドは中国(8月に日本への団体旅行を
解禁)を除けば、ターニングポイントに入っている②円安の影響を受けて時計
・貴金属等が伸びる一方、化粧品・医薬品は落ちているが、舞台・音楽鑑賞
等のコト消費が伸びている③個人旅行客をつかまえるのが重要なポイントに
なる一方、自然遺産・文化遺産等の価値観を尊重した「持続可能な観光」が
キーワードになると解説している。
(2) 今年のノーベル経済学賞のゴールディン(女性)氏が、歴史的にデータが乏し
く解明できないと考えられていた労働市場での男女格差を研究し、男女の賃
金格差の要因は時代により異なり、格差縮小のあり方も一様ではないとし、
21世紀の賃金格差は「グリーティ(貪欲) : 長時間かつ不規則に働くことで多
くの報酬を得られる仕事」による面が大きく、柔軟な労働環境が是正策にな
り得ると述べている。
(3) 国土交通省によると、2022年末時点で約694万戸の分譲マンション(人口
の10%超の約1500万人の住居)があり、そのうち2割弱が築40年以上のマン
ションで、全体の3割強のマンションで修繕計画に対して積立金が不足してい
て、マンションの管理不全問題は社会問題化しそうである。
(4) ネット上には対話型人工知能「ChatGPT」などの生成AIが作り出したもっ
ともらしい「ハルシネーション(妄言)」とみられる真偽不明の情報があふれ
はじめ、ネット情報を汚染している。
(5) 全国銀行データ通信システム(全銀システム)で、他行への振り込みができな
くなる障害が起きた。全銀システムの構造は古いシステムのつぎはぎで、20
23年でも使い続けていて、各金融機関のシステム投資の遅れは日本の金融業
界全体の課題である。
4 「ちょイケじぃじぃの独り言」
本誌では、人的資本の情報開示の取り組みの成果をPBRの指標で評価してい
るが、私は、株式市場では「どのように評価されている」かを指標に検討した
い。
海外投資家が「消去法」として買い進めて4〜6月の間で約18%上昇した日経
平均株価は、7月・8月・9月・10月(27日現在)には下降傾向にあるが、今の
ところ約10,5%の上昇である一方、本誌で「全体表彰」された企業は【金賞:
16,6%、銀賞:7,2%、銅賞:19,6%】で非常に微妙な数値になっている。
私は、1990年以降のバブル崩壊等での「停滞の30年」を経て全く上昇して
いない日本株式が株式投資の対象になるには、基本的には日本経済の成長が大
きなカギになると思うが、とても気になることもある。
① 高度経済成長を成し遂げた日本は、1968年に名目GDPで世界2位に躍り出
ると、2010年に中国に抜かれるまで長年世界2位の座を守り抜いてきたが
国際通貨基金は、2023年の日本のドルベース名目GDPがドイツに抜かれ
て世界3位から4位に転落する見通しを示し、もはや見る影もなくなった。
その要因は、1990年の日本の名目GDPが約3,2兆ドルでドイツが約1,6
兆ドルだったのに対し、その後の名目GDP成長率は日本の1,32倍でドイ
ツが2、76倍と倍以上の成長になり、日本の労働生産性が低いことである
② 日本取引所グループが市場区分を見直し、成長株として将来大きく株価が
上昇すると期待されている「グロース株」の株価が4月から現在までで約1
4%下落し、日経平均株価の約10%の上昇に比べて見劣りして投資家から
成長株として評価されていないことである。
少額投資非課税制度(NISA)が2024年から元本1800万円まで運用できるよう
大幅に拡充される中、政府は有価証券報告書での人的資本情報の開示義務付け
という「小手先」で投資家を惹きつけるのではなく、日本経済を抜本的に改革
する対策を打ち、日本経済の沈下などで暗くなった日本社会を宝物の孫のため
にも明るくしてもらいたい。
日本株式投資でNISAを利用される方は、日本株式銘柄の選択に当たっては、
慎重に判断してもらいたい。
最後に、私は運動での「体」の筋トレやnotoでの「頭」の筋トレなどで健康
寿命を伸ばす一方、「宝物の孫」の世話をして、働きながら子育てをする一人
娘を私なりにサポートしていきたい。
* 「ちょイケじぃじぃ」: 「ちょっとイカしてるじぃじぃ」
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