貿易風

『お昼たべいかんね?』
寮の隣部屋の先輩があるひ誘ってくれた。よほど暇に見えたらしい。

北部九州の地方都市で、若干寂れているのは田舎者の私にすらわかる昼下りだった。

バスターミナルから程なく其処はあった。
半地下の入口で薄暗いが、いい雰囲気だ。
『ここ、パスタ美味しいよ』

それから、何度通ったか。
何とかの一つ覚えだ。

数年して水害の為移転した。
それから全く足が遠のいた。
暫くして畳んでしまった。
先輩、ありがとう。

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