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ハマかぶれ日記230〜つかこうへいワールド

  かつてアングラ演劇の旗手として一世を風靡した劇作家・つかこうへいさん(1948〜2010年)作の「売春捜査官」という演目の舞台を新宿の小さなビルの地階にある劇場「サンモールスタジオ」で観た。
 1974年、史上最年少で岸田國士戯曲賞に輝いた代表作「熱海殺人事件」のスピンアウト作品で、総勢4人の出演者が15坪ほどの狭い舞台から飛び出さんばかりに、泣いたり笑ったり怒ったり、蹴ったり殴ったり転がったりの活劇を展開する。外の猛暑をしばし忘れさせてくれる愉悦と興奮のひと時となった。
 席を取ってくれたSさんが長年の小劇場舞台のファンで、気を利かせて最前列の席を用意してくれたものだから、目の前、50センチぐらいのところで熱演する役者の額の汗が飛び散ってきたりする。相撲風に言えば「砂かぶり」ならぬ「汗かぶり」、口にするのはやや憚られるが、⚪️⚫️劇場ならそのまんま「かぶりつき」。それもあって一層、劇中世界へののめり込みが深まった。ぶっ通し2時間の上演を長く感じなかった。
 ストーリーは、警視庁の女性名物刑事・木村伝兵衛が熱海で幼馴染の女性を殺した五島列島出身の大山金太郎を取り調べ、次第に事件の背景を明らかにしていくというもの。それにベテラン、若手の2人の刑事が絡む。主要な登場人物や出来事は「熱海殺人事件」を踏襲しているが、核に貧困や売春、人種差別、女性蔑視といった今に至るも社会の根っこに横たわる重い問題を改めて置き直して、不条理への訴えをさらに尖鋭化させている。大笑いの場面でも、どこかに毒の味が潜む。つかワールドの真骨頂だ。
 役者はそれぞれ強い個性があって魅力的だったが、やはり主役の伝兵衛刑事役、稲村梓さんのキレ味のいい動きと変化に富む表情の妙に惹かれた。何しろ、大声を張り上げた時の迫力がすごい。実社会ではあまりお目にかかりたくないタイプの女性ではあるが・・。
 プロ野球はいよいよ後半戦に入った。わが横浜ベイスターズは前半戦最後のヤクルト戦の戦いぶりが、惜しい試合を投打の詰めの甘さで失う芳しくない内容だっただけに、後半戦の立ち上がりを危惧していた。案の定、一昨日、昨日と首位の巨人に接戦の末、連敗してゲーム差が4・5に広がってしまった。
 何ともヒトのいいチームだと思う。相手のミスにつけ込まない。簡単に点をあげる。きのうも1回裏、巨人のミスで転がり込んだ1死3塁の絶好の先制機に3番の佐野がわざわざ前進守備の1塁正面へゴロを打って走者を還せず、続く牧も三振してゼロに終わった。一方、先発予定の平良の故障で急遽マウンドに立った山﨑は初回は何とかクリアしたものの、2回表、2死3塁のピンチで8番の泉口にイージーな初球を投げて弾き返され、先制点を献上する。
 次の打者は9番の投手・井上。ボール気味の打ちにくい球で誘って打ち取れたらよし、選ばれて四球でも投手で抑えればいいと考えるのがセオリーだ。それを素直に真ん中でストライクを取りに行く。テレビ解説していたベイスターズOBの大魔神こと佐々木主浩さんも「もう10年もプロで投げているのだから、ベンチに言われなくても、しっかりやらなきゃ。残念」と嘆いていた。全くの同感だ。
 今夜のナイターも、巨人の先発は今シーズン好調の菅野とあって、かなり分が悪い。きょう7月28日は、何だか知らないけれど世界肝炎デーだとか。せいぜい、やけ酒を飲みすぎて肝臓を壊さないようにしなきゃ。木村刑事にどやされるよ。
 
 

   
 

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