悲鳴

悲鳴。悲鳴だ。悲しく泣き叫ぶのだ。誰かに届くように。ここにいると気づいてもらえるように。

悲しく。悲しく。悲しく。鳴いて、鳴いて、泣き喚いて。
壊れたロボットのように、一つのアルゴリズムを繰り返す。
悲しんで→鳴いて→悲しんで→泣いて→悲しんで→鳴いて→泣いて→ないて。

期待はない。誰も来ない。そうなるようにしたのは自分だ。
もう無理だと。もう無理だと。もう無理だと。
心の中だけで叫び続ける。いっその殺してくれと。そうでなければ殺させてくれと。

悲痛に。悲鳴を。心だけで。声に出さず。表に出さず。平然と泣く。

どうして。これも心で。
なぜ。これも心で。
死ねよ。これも心で。
黙れよ。これも心で。
邪魔するなよ。これも心で。

全部心に押しとどめる。我慢する。出さない。出せば引き返せない。決壊する。壊れてしまう。バラバラに、ぐちゃぐちゃに。それだけはわかる。

押しとどめ方ばかり覚える。出し方は分からない。甘え方などしらない。甘えていい人なんていない。後ろ盾なんてない。

憎らしい。全て。ぜんぶぜんぶ、滅びればいい。
こう書いてもまだ押しとどめている。心からどうしようもなく溢れたものにとどめている。勝手に。


涙だけが流れる。誰もいない部屋で。独りで。漸く油断できる。ここでなら壊れてもなかったことにできる。全ては夢だ。現実なんてなかった。
ここでだけ。夜にだけ。

悲鳴が心で鳴り響く。うるさい。うるさい。うるさい。
耳から離れない。心拍から離れない。なかったんだ。これはなかったんだ。
止まれ。
なかった。

何もなかったんだ。

何もなかったんだ。

この悲しみも、痛みも、叫びも、何も何も何もなかった。


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