わたしの自由律川柳集
値下げシール貼られる気分は
ラジカセの売り子が空っぽの棚に誘って不気味
足が机潜る
糸屑か髪だとびっくりした
スマホが家政婦のようにあなたを見ている
飯も食わずに泣いてた
わざわざ就寝するほど未来は良いか
明日よ来るな
くしゅみして 窓閉まる音
口が尖る恥ずかしさ
誰より見栄を張るわたしのいい加減な服
蝶を馬鹿にしていた男が真っ直ぐ蜘蛛の巣に突っ込む
昭和は白髪を染めていた
性犯罪者が群れなす社会の忍び泣き
角が立つので正義遠ざけた
TVの前で世の悪語る
田舎の景観ソーラーパネル
食肉をピンクに染めて工場の湯気は臭そう
皿洗いしなそうな天皇の微笑み
口が切除された 社会用の口が縫い付けられる
若いのに地面睨んで生きる者達
嫌がらせが起こる世間の月曜日の心理状態
自国賛美ではない平和を祈る花もある良かった
台風一過日本列島冷えて虫驚く
人の罪洗濯の染みのように消えない
毎日便器にこんにちはそしてさようなら
正直な老人だ
夜が来たお笑い芸人のノート
声も消灯
鏡を拭く好きでない自分の顔
雨上がりの雲のように忘れたこと
人の靴下を風に干させた
大学に嫌われて餃子を注文する
雨の数だけ空に目がある涙のしょっぱさ
ホースには土がつく
雨が止んでいたら人は歩ける
今朝も人がいない
田舎の病院は静か
田舎の病院は賑わう
夏なのに希望が冷たい
なんで痩せているのと聞いた
貧しくて恐怖するひと
誰でもないあなたが希望だった
怠けて働いている人が美しかった
恥ずかしい心を言葉にしない自由もあるのに
温かい握手をする平日の役所
人生が冷えたみんなが冷えた
傷だから治るよと言われた
運命が布団から出てきた
日記のペンが重い
波のやうに出費する
税金は払うが笑顔は出さない
気の早い未来がもう来ている玄関である
テレビが皿のように大きい
人が集まったからトイレ出た
朝が来たのに寝ている
朝が来た棒のように立つ
風が吹かない室内である
ゴミ箱は動かないでいい
靴が冷たい
靴が静かだ
服の隙間に風
屁の音がした公園
一つしかない椅子に座る
苦しみが履いている靴も玄関にある
成分表示を見ると悪趣味もありました
缶ビールでおっさんたちは歌手になろうとする
まだ若いのでステーキを一枚頼む
落葉の中で足が笑った
看護師が同僚と笑っている
また医者がやってきた
くたびれて空を見ているおっさんの顎よ
疲れると漫画は温泉の湯のようだ
地球は美しいから月が居る
未来にも朝はあるか
自販機が僕より人気だ
幸せが憎しみを消して水が美味しい
おばさんがおばさん臭い優しさだった
おじさんは汗まで正しそうだった
応援は日没しないはずだ
きっと神様は人間を育てたくなかった
同じ患者の私服
まだたくましい老人が居た
空に入ってほしいコップだが100均に売っていた
語学の例文に働いたらと言われた
裸より不安になって涼んでいるシャツ姿のわたし
熊かと思ったゴミ袋だ
枕がまた頭突きされた
俳人が先に逝った秋の後ろで咳をしている
誰になりきったらいいかテレビ画面
ペンが取り出した時剣だった
モテないから目玉がよく動く
まだ飛べない折り鶴
また飛ばない折り鶴
また食パンを焼くために家に帰りたい
ひとりきりで花を愛でるように本を開いている
生きているから臭いよ
名前がかゆい
中年男性の言った諺が図星だった
スリッパで急ぐ人がいる
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