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時折最高:030 Middle Of The Road - Chirpy Chirpy Cheep Cheep (1971)

本日は、かなり偏執的な内容となります。
なぜなら曲がオカシイからです。

どんな曲なのか?

ヒット曲なのですが、ヘンです。
やけに耳に残り、頭の中で鳴り続ける危険がある曲ですが、歌詞もなんだかヘンです。

Where's your momma gone
(Where's your momma gone)
Little baby Don?
(Little baby Don?)
Where's your momma gone?
(Where's your momma gone?)
Far, far away

Where's your poppa gone
(Where's your poppa gone)
Little baby Don?
(Little baby Don?)
Where's your poppa gone?
(Where's your poppa gone?)
Far, far away
Far, far away-ay-ay-ay-ay

Last night I heard my momma singin' a song
Ooh wee, chirpy chirpy cheep cheep
Woke up this mornin' and my momma was gone
Ooh wee, chirpy chirpy cheep cheep
Chirpy chirpy cheep cheep chirp

ママはどこ行ったの?
ねえ、ダンちゃん
ママはどこへ行ったの?
うんと うんと 遠く
パパはどこ行ったの?
ねえ、ダンちゃん
パパはどこ行ったの?
うんと うんと 遠く
昨日の夜 ママが歌を歌ってた
今朝起きたらママはいなかった

って、コワイコワイコワイ!!!
童謡みたいな子供向けの歌の顔をしていますが、これは見方によってはホラーでは??? タイトルにもなっている「chirpy chirpy cheep cheep」というのは鳥の鳴き声の擬音らしいです。「チュンチュン」みたいな?
鳥の子供達が、ママがいなくなった、パパがいなくなった、と騒いでいる・・・のでしょうか?

単純で軽快なメロディーと無邪気で不気味な歌詞、ドラム、ベースの意外に強烈なリズム、鳴り続けるハンドクラップ、「みんな一緒に!」と云って観客と一緒に歌おうという呼びかけ・・・。大丈夫か?、この曲ちょっと危ないんじゃないか・・・、などと気になってきます。良く出来たポップソングであるからこそ、反対に音楽の持つ悪魔的な洗脳・催眠効果も発揮しちゃってるんじゃないかと・・・。

Middle Of The Roadは1970年結成のポップグループです。最初のシングルが1971年の「Chirpy Chirpy Cheep Cheep」で、イタリア、イギリスでNo.1ヒットとなりました。

けれど実はこの曲、カバーバージョンだったのです。オリジナルは以下。

Lally Stottという人の曲で、1970年にイタリアで発売されたシングルがオリジナルだそうです。

聞き比べてみると、アレンジと、そして何より女性ボーカル・Sally Carrの伸びやかな声が素晴らしい。曲はもの凄くシンプルですしね。世界中でこの曲と云えばMiddle Of The Roadのバージョンがまず思い浮かべられることでしょう。

当時のTV出演映像も複数残っていますが、ほとんどがリップシンクで、音源はスタジオ盤と同じです。

・・・これだけだったら、おお、この時代にはこんなヒット曲もあったのね、で終わるんですが・・・・。

えっ! まだやってたの?

YouTubeを検索して見ると、実は後の年代のものが次々見つかるのです。

1981

1996

2001

2004

2008

2009 (珍しく生演奏)

2010

2011

2015

2016

2018

これ、こんなにまで演奏され続けるほどの曲でしょうか?
いや、確かに良く出来たポップソングだとは思います。
それにしても・・・。
しかもほとんどのライブはスタジオ盤の音源で口パクですよ!
昔のままの歌声・・・って、録音ですもの。
それにしても、ずっと活動してたのでしょうか、このバンド。
口パクで登場するために?
なんだかヘンです。

2009年の映像では非常に珍しく生演奏ですが、思わず「しっかり!」と声を掛けたくなる不安定さが感じられますね。

カバーもいろいろ

この曲のカバーバージョンも数多く存在します。
普通にポップスのヒット曲としてカバーしたもの、BGM向けのインスト、ディスコバージョンなどなど。

いろいろ聴いていくと、英語以外の言語でカバーされたバージョンが、特に刺激的に聞こえて面白かったです。いくつか個性的なものをご紹介します。

4ADからのシューゲイザーバンド、Lushがカバーしていたのはびっくり。ボックスのボーナストラックに収録されているようです。

ノルウェイのシンガー。なかなか強烈です。
盤の情報が見つかりませんでした。

正統派、ポップス路線のカバーですね。
1971年のアルバムに収録されているようです。


黒人ソウルデュオ。1971年のデビューアルバムでカバーしていますから、曲がヒットした年の内にカバーしたのですね。

1972年、スペイン語でのカバーです。妙に強烈です。

1972年のレコードで、なんとレゲェカバーです。
半分ジョークだったのかも・・・・。
アルバムはなしでシングルだけを残したグループのようです。

これは!
YouTubeにアップした人が凄いな。
Koivistolaisetというのがアーティスト名で、フィンランドの女性デュオみたいです。そしてシングルのB面曲だった! それを収録したコンピレーションがあるみたいですね。

これは知る人ぞ知るBirds'n'Brassというグループの演奏。
ライブラリー・ミュージックといって、TVや映画のいろいろな場面向け音楽、というジャンルがあるのですが、その界隈のメンバーでKeith Robertsという人主導で作られたバンドなのです。スキャットにバーバラ・ムーアという女性歌手が参加していたことでも注目されました。21世紀になってから再発されています。

Birdsが多分小鳥のイメージで女性スキャットを指し、それにブラスセクション、という編成。ポップスのカバーアルバムですが、サウンドが洒落ていて最高のラウンジミュージックの一つです。おまけに1stアルバムを見つけたので置いておきます。どこか狂ったチピチピ頭をリセットしましょう(笑)。


おまけ

当時の日本盤シングル。
邦題の「チピチピ天国」をどう評価したものか悩む(笑)。

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