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時折最高:049 Lizzy Mercier Descloux - Funky Stuff (1981)

フランス人女性歌手、Lizzy Mercier Declouxの2ndアルバム「Mambo Nassau」収録の鮮烈・強烈な一曲。この音に興味を引かれてLizzy Mercier Declouxのキャリアを追いかけてみると、アルバムごとにどんどん新しいことに取り組み、それぞれを自由奔放に楽しんでいただろう彼女の眩さにうっとりしてしまいます。

オリジナルはファンクバンドのKool & The Gangで1973年の曲です。

ちょっと驚きなのが、アルバム発表当時にはフランス盤と日本盤しかなかったことです。

2ndの「Mambo Nassau」(1981)は一番エキセントリックで尖ったサウンドのアルバムです。アフリカン、ファンク、ロックなどのミクスチュアでした。1st「Press Color」(1979)はニューウェイブの新人?、という印象だったのですが。
これが3rd「Lizzy Mercier Decloux」(1983)になると、アフリカ各地を旅し、南アフリカ共和国まで出かけていって、現地のミュージシャンと一緒に作ったというワールドミュージックになります。その次の「One For The Soul」(1986)はジャズトランペッターのChet Bakerと共演した、ジャズセンス溢れるポップス。そしてラストアルバムになってしまった「Suspense」(1988)はややリラックスした雰囲気のポップスアルバム。

90年代以降はコルシカ島で、絵画と小説執筆に専念していたそうです。
2004年に卵巣・大腸がんにて死去。47歳でした。

YouTubeでも彼女の映像はかなり少ないです。音源は配信でほぼカバーされていますが、そもそも映像自体がほとんどないのかも知れません。
私が見ていて一番楽しめるのは、3rdアルバムからのシングル曲、「Mais ou sont passées les gazelles?」(でもガゼルはどこ行ったの?)です。

もちろんプロモーションビデオなので演技しているのでしょうけれど、アフリカ音楽のビートに身を委ねて歌う楽しそうな姿からは、喜びが伝わってきてとても愛しく感じられます。

ここで「Mambo Nassau」の尖った音を求めてはいけません。
彼女はもう次の地点を目指して移動してしまっているのです。

数少ないアルバム、短い活動期間、そして次々と変化していった自由さ。
Funky Stuffの歌声にしても、”縛られていない”自由奔放さを感じます。

5枚目からのシングル、「Gueule d’Amour」も、エキセントリックさはほのかに滲む程度に抑えられていますが、それでも1stから変わらない、溌剌と生命を謳歌する精神を感じます。

この曲も大好きなのですが、今回は私も彼女に興味を持つ切っ掛けとなった「Funky Stuff」を選びました。アルバムごとに、持つ魅力の方向性がかなり異なるので、どれがピンとくるかはそのとき次第で。

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