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【小説家になろう】 「天下の大悪人に転生した少年、人たらしの大英雄になる」 千月さかき:まだ序盤ながらスリル満点の傑作コメディの予感
何作も書籍化されている作家さんの最新作です。まだ最新58話なので序盤も序盤、第二章ですが、これまでの部分だけでも傑作の予感がします。
代表作はどれも「チート」と「ハーレム」がキーワードになるあたりに苦笑を禁じ得ないのですが、毎回趣向は野心的で冒険しています。
異世界でスキルを解体したらチートな嫁が増殖しました − 概念交差のストラクチャー −
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天下無双の嫁軍団とはじめる、ゆるゆる領主ライフ 〜異世界で竜帝の力拾いました〜
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創造錬金術師は自由を謳歌する -故郷を追放されたら、魔王のお膝元で超絶効果のマジックアイテム作り放題になりました-
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どれも似ていると言えば似ていますが、毎回趣向は違っています。共通しているのは、思いつきとしてはいいアイディアでも実際に執筆するとなると恐ろしく手間が掛かるだろう仕掛けに果敢に挑んでいる点です。
特に「創造錬金術師」では「誤解」が重要なキーワードなのですが、様々な誤解のアイディアをひねり出すだけでも大変だったと想像します。
今回取り上げた「天下の大悪人」は、大筋としては「ゲームの悪役に転生した主人公が破滅を食い止めようと奮闘する」お話ですが、同じ枠組みの作品が多数あるにも関わらず、これまでにないような味わいを生み出しています。
かなりシリアスな筋立てと雰囲気に、唐突に入り込んでくる修行場面のおかしみは強烈な破壊力があります。それも登場人物たちにとってはごく当たり前のことに真剣に取り組んでいるだけなのに、読者に取っては愛しくも可笑しいほのぼのギャグになってしまうという離れ業です。
もうこれだけでも作者の才能に脱帽ですが、物語自体も緊迫感溢れるスリル満点の展開。読者はハーレム展開を早くから予想できますが、そう簡単には話が進まずじりじりした気分がたっぷり味わえます。
この作者さん、どれも面白いのですが、途中で休載になるものが多く、なかなか完結しないという点だけは困ったものです(笑)。本作がどう展開し、そしてどこまで続くのか、大変気になるところです。
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