ワクワク!イマゼキッチン!第4話 Weは何しに沖縄へ?

青い空、白い雲。澄んだ海。揺れるヤシの木。イマゼキッチンスタッフは沖縄にやってきた。監督に連れてこさせられたチェルやスタッフらはその意味を知らずにいた。スタッフたちはその不可解な行動に怒り交じりの疑念を抱きつつ、経費で沖縄に来れたことに少しだけ喜びを感じていた。
監督「とりあえず、飯行くか」昼からろくなもの口にしていないスタッフたちには救いの言葉だった。スタッフたちは目を輝かせて「はい!」と強く叫んだ。

イマゼキッチンスタッフは空港近隣にあった沖縄感漂うお店に入った。
カメラマン山崎「で、監督。来た目的はなんなんすか」
監督「あーそうだよね。気になるよね。番組のOPを撮ろうと思ってね」
AD田崎「え、東京じゃダメなんですか」
監督「ダメなの。もう沖縄で撮るってなっちゃたから。心と頭が」
チェル「お酒飲んでいいですか」
監督「いいよ~」
AD田崎「ダメです未成年でしょ」
チェル「シュン…」
AD田崎「だれもずっと言えなかったですけど、企画出してから監督ヤバいですよ。あの夜なにがあったんですか」
監督「本当に、、なにがあったんだろうな…自分でも分かってるんだよ明らかにヤバいって。でももう芯からヤバさに支配されてるんだ。もうわからない」

チェル「田崎さん、お酒飲んでいいですか」
田崎「ああ?ダメにきまんてんだろーおい」
監督「いんじゃねーのwww」
山崎「ダメっすよ監督変なこと言わないでくださいよwww」
チェル「俺いやですよ」
監督「あ?w」
チェル「ベロンベロンのお前ら醜くて見るに堪えねえよ!だったら一緒に酔っぱらって同類になりたい!」
監督 田崎 山崎「「wwwwwwwwww」
チェル「笑ってんじゃねえよ」

昨夜酔っぱらってベロンベロンになったスタッフ達をチェルは一人で介抱し、ホテルまで送っていった。そして翌日のスタッフ達は二日酔いに苦しんでいた。しかし、それでも撮影はする。それが彼らの信条であった。アルコール度数が法に触れない程度に下がったところで、彼らはレンタカーを借りて約20分かけて海へと向かった。しかし、驚いたことに運転手であるAD松本の運転が荒いったらありゃしない。たった20分のドライブにして全員を今度は車酔い地獄へといざなって行った。

そしてとうとう予定ロケ地の海岸へとたどり着いた。海の底まで澄んで見えるほどのきれいな海だ。

監督「てめえの運転どうなってんだよ!」
松本「すいませんした」
監督「じゃあ早速OP撮りますか」
監督「田崎、レッドカーペット持ってきて浜に敷いて。チェルお前は衣装に着替えな。山崎はドローン準備」
その指示とともに弾かれたように皆それぞれ己の準備にうつった。
山崎「あのードローン持ってきたはいいんですけど。やったことないです」
監督「まあいけるいけるw」腹立つくらい無責任な励ましであった。
そして全員が帰ってきた。
監督「えーチェルがレッドカーペットの上を歩いてもらってその様子をドローンで撮影してください!」これ料理番組じゃねえのかいという思いを押し込め、各々スタンバイした。
監督「では音楽流します!」すると監督のもっていたスピーカーがら大音量でボレロが鳴り響いた。ボレロに合わせてレッドカーペットの上をチェルがまっすぐ歩いている。そしてその光景を山崎操縦のドローンが撮影している。笑えるほどシュールな謎光景である。
山崎「ヤバいです!監督!!ドローンが操縦できなくなりました!」
ドローンは空中を彷徨うように降下していった。そして数秒後には海に落下、撮影手段を完璧に失った。
監督「全員集合!!」スピーカーの音を止めて叫んだ。
監督「ご存じの通り、ドローンが死にました」
山崎「誠に申し訳ありません、、、」
チェル「どうするんすか」
田崎「あれ使えないすかね」田崎が指をさしたのはボードの上に乗り、下から出る大量の水で空を飛べるたまに見るアトラクションだった。
監督「そうか!山崎があれに乗って飛びながらドローンの如く撮影すればいいんだ!」
山崎「死にません?」
監督「それもそうだな。お前が死ななくてもケガでもしたら責任とらないとだもんな」
山崎「そうですよ」
監督「よし!俺が飛ぶ!カメラ貸せ!」
山崎「え、監督ケガしたらこっちが困りますよ」山崎は監督が動けなくなることで自分たちが経費で帰れなくなることを深く心配していた。
監督「大丈夫だから!山崎ボレロお願い!全員スタンバイ!」
スタッフ一同「は、はい」監督のこの気の狂った行動力はなんなんだとか、なぜボレロに執着?という?に取りつかれながらも、それぞれ持ち場ついた。

監督「あのだからですね!お宅のアトラクションでですね、空を飛びながら、レッドカーペットの上歩く青年を撮影したいんですよ!」
インストラクター「はい?」
監督「だから!、、、」
インストラクター「あの状況はかろうじて理解出来たんですけど、正気ですか?」
監督「はい?」
インストラクター「はい?じゃないですよ。このアトラクション上でちゃんとした撮影はかなり難しいと思いますし、危ないですし、最悪死にます。」
監督「はい。分かってますよ。最悪死んでもいいくらいの覚悟です」
インストラクター「何があなたを揺り動かすんですか。でもあなたにそこまでの覚悟があったとてですよ。ここで事故があったらこっちの責任になるんですよ。だからあなたは乗せれません」
監督「私に何かあってここに迷惑が掛かったら、私が責任取ります。今貯金数億円あります。何かあればすべてをささげる覚悟で飛びます。何もなくても200万あげます!」
インストラクター「なんなんだよあんた。いいよ飛べよ」インストラクターの声はかなり震えていた。さらに仕事辞めようかなと頭をよぎった。そして、渋々アトラクション起動の準備を始めた。

インストラクター「あんた絶望的にセンスねえな!」
監督「うるさいもう飛びます!」
インストラクター「待ってください!落ち着いてください!」
監督「スイッチon!」
インストラクター「早まるな死ぬぞ!」
監督は勢いよく、海の上を海面に平行に飛び始めた。そしてチェルや山崎も動き出した。監督の飛行はインストラクターの憂いを跳ね飛ばすかのように優雅だった。「もうやめよ」引くほど上手い監督の飛行にインストラクターのプライドは傷つけられた。肝心の映像はドローンと相違ないくらいブレのない映像が撮れた。完璧すぎる自身の所業に我ながら監督は惚れ惚れしていた。しかし、飛べてるのはいいが降り方がどうするのか分からなかった。
監督「ねえ!どうおりればいいですか?!」その声は機械の音にかき消され
一切インストラクターには聞こえなかった。しかしこのままいけば遠くまで飛んで行って沖合でカメラも監督も水没で一気にバッドエンドとなってしまう。とにかくデータだけでも守るためには陸へと向かわなくてはである。その一心で合ってるか分からないが体を陸方向へ傾けた。すると重心移動だったためしっかり陸へと進んでいった。思い通りに動いたことで監督スタッフインストラクター共々歓喜した。だが監督は気づく。この乗り物にブレーキとかいう概念がない。勢いはとどまることなく陸上のブロック塀へと向かう。スピードは時速50キロを超えていた。恐らく塀にぶつかることを悟った監督はカメラを砂浜に投げた。そして塀に大激突。
田崎「監督!大丈夫ですか」
チェル「死んでるだろ」
松本「あ、息あります!」
監督「う、うう」
田崎「か、監督!!」
監督「あそこの岩場のの近くの海岸にカメラ投げたから、潮が満ちるまでに拾ってくれ。そしたら帰ろう」


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