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妊娠振り返り②おっぱいの変化とガブリエル・ブレア『射精責任』に感動

【おっぱいとブラ】
妊娠初期には、本人にとっては大きな変化だけれど、周りの人にとっては「ふーん」くらいの反応で終わってしまう体の変化にとても驚いた。胸がぱんぱんにはって胸の痛みで朝目が覚めた。いつも付けていたブラジャーもあっという間にサイズが合わなくなった。マタニティ用の物を買ったけれど、これも中期に入る頃にはサイズが合わなくなった。「そんなにすぐあわなくなるのなら最初から大きめのものを買おう」とネット通販で追加したマタニティブラは、でかすぎて数回付けただけでゴミ箱に捨てた。インスタ広告に惑わされて買ったが、かなり雑な縫製の中国製のブラが届いたこともあった。トップも2カップ大きくなったが、アンダーもどんどん大きくなり、ブラのサイズが合わないからか、黒ずみも目立ってきた涙。胸の形も若くて張りがあるぷるんとした形でなくて、胸の上側はそげるような、子どもの頃いつもみていた「お母さんのおっぱい」になった。乳首も乳輪も2倍くらいにでかくなり、黒い笑 毎日、自分の体の変化を鏡で見て驚き、若くて華奢な女の子を見ると別世界の生き物のように感じた。脇や股関節なども黒ずんだ。なんで黒ずむんだろうなあ?あとはおりものが増え、毎日下着が汚れた。性感染症の検査もしたけれど、異常はなく、不快な日々が続いた。

 つわりが落ち着いた16週目以降くらいからは、お腹がしょっちゅう張った。お腹が張るという経験が初めてだったので、危険な張りなのかよく分からず、毎日「妊娠中 お腹の張り」で検索していた。というかそもそも張っているのか、正常な固さなのかもよく分からなかった。それでも歩いているときに子宮のあたりがぶわーっと固くなる、麻痺したような感じになり、収縮しているのが分かるときがあった。お腹がよく張ったという先輩や友人に聞いたら、2人とも切迫早産になり入院したと言っていたので、とても怖くなったのもあり、毎日「お腹が張る、お腹が張る」と騒いでいた気がする笑。つわりは割と心配してもらえるが、お腹の張りって全然知られていないし、あまり深刻な感じがしないからか心配もしてもらえない。お腹が張って子宮頸管が短くなると切迫早産の危険性があるということで入院とか自宅安静とかになってしまうみたいだけれど、実際に私は問題なしということで、張り止め薬も一回も出されなかったので、結局たいしたことなかったのかな?と今になっては思う。でも家を出て30㍍歩くともうお腹が張る感じがしたので、出社するのも億劫になり、産休が待ち遠しかった。仕事柄、1日3万歩くらいは歩いていたのに、妊娠してからは歩数も3分の1くらいに減ってしまった。体力も落ち、歩きたいのに歩けないもどかしい期間が続いた。子宮の存在感がすごかった。

【痛みの正常化・・なるほど】
 あと妊娠期間中、割と早い段階からずっと息苦しかった。駅の階段でゼエゼエなった。中期になってからはいつでもどこでもエレベーターを探していた。妊婦様なんて言われているようだけれど、私は東京在住で電車通勤中、席を譲ってもらったことは一度もないんだが。普段からマタニティマークを付けていなかったこともあると思うけれど・・マタニティマーク、なんか自分は付けにくかった。今にして思えば、もっと堂々と付けていればよかったと残念で悔しい気持ちもする。優先席を占領するスーツ姿のおっさん、あれどういう神経してんだろうな、と何度も思った。里帰り先の故郷でも、高校生が占領していた満員電車に乗った時、誰も譲ってくれなかった。でも実際私自身、「妊娠は病気じゃないし、多くの人が通る道だから、体のしんどさも我慢できるくらいの程度のものなんだろう」という意識の中にもずっとあった。妊娠前は、独身で仕事も頑張っているという思いもあり、結婚して子どもを持ってこそ幸せみたいな価値観に腹が立っていたから、妊婦になってからも「病気じゃない妊婦が偉そうにするのはちょっと・・」という思いもあってマタニティマークを付けることになんとなく気後れした。でも妊娠中の体のしんどさは、つらくて毎日気がめいった。先日読んだガブリエル・ブレア『射精責任』にも「女性の痛みは正常化されている」と書いてあり、全くその通りだよ・・!!「妊娠出産を語るときには①自分のものでないリスク、他人のリスクは矮小化しがち、②妊娠・出産があまりにもありふれているので、9か月間の不便さ低度のものと推測し、とりあわない」って、まさに私が感じていたことだよ、ということが書いてあり、感動すら覚えた。妊娠は病気や障害じゃない、仕事頑張ってるサラリーマンだって疲れているんだ、とかそいういうことじゃなくて、もっと自然に困っているであろう人に席を譲ったり、いたわり合える社会になればいいのになあ。妊婦が優先席座るにも、いかにしんどいかを説明して申し訳なさそうにしていなきゃいけない世の中ってなんなんだよ、と腹が立つ。

【違和感】
あと妊娠中によく目にした妊婦さんの話しで感じた違和感。産休に入ることを告げた上司から「日本の将来のためにありがとう」と言われ、妊婦さんが肯定的に捉えていたエピソードや、職場などで産休育休に理解がない人に対して「こっちは少子化の中、日本の将来を担う子どもを産んで育てるのに」っていう思いになったという話などをネット上で目にした。気持ちは分かるけど、戦時中かよ?こわいよ。私たちは国のために子どもを産むんじゃないんだよ。自分の幸せのために産むんだよというやるせない気持ちになった。国の将来を担うとか、少子化に貢献しているとか、妊婦への風当たりが強くてそう訴えたくなる気持ちもすごくよく分かるけど、その理論に乗っかったら国のためにならない子どもはこの世の中にいらないの?ってことになる。とっても嫌な気持ちになった。

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