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【銀行で課長を8年やってみた】

【在任時期】2010年から2018年の約8年間

【課員の内容】最大で11人、延べで言うと
 大体30人、男性が多かったのですが、女性も
 3割以上は存在しました。総合職のみならず、
 一般職、パートさんも含みます。

【課の仕事】
 法人中心に収益を上げる仕事でしたが、前半
 は外為・融資事務や住宅ローンのメンバー
 も統括、後半は法人専門の部隊でした。大体、
 チーム全体で100社強の法人(融資取引先)を
 担当し、金利以外に年間2億〜4億円を最大6人
    位の担当者で稼ぐ仕事でしたが、その種類は
    多岐に渡り、シンジケートローンからデリバ
    ティブ、私募債、運用、外為、M&A、事業承継、
 コンサル、為替…。加えて、グループ会社との
 連携で不動産売買、証券運用、遺言などを法人
 への「融資取引や情報を梃子」にして取り込む
 事が多かったです。銀行の良いところは、比較
 的容易に取引先の経営者や経営に近い方と接点
 が取れる事で、そこで数々の提案や情報提供
 を行いながら、銀行の稼ぎにも繋がるニーズを
 日々探っていく、というのが基本的な仕事です。
 但し、近年は低金利と金余り、オーバーバン
 キング(銀行多すぎです)、ネットを初めとした
 情報の氾濫、M&Aブティックやフィンテック等の
 新しい企業の台頭で相対的な銀行の地位が低下
 し、「融資取引や情報を梃子」にし辛くなり、
 稼げる担当や部署が限られて来ています。
 端的に言えば、「多額の資金調達が必要な会社」
 や「(上場会社など)事業規模が大きすぎて、
 多様なニーズがあり過ぎ、銀行と確りと取引せ
 ざるを得ない会社」、「(伝統的に)親しい
 大会社」等が中心になります。
 然しながら、国内の大半の銀行員は上記以外の
 所謂、中小企業を担当している為、時代の波を
 モロに受けて、稼ぎにくく、評価やモチベーシ
 ョンが低下する上、スキルアップにも繋がり難
 い業務に従事しています。その為、職場の魅力
 も下がってきたのか、ここ数年は若手の退職が
 バラバラと発生。行内の雰囲気は、所謂JTC
 (日本の伝統的な会社)ですが、退職が続く
 若手への迎合や働き方改革もあり、最近の課長
 さんは課員と友達みたいな関係性を築くのが
 普通になってきてるようです。
 余談ですが、私はそのヌルい環境が、却って
 若手のやり甲斐を無くしてしまっていると思い
 ます。退職した若手は外コンやリクルートで
 昼夜も問わず、ハードワークしているみたい
 ですし、上席がスキルや評価、実績、モチベー
 ションが上がる様な案件を「取ってくる」、
 「気付きや切っ掛けを与える」、という事が
 出来さえすれば、若手も退職しないのでは無いか
 と考えます。

【課長として気を付けていた事】
・私は営業でキャリアを築いたタイプですが、  
 元々、事務にも詳しかった方でした。その為、
 メンバーの誰よりも事務知識を維持・拡大する
 事は意識していました。
・支店長など上司の基本的な運営の軸を理解
 するようにして、上司が代われば、その軸に
 チームの運営もアジャストしていましたが、
 意に沿わない指示や方針には、意見具申は
 するようにしていました。
・担当者には、とにかく「狙いのある、ポテン
 シャルの高い取引先」にたくさん訪問する事
 (バッターボックスに沢山立つ)をルーティ
 ンとして勧めていました。
・今となっては反省点でもあるのですが、主要
 な取引先に対しては、担当者より多く接点を
 取り、情報収集やリレーション強化に努めて
 「何かあれば、電話一本で解決出来る」関係性
 を複数の主要取引先で築くように心掛けていま
 した。課長時代に一番訪問していた先では、2年
 半で、その取引先の社員70名以上(経営、経理、
 総務、人事、製造、営業、海外拠点、システム、
 子会社etc…)と接点を取り、色々な部署に気軽に
 行けるようにしていました。
・案件の難易度に応じて、担当者に任せる案件と
 担当者任せにしない案件を仕訳し、後者は自分
 で進捗管理を行い、ズレが生じた際には即座に
 軌道修正するなど、担当者よりも当事者意識を
 持つようにしていました。前者の案件も放った
 らかしにはせず、適度に状況確認は行う程度の
 管理は週次で行っていました。
・自分単体でも、必ず実績を上げるように心掛けて
 いました。これは、リーダーとしての説得力を持
 たせる事に加えて、自分のスキルを錆びつかせな
 い事、「乗っかってるだけ」の上司になりたくな
 かった事が主な理由ですが、要は「営業するのが
 好きだった」のだと思います。

【課員に言っていた言葉】
・自分の失敗や怠慢、交渉不足を銀行に押し
 付けない。
・お客さんの為に、奉仕をしようとしても、
 お客さんから最大限利益を取ろうとしても、
 営業マンの基本的な行動は同じになるはず。
・集金は銀行内では「悪」と言われているが、
 お客さんから見れば、集金もソリューション
 の一つ。「集金しろ」と言うわけではなく、
 要は何のリターンを獲得出来るか。
・お客さんとの仕事上の貸し借りを常に意識
 して、いつも貸し(感謝されること)を多く
 しておく。
・誰も貴方の活躍や成長の邪魔はしていない、
 邪魔してる(リミッターをかけている)人が
 居るとしたら、貴方自身。
・まずは、職場で自分の居場所を作る

【反省点・感想】
 今になって思い返すと、「自分で動き過ぎ」
 が一番の反省点です。そこが自分の強みと思
 ってはいたのですが、最近では「その分、メ
 ンバーの成長機会を奪ってしまっていたので
 はないか?」と自問してしまいます。
 近年は少し違う種類のマネジメントに携わって
 いますが、自分があまり前面に出過ぎない形を
 模索しています。

 感想としては、何よりも課長という仕事は「と
 ても楽しかった」です。また、機会があれば、
 何処かで携わっても良いと思っています。

 実は自分としては意外だったのですが、自分が
 指導を担当していたメンバー達が、最近、課長
 になって頑張っている話を聞くと、結構嬉しい
 ものです。

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