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樋口円香ソロライブ『瀝青観測』のライブレポート

こんにちは。
岡山ディヴィジョンです。

先日都内某所にて開催された、樋口円香さんのソロライブ『瀝青観測』に参加してきました。

カバー楽曲を中心としたアイドルのソロライブという試みは、283プロ(ノクチルやアンティーカが所属している芸能事務所。ツバサ、と読みます)でも新たな挑戦。
音楽のライブやアイドルの現場には全くといって良いほどの出不精である私も、これは!と思いたち参加して参りました。

正直、半分くらいビビりながらの参加でしたが……

いやぁ~~~~最高のライブでしたね!!!!!

せっかくなので、この冷めやらぬ興奮をnoteにしたためようと筆をとった次第です。ライブレポートなんて初めてなので読みづらいかも知れませんが、狂ったオタクの姿を“観測”して頂けたらと思います笑

それではいきましょう!


1.開演前~最初のMC

ノクチルミリしらの友人(283のアイドルはこがたんと咲耶様しか知らないらしい)と共に東京観光を終えて、会場に赴いたのは15時前でした。土地勘がないせいで早く着き過ぎちゃったんですよね。
仕方がないので、時間を潰すために良い感じのカフェへ突撃。洒脱な店内でメロンソーダを飲みながら、小糸ちゃんがいかにすごいアイドルなのかということを早口でまくし立てたり、雛菜ちゃんのツイスタに映りこんでいるノクチルシリーズ(スクショ)を友人に見せたりと、キモ・オタクをかましてしまいました。
おしゃれな店内で申し訳ありません。

友人のバイト先の有線でストレイが時々流れているらしいと言うことが判明して、思いがけず盛り上がる一幕も。

会場に入ると、まず思いのほか女子率が高いことに面食らいました。3割以上が女性だったかもしれません。
普段の円香ちゃんのツイスタライブとかを見ていると、確かにティーンの女の子らしきコメントとかリアクションが多いなとは感じてましたが、現場にまで出向くって結構な熱量ですよね。
ちょっとだけ居心地の悪さは感じましたけど、円香ちゃんの幅広い世代に届く活躍に鼻が高い想いもありました(後方彼氏ヅラ)。

客席はオールスタンディングで、ステージから遠い方から順に上段、中段、近い方が下段って感じで別れていました。めっちゃ緩やかな階段みたいな感じです(伝わる?これ)。
それほど広い会場ではなかったというのもありますが、遠い場所が上段になっていたおかげで、ステージが結構はっきり視認できて良かったです。

ステージの装飾は華美な感じではなく、アイドルというよりミュージシャンのライブって感じでした。はっきり言って地味だと思います。
でも、公演中のライト演出はかなり凝っていて、間奏部分がきらびやかに輝いたかと思えば、円香ちゃんの歌声を聴かせるパートでは一気に照明が絞られたりと、“アイドル・樋口円香”を魅せようというスタッフの気概が感じられましたね。

それでは、一曲ずつ振り返っていきましょ~!

1.OVERTURE

今回のライブは、照明が落ちてOVERTUREが流れ出して、そこからライブがスタート…というかたちではありませんでした
会場がまだ明るい段階からピアノを主体とした音楽がゆったりと流れていて、それが徐々に盛り上がり、盛り上がりきったタイミングで灯りが消えて開演する…というしびれる演出だったんです。

この演出、公演中は気づきませんでしたが、明確な「演出意図」があったのかもしれません。

というのも、今回のライブのメイン演出を担当され、過去にはノクチル単独ライブの演出にも参加されている佐伯ちひろさんという方が、過去にWebインタビューで次のようなことを語っていたんです。

昔の映画館って、オーバーチュア、いわゆる「序曲」っていうものがあったんですね。映画が始まるまでの時間に専用の劇伴を流して、着席を促しつつ観客の気持ちを盛り上げる意味があったそうです。
他にも、上映時間中にインターミッションって呼ばれる休憩時間があったりして。そこにもちゃんと、専用の曲を用意していたそうなんですよ。

そういった、映画という作品だけではなくて、「その場にいる」ということ自体を演出するということには、凄く興味があるんです。そういったことは常に意識して演出に臨んでいるつもりです。

――そんな文化があったとは、寡聞にして知りませんでした。

私自身も、そういった上映方式には馴染みのない世代ですけれどね(笑)

「舞台」ってステージだけじゃない!奥深い「演出」の世界 より

283事務所合同ライブとかだと、大抵は会場が暗くなって、OVERTUREと特別映像が流れて、そこから事務所総出の楽曲披露、という流れが大半だったので、この時点で私はけっこう面食らっていましたね。
ワクワクは最高潮でした。

2.ノクチル『Reflection(樋口円香Ver.)』

幕開けは円香ちゃんが所属するアイドルユニット「ノクチル」の楽曲『Reflection』から。言ってみれば円香ちゃんは本家本元なわけですが、ソロバージョンを聴く機会はなかなかないので、これはこれでレアでした。ソロコレクションとか出してくれれば良いのにね。

今回のライブは、カバー楽曲の披露を軸に据えた「歌唱」がテーマの公演でした。
ですので、普段の披露では振りがついている『Reflection』も今回のソロバージョンでは振り付けらしいものはなく、そもそも今回のライブは基本的にマイクスタンドを使っていたので、公演を通して動き回る場面は少なかったように思います。

『Reflection』の披露が終わり、円香ちゃんが軽く挨拶するパート。
小さなハコとはいえ、人が一杯の会場を見回して「こんなに沢山の人にご来場頂くなんて想像していませんでした」と謙遜を口にする姿は、円香ちゃんらしいと思いました。

3.結束バンド『ギターと孤独と蒼い惑星』

この日の披露楽曲で、一番どよめきが起こったのは間違いなくここです。

社会現象的な大ヒットを飛ばし、オタクに限らず広い世代から支持されているTVアニメーション「ぼっち・ざ・ろっく!」のOP曲。円香ちゃんがインタビューなどでアニメの話をしているイメージはあまりないので、この曲をカバーするのは私自身もかなり意外に感じました。

しかし、歌唱が始まった途端心を一気に掴まれます。

ノクチルの楽曲はポップで爽やかなバンドサウンドが多いですが、よりロックテイストのサウンドに円香ちゃんの歌声が溶け込んだ途端、普段感じないような迫力になっていました。

ここ好きポイント。2番サビです。

眩しい 眩しい そんなに光るなよ
わたしのダサい影が
より色濃くなってしまうだろ
なんでこんな熱くなっちゃってんだ
止まんない 馬鹿なわたしは歌うだけ
うるさいんだって 心臓

『ギターと孤独と蒼い惑星』2番サビより

クールなイメージのある円香ちゃんが、こんな「もがき」の歌を歌うなんてと驚いた私でしたが、でも不思議と違和感を覚えなかった自分もいました。何でもそつなくこなしそうな円香ちゃんですが、これまでのアイドル活動の裏側にはきっと懸命な努力があるはずで……多少なりとも、この歌詞に重なる想いを持っているのかな、なんて妄想が膨らみます。

歌声を通して、強く叩きつける円香ちゃんの拍動を感じているような気持ちになったのはここだけの話です(気持ちが悪すぎる)。

わたし わたし わたしはここにいる
殴り書きみたいな音 出せない状態で叫んだよ
なんかになりたい なりたい 何者かでいい

『ギターと孤独と蒼い惑星』ラスサビより

ステージの照明が鮮やかに輝いた後、一点に収束して、真っ白で濁りのない光になって円香ちゃんに降り注ぐ。そこでラスサビという演出も、ベタながらにぐっとこみ上げるものがありましたね!


4.Mr.Children『終わりなき旅』

日本のバンド…という繋がりこそあるものの、これまたガラリと雰囲気が変わった3曲目は、Mr.Childrenの名曲『終わりなき旅』

今回のライブのセットリストについては、円香ちゃん自身も意見を出したとYouTubeで語っていましたね。

チャンネル始動時点から今に至るまで、一度も触れられていないので誰も質問しないようになった謎の「え」が含まれる、「ノクチルえチャンネル」。チャンネル登録よろしく

どのような意図があったのか自分なりに考えてみたんですが、『ギターと孤独と蒼い惑星』と『終わりなき旅』は、ロックというジャンルの共通点以外に、「アイデンティティを探し求める」というテーマが描かれています。
もしかしたらこれは、謎が謎を呼んでいるライブタイトル『瀝青観測』を読み解くヒントになっているのかも知れません……が、私には分かりませんでした。誰か解説お願いします。

力強い円香ちゃんを感じた先の曲と打って変わって、今度は優しく語りかけるような円香ちゃん。まるで、殴った後に優しくするDV彼氏のような魅力に、オタクのHPはゼロです。

曲の序盤は、自らの感情と向き合うような、優しくも情感のこもった歌声でした。

カンナみたいにね 命を削ってさ
情熱を灯しては また光と影を連れて
進むんだ
大きな声で 声をからして

愛されたいと歌っているんだよ

『終わりなき旅』1番Aメロより

それが終盤になるにつれ、どんどん私たちにメッセージを投げかけるように……否、メッセージを突き刺してくるかのように、力強さを増していきます。
曲はもちろんミスチルなんだけど、なんだか初めて聴いたみたいな……自分のために歌ってくれているような錯覚に陥りました(こら)。

胸に抱え込んだ迷いが
プラスの力に変わるように

いつも今日だって僕らは動いてる
嫌な事ばかりではないさ
さあ次の扉をノックしよう

もっと大きなはずの 自分を探す

終わりなき旅
終わりなき旅

『終わりなき旅』ラスサビより

余談ですが、『虹の行方』(283事務所に所属するアイドルがマイクパスしていく名曲)という楽曲でノクチルは、同様に「旅」についてを歌っていましたね。

Ah 違う旅を選んだ私も
きっとそうだね 何処かで
何かに励んでる(元気でね)

『虹の行方』2番より

エモすぎ!!!!!!!


2.~2回目のMC

立て続けの披露を終えて、軽いMCタイム。興奮状態のオタクはもちろんのこと、カロリーの高い楽曲の披露が続いたこともあってか円香ちゃんの額にも大粒の汗が浮かんでいました。それでも、あくまで表情は涼しげな円香ちゃんの姿は、本当に格好いいな、プロだなと思わされます。

余談ですが、汗を拭いつつ水を飲む円香ちゃんの姿はかなり様になっていました。ステージで水分補給する姿なんて、ノクチルのライブの方では見る機会がないのでレアだと思います。助かる。

5.day after tomorrow『Starry Heavens』

4曲目に披露されたのは、misono率いるスリーピースバンド、day after tomorrowの名曲『Starry Heavens』です。

この曲がかかった瞬間、一緒に来ていたノクチルミリしらの友人が、マジで「パァッ!」って叫んでいて(マジでこんな感じで叫んでました)、何事かと思いましたが………私は知らなかったんですがこの曲、「テイルズオブシンフォニア」の主題歌らしいですね。
テイルズがぶっささっている友人は、選曲の段階でぶち上がりだったようです。

先の曲から続けて、円香ちゃんのしなやかな歌声にぴったりの曲です。そして、所々にこもる感情の塊が、曲に力強さを与えているように感じました。例えばここ。

隣で夢中に話す横顔は 輝いていたよね
夢を追う君と見守る僕に
同じ星の光りが降り注ぐ

『Starry Heavens』1番サビより

ここ、幼なじみでありながらアイドルユニットでもある『ノクチル』のことを思い出さざるを得ないだろ~~~~~~!!!!!ってなっていました。円香ちゃんにとってきっと、小糸ちゃんや雛菜ちゃん、そして何より透ちゃんは「隣を歩く人物」で、だからこそ幼なじみたちに対する想いもきっと存在するはずです。
そんな、私たちが知ることのない円香ちゃんの感情が、このフレーズにこもっていました(妄想)。

ここ好きポイント。この曲に勝手にノクチルを重ねていた私は、次の歌詞でもうダメでした。

夜空を翔る流れ星を今
見つけられたら 何を祈るだろう
どこにいたってつながっているよ
君の言葉が蘇る

『Starry Heavens』2番サビより

なんとなしに言った透ちゃんの言葉を、円香ちゃんがずっと記憶の箱にしまい込んでいてくれたら嬉しいし、きっとあの二人にはそんな場面があったんじゃないでしょうか。
ああ、なんで私はノクチルの幼なじみに生まれることが出来なかったんだ!!!!!!!クソが!!!!!!


6.植田真梨恵『変革の気、蜂蜜の夕陽』

植田真梨恵さん『変革の気、蜂蜜の夕陽』です。

私はこの楽曲を円香ちゃんのカバーverで聴くまで知らなかったのですが、めちゃくちゃ良い曲ですね!良すぎて、普通に帰りの電車でサブスクでヘビロテしてました。

この日のセットリストの中で、円香ちゃんの歌唱力を嫌というほど見せつけられたのはこの曲だったかもしれません。割と淡々と単語を拾っていくようなAメロから始まり、(可愛い系の曲かな?)と思いながら聴いていると、「大量虐殺」などぎょっとするような歌詞も登場して、なんだなんだ?という気持ちにさせられます。
そしてそれが、サビで爆発!

溢れ出しそうさ 今にも
我慢ならない 取り繕うのももう限界、
帰りたい

『変革の気、蜂蜜の夕陽』1番サビより

「抑圧」からの「解放」を、円香ちゃんの歌唱力は見事に表現していたと思います。サビで全身が総毛立つような心地になり、「ああ、やっぱライブって現地参加しないといけないな」ってマジで思わされました。

ここ好きポイント。

選べるのはいつだってふたつにひとつ
残酷でしょう
これが生き様 実に血生臭い
君と並んで夕陽を浴びる

『変革の気、蜂蜜の夕陽』Cメロより

ここで、デビュー直後に炎上してネットで叩かれていた時のことを思い出していました。

といっても、私がノクチルのことを本格的に追いかけ始めたのは、『ノクチル成長中!(仮)』の配信があってしばらくからです(番組のキャプチャで見かけた雛菜ちゃんに一目惚れして、すぐにノクチルって検索したのが最初でした)。
ですので、リアルタイムの彼女らを知っているわけではないんですけど、芸能界というある種残酷な世界で、ノクチルらしい生き様を見せつけ続ける彼女らと、そして円香ちゃんを、私は格好いいと思っています。

そんな彼女らが並んで夕陽を浴びているとしたら……海という「青さ」、「原色のままであること」とさようならして、黄昏という「オレンジ」、「様々な色が混じり合った世界」に包まれようとしているのなら……それはエモいと言わざるを得ませんよね。

青に手を振って 笑って また明日

『青とオレンジ』サビより


7.なきごと『癖』

2人組ロックバンドの「なきごと」から、『癖』という楽曲のカバーです。

元カレのことを思い出す喫煙女性の歌を樋口円香に歌わせるの「ヘキ」すぎんだろふざけやがってェ~~~~~~!!!!!!!!!!!!と怒鳴り散らかしたのはもちろん(そんなことしてません)。これまで目を背けてきましたが、円香ちゃんには17歳とは思えないほどの色気があります。だからこそでしょうか、この楽曲も見事に歌いこなしていました。

空き缶にタバコを捨てる癖が治らない
あなたがこんなにも 好きなくせに
嫌いって言っちゃう癖が治らない

『癖』1番サビより

円香ちゃんが誰かに刺々しく「嫌い」って言っている姿はあまり想像が出来ませんが、彼女にも共感できる部分があるんじゃないか、と思わせるほどに真に迫った歌声。私の心臓の活動は完全に終わりを迎えていました。

ここはライトも非常に巧みな仕事をしていて、円香ちゃんの頭上から光が降り注いだ瞬間、その日で一番暗い影が彼女の目元に差して、ゾッとするほどの存在感と色気を演出していました。
17歳の女の子のアンニュイ(に見える)表情でやられてしまう大人でごめんね……円香ちゃん…。

あなたの優しさに痛いほど 蝕まれてる

『変革の気、蜂蜜の夕陽』2番Bメロより

ゆるさんぞ!!!!!
俺は、そんな男に円香をやらんぞ!!!!!

……それはさておき、あまりに円香ちゃんの歌唱による表現力が高すぎて、円香ちゃん自身が誰かの優しさに蝕まれた経験があるのではないか、と疑ってしまうほどでした。それも、楽曲のテーマを考えたら男性でしょう
まさか彼氏とは考えたくありませんが……

あ、あはは。アイドルに彼氏がいるかどうかなんて考えるの、やめよっか。やめよう。


8.Kaede(Negicco)『あの娘が暮らす街(まであとどれくらい?)』

アイドルユニット「Negicco」のメンバー・Kaedeさんのソロ曲である「あの娘が暮らす街(まであとどれくらい?)」のカバーです。

光がまたひとつ遠くへ
重なり 連なり
また頬を照らす

『あの娘が暮らす街(まであとどれくらい?)』より

(ステージの照明が一つ、また一つと円香ちゃんに差し、そのたびに円香ちゃんの表情が違って見え、それが完全に歌詞とリンクしているステージ演出であることに気づいた瞬間、卒倒する岡山ディヴィジョンの画)

これ良すぎんだろ~~~!!!ふざけやがって!俺を怒らせたらどうなるか、知らないようだな!

ここまでのセットリストでは、円香ちゃんの歌声に”力強さ”を感じる場面が多かったですが、この楽曲では円香ちゃんの歌声の”しなやかさ”がよく現れていたように思います。
原曲のKaedeさんの歌唱からも分かるように、こういった楽曲には高い表現力が求められますが、円香ちゃんの歌声には原曲に引けを取らないだけのパワーを感じることが出来ました。

私の夜は大切にしたい
思い出詰めて ほらバスは揺れる

『あの娘が暮らす街(まであとどれくらい?)』より

その瞬間、私の脳裏に確かに存在する”存在しない記憶”が駆け抜けます。

歌唱レッスンやダンスレッスン、番組の収録などでうまくいかなかったこと、アイドルを続けることへの不安や恐怖、幼なじみに対する信頼、大切にしている思い出……そうしたものを心に詰め込んで、一人、夜のバスに揺られる日。
決して言葉にはならない色々な感情を、言葉にはならないままに抱えて、きっと彼女は「あの娘が暮らす街」を目指している……。

おやすみ ごめんね
私はこれからを思うといま
気分がいいんです

あの娘が暮らす街まであとどれくらい?

『あの娘が暮らす街(まであとどれくらい?)』より

「あの娘」は、ファンのことでもいいし、ノクチルたち幼なじみのことでもいいし、学校の同級生でもいいし、仲良くなったアイドルでもいい。自分の想いを胸の内に抱えたまま、円香ちゃんは前に進んでいるのでしょう。
彼女がそうやって前に進んできたからこそ、『瀝青観測』のステージがあったし、これから先も沢山の仕事と巡り会っていく。

アイドルであることと、等身大の少女であること。その両方があるからこそ、円香ちゃんは輝いているのかも知れません。そう気づいた時、私は等身大の少女・樋口円香ちゃんの時間を想って、涙しました(妄言)。

失敬。ちょっとだけ取り乱しました。

『あの娘が暮らす街(まであとどれくらい?)』という、歌唱も難しければそこに複雑な感情の機微をのせるのも難しい楽曲を、見事に披露して見せた円香ちゃんの姿は、やはり輝いていましたね。

3.~閉演

十五分の休憩を挟みながら、最後のブロックに突入しました。
ここまで円香ちゃんは、歌唱の難しい楽曲を7曲も連続で披露していて、そろそろ喉を痛めやしないだろうかという多少心配でしたが、終演後に円香ちゃんがツイスタで、『本日はソロライブへのご来場ありがとうございました。喉を休ませるために、今日はユニットメンバーをあごで使って楽をしようと思います』というような冗談めかした投稿をしていたので、心配の必要はなさそうでした。

ちなみに、ライブ開催前のオタクたちの間では、「円香ちゃんが弾き語りをするんじゃないか」という推測が出回っていましたが、今回のライブでそういった場面はありませんでしたね。
スタッフから「弾き語りをしてみないか」という提案があった、というような話はどこかで目にした気がするので、円香ちゃんがそれを受けなかったか、ライブの構成を練る上で没になってしまったのか……どちらにせよ、今後のライブで弾き語りしている姿を目に出来たら嬉しいですね。期待しておきましょう。

9.石元丈晴『ハイブリッド-New born-』

そんなわけで、8曲目に披露されたのは『ハイブリッド-New born-』という曲でした。ゲーム「すばらしきこのせかい」にて使用された劇伴らしいです。この日のライブで披露された楽曲の中では、もっとも円香ちゃんのソロ曲『夢見鳥』に音的には近いかもしれません。

先に披露した『癖』『あの娘が暮らす街(まであとどれくらい?)』の2曲は、具体的な風景描写の中に大きな感情が込められているような楽曲だったと思います。だからこそ、そこに感情を乗せるのが表現として難しいし、円香ちゃんは凄いのだと語ってきました。
一方この『ハイブリッド-New born-』という楽曲は、もっと抽象的なフレーズを用いて「感情」そのものを歌った楽曲。ここまでの流れを込みで見ると、より破壊力が増していると言わざるを得ません。

あらゆるジャンルからバラバラに選曲されているように見えて、円香ちゃんの魅力や表現力が際立つよう、きちんと考え抜かれていることが分かります。

今までならばやりすごしてた
冷めた目で苦笑い
どのみち結果 同じなんだろ?
いつもどおりでも何か違う

『ハイブリッド-New born-』1番Bメロより

幼なじみという昔からの関係のまま、アイドルとして芸能界に飛び込んできたノクチルの中で、円香ちゃんは「いつも通りでも何か違う」と感じていたのかもしれません。そうでないと、あれだけの感情表現を17歳にして体得していることの説明がつかないからです(圧)。

そして、「抑圧と解放」を歌う曲の盛り上がりにかけて、表現はどんどんと熱を帯びていきます。それに呼応するように、観客のボルテージも高まっていきました。

重なるよ 色を変え
重なるよ 色を変え


是が非でもくらう
抑圧と解放
熱を帯びたなら

どうかなるがまま

『ハイブリッド-New born-』ラスサビより

決してがなっているわけではないのに、腹の底がびりびりと揺さぶられるような歌声。一日中鳥肌状態だった私ですが、いよいよ興奮が極に達してガタガタ震えていた気がします(蠕動するオタク)。
もし私の周りでライブを鑑賞している人がこのnoteを読んでいましたら、一つ覚えておいて欲しいのは、決して怯えていたわけではないと言うことです。興奮していただけなので。

クールな円香ちゃんの、一体どこからこれだけのエモーションの爆発が生まれているんでしょうか?


10.樋口円香『夢見鳥』

事前にセトリを当てられた唯一の曲です(当たり前だろ)。
円香ちゃんのソロ曲『夢見鳥』は、他のライブでも披露されたことがありましたが、内なる感情を爆発させているかのようなこの日のセトリの流れを汲んで、いつも以上の劇物と化していたことは無視できません。

確かなことなんてないよね
人の景色もこの気持ちも
その中で見つけた温もりだけ
心にそっと閉じ込めた

『夢見鳥』1番Bメロより

1番サビ前「心にそっと閉じ込めた」のところ、バケモンでした。

CD音源ではそれこそ、自分の感情をそっと心の中にしまい込むような、優しさや寂しさが入り交じった表現で歌唱されていますが、ライブでは表現だったのか、それとも歌唱がほつれてしまったのか、声が震えてとても不安定な様子が表現されていたんです。

円香ちゃんは以前『夢見鳥』発売に際してのインタビューで、次のように語っていました。

《最後に、ファンのみなさまへメッセージをお願いします。》

正直、とても難しい歌でした。
私自身、理解できていないと思っています。
でも、強い想いで描かれた曲だとも感じています。たくさん聴いてもらえたら嬉しいです。

《本日はありがとうございました!》

「ノクチル・樋口円香が歌唱するソロ曲「夢見鳥」リリース直前インタビュー」より

円香ちゃんはこの楽曲のことを、「理解できていない」と語っています。だからこの楽曲にノクチルの姿や、円香ちゃんの感情を見ようとするのは、もしかしたら単なるファン心理なのかもしれません。

それでも、彼女が歌い上げる詞の一つ一つに、樋口円香の譲れない想いがこもっていたら嬉しいと感じるのは、きっとみなさんもそうですよね?

この小さな羽で飛べるの? わからない
それでも 信じてみたい

『夢見鳥』Cメロより

私は泣きました(n回目)。

11.レミオロメン『永遠と一瞬』

「本日最後の楽曲は、父が好きな曲です」
そう言って披露したのは、レミオロメン『永遠と一瞬』でした。

私はこの楽曲を知らなかったので、「どうしてこの曲がライブの最後なんだろう?」と疑問でした。円香ちゃんが自分の家族の話をしているイメージはあまりないですが、お父さんっ子なのかな?なんてことを考えつつ……その理由は、すぐに分かりました。

希望の色は空色
見上げるけど飛べないまま

僕は僕だよ と呟けば
ありのままでいる事は
これほど難しい

『永遠と一瞬』1番サビより

アイデンティティを求める楽曲から幕を開け、内なる感情と向き合うような楽曲に移り変わり、そうした感情を解き放って「飛び立てるだろうか」ということを『夢見鳥』までの流れで描いておいて、まさにそれら全てのテーマがぶち込まれた楽曲でライブを終えるのエグすぎるだろ!!!!!!!!!と私は叫んでいました。

ここ好きポイント。1番サビでは「見上げるけど飛べないまま」と歌われますが、2番サビではこのように変化します。

希望の色は空色
見上げるのさ 飛べるまで
僕は僕だよ と呟けば
ありのままでいる事は
これほど容易い

『永遠と一瞬』2番サビより

ああああああ~~~~!!!!!(絶命)

樋口円香という人物の多面性を、様々な楽曲でひもとくようなライブ構成をしておいて、最後の最後にこんな歌詞を歌わせるのは、触法行為でしょう。私は絶対に許しません。ありがとうございます。

円香ちゃんはこの楽曲を、「父が好きな曲」だと紹介しました。それはきっとそうなのでしょう。この楽曲が収録されたレミオロメンのアルバム『ether [エーテル]』は2005年発売とのことで、円香ちゃんパパの世代に被っている可能性が高いからです。

ですが、お父さんから教えて貰ったことをきっかけに、円香ちゃんにとっての「好きな曲」にもなった……そうであって欲しいと思うのは、私が厄介なオタク故でしょうか?

いつだって旅の途中
いつもより荷物は少なめ
手を離して 宇宙になって
闇の中 羽ばたいて
ゆっくりと鳥になりたい

『永遠と一瞬』落ちサビより

「いつだって旅の途中」というフレーズを耳にした瞬間、
ノクチルというアイドルユニットが始動し始めた「旅」を、
アイドル・樋口円香が活動し始めた「旅」を、
「違う旅を選んだ私」を歌った『虹の行方』を、
「もっと大きなはずの自分を探す終わりなき旅」と歌った『終わりなき旅』を思いだし、視界が涙で歪み始めていました。

そして、「ゆっくりと鳥になりたい」というフレーズで決壊。

ステージ上、様々な色彩のライトを浴びながらのびのびと歌唱する円香ちゃんの姿は、朝焼けの空、真っ青な空、夕暮れの空、宵闇の空をその羽で自由に飛び回る、正真正銘のアイドルでした。

きっとこの日のライブも彼女にとっては「旅の途中」で、私たちファンはこれからも円香ちゃんの飛躍を目の当たりに出来るのだと心から信じられたその瞬間、私はステージを見ていられなくなって、俯いてぼろぼろと泣いてしまいました。

ありがとう……ほんとうに、ありがとう…………

4.お気持ち表明

というわけで、樋口円香ソロライブ『瀝青観測』は、大変大満足の内容でした。私が廃人にならなかったのは奇跡的なほどの大火力で、オタクたちの情緒を燃やし尽くす爆弾ライブだったと言えるでしょう。

だから、あんまり文句は言いたくないんですけど……

ちょっとだけ、本当にちょっとだけ文句があって……




※ちょっとネガティブなことを言います※
















……はい。

確かに、ユニットに所属しているアイドルのソロライブで、数千人規模のハコを押さえるというのは大冒険過ぎるというのは分かります。今回のライブハウスのキャパシティでも、有識者オタクによると「いきなりこのキャパを押さえるのは中々勇気がある」決断らしいです。
はい。それは重々分かっているんです。

でも、チケットをとれていないオタクが多すぎる!!!!!!

正直、最近の円香ちゃんの活躍ぶりを見ると、もう少し大きなハコを押さえて置いても良かったんじゃ無いかというのが私の感想です。『瀝青観測』のような超高火力ライブを多くの人に見て貰えないのはオタクとして歯がゆいですし、タイムライン上のオタクの阿鼻叫喚はもう見たくない……悲しいから。

もし、円香ちゃんのソロライブ第二弾の企画が立ち上がった際には、事務所の方にはそういったところも含めて考えて欲しいと切に願っています。


というわけで、最後にちょっとネガティブなことも語ってしまいましたが、樋口円香ソロライブ『瀝青観測』のレポは異常とさせて頂きます。ここまで読んでくださった方、ありがとうございました~!

あなたのライブレポも待っているゾ!


それでは~~!









EX.スペシャルサンクス

本noteにて取り上げました楽曲については、次の方々からご紹介いたしました。私の知らない楽曲ばかりでした。ありがとうございます。
以下、紹介者の方を紹介順に紹介します(暗号)。
※表記は全て、Twitter(X)アカウント名に準拠。

  1. 『ギターと孤独と蒼い惑星』トニーP@シャニマス垢(@P22286436)

  2. 『終わりなき旅』ああ(@auslese4

  3. 『Starry Heaven』かのか(@kanokamaru
    (別案)『そして僕にできるコト』

  4. 『変革の気、蜂蜜の夕陽』淀橋ヒノヤ(@yodobashi_hny
    (別案)『飛べない魚』(ASIAN KUNG-FU GENERATION)
        『透明になろう』(ナードマグネット)

  5. 『癖』ベンプ(@4benpu4)

  6. 『あの娘が暮らす街(まであとどれくらい?)』蜷川(@sig_ninakawa)

  7. 『ハイブリッド-New born-』がーなま(@Heyabosi_suki)

  8. 『永遠と一瞬』まえば(@maeba_ougon)

ご協力、どーもです!

それではまた~~~~!


※関連note等※


※本noteは、以下の座談会に向けて書き下ろされたものです※
※こちらのnoteも是非ご覧ください※


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