ゴジラS.P.は良いアニメ?
ゴジラ S.P <シンギュラポイント>を観ました。
2021年のアニメなのですが、今になって何かがムクムクと湧き上がって見始めたら面白くって3日くらいで駆け抜けてしまいました。
いまさら何を…と思われるかもしれませんが、いまさらでも私にとっては瞬間最大風速!
今のうちに書かせてください。
Filmarksに書いた内容をちょっと膨らませつつ書いてゆきます。
ゴジラはそこまで出てこない
私はゴジラ初心者です。
ギュラゴジを除けば、今までに観たゴジラは『シン・ゴジラ』、『ゴジラ-1.0』、『ゴジラVSキングギドラ』。
昭和の『モスラVSゴジラ』と平成の『ゴジラVSメカゴジラ』も観たことがある気がするのですが、いまいち記憶にないので、実態を伴った視聴経験というと3作品くらいです。
あとエメゴジも観た記憶がありますが、あれはゴジラにカウントしていいのかよくわからないので、一旦外しておきます。(ゴジラというよりイグアn…)
これまで観てきたなかでの印象は「ゴジラあんまり出番ないんだなあ」でした。
戦隊ものや仮面ライダーシリーズであれば、表題のキャラクターがメインになっています。
おのずと画面に登場する時間も多いのですが、ゴジラって少ないと2割くらいしか出番がないように思います。
それでいて日本を脅かす脅威として成立しているからすごいのですが。
ギュラゴジもこの例に漏れず、あまり出番は多くありません。
ゴジラと思しき怪獣が登場するのはストーリーが半分を過ぎたあたりになってからですし、ゴジラウルティマになるのは10話に入ってから。
ゴジラに比べると、ラドンの方がずっと出ています。
そういう意味ではゴジラは舞台装置であり、本当の意味での主役ではないのかなと思います。
実際のところ、ゴジラって意思が感じられたり会話が成立したりするタイプではなさそうなので、あまり画面を占有されても…とは思います。
もしかしたら過去に1時間くらいゴジラが暴れ倒す映画があったかもしれませんが、それはそれで映画としてどうなんだ?と議論されているかもしれません。
あくまでも災害としてのゴジラを描くならこれくらいコンパクトに出番をまとめてもいいように思います。
ギュラゴジの主役
ギュラゴジは神野銘と有川ユンのダブル主人公構成。
サイトによってはその二人にペロ2も含むようですが、2視点で進むのでこの二人としていいでしょう。
ギュラゴジは怪獣と直接対峙するユンたちオオタキファクトリー側と、怪獣たちの根本あるいはその先を調べる銘側の2つの視点で展開します。
二人が直接邂逅するのはラストシーンだけでセリフもなし。
それなのにチャット上では旧知の仲のようにやりとりしているのが現代っぽくありSFらしくもありました。
この視点切り替えのバランス感覚、創作物として成立させるのが難しそう。
物語の根幹を解き明かす銘の動向はSFらしく難しい用語がたくさん出てくるのでともすれば心が折れてしまいかねませんが、ユンの視点を挟むことでほどよく中和する目的もあったかもしれません。
それでも難しくて離脱した人も少なくないようですが…。
ヒトならざるものたち
ギュラゴジのわかりやすい味方側の武器?兵器?はジェットジャガーです。
はじめは厳ついご尊顔で、あまりかっこよくないなあ…と思っていました。
しかし、AIのユングを搭載してからは、アンギラスの槍を振り回したり滑らかに地面を滑ったり果ては空を飛んだりとだんだん可愛く見えてきます。
クモンガの群れ相手に大立ち回りを決めるところなんかはジェットジャガーが大好きになります。
もちろん、釘宮さんのお声パワーも多分に影響しているとは思うのですが。
アンギラスの槍の無骨さも相まって、おやっさんの色がよく出ているので見れば見るほど良くなっていくスルメキャラです。
それと対を為すようなコメディリリーフはペロ2です。
ペロ2は銘のPCにダウンロードされた、ユングの兄弟みたいなAIです。
PC内でのデータの処理や整理はペロ2がだいたいやってくれて、ゴジラや紅塵に関するあれこれを解き明かしてくれるのですが、ともすればSFがSFすぎてついていくことが難しくなりそうです。
ところがペロ2が電子内の処理をビジュアル化してくれるのでわかりやすく、また面白く見ていられます。
こういうユーザーに向けた配慮って思った以上に求められているのかもしれません。
展開によっては暗くて重い展開になりそうなところをペロ2の明るさやおどけた言動で助けられたところも少なくなく、ペロ2がとても好きになれました。
アニメだけではわからないところ
アニメだけでも全体的に満足です。
ただ、最後が明確に描かれているわけではない部分も多くあったので小説版で補完されているとすごく嬉しいです。
どうやらユングもジェットジャガーに完全移行したわけではないらしいし、その辺の補足も兼ねて読んでみようと思います。
どうやらノベライズというわけでもなく、アニメを補完するまた別軸での小説のようなので、アニメ+小説で完成に近付く……といいですね。
贅沢を言うならメカゴジラらしきソレも情報がほしいです。
Amazonで円城塔によるノベライズと勘違いしている低評価レビューがあったのですが、円城塔先生はアニメの脚本担当ですし、ノベライズだけ参加しているわけではありません。
芥川賞作家を起用する意味が~という批判はいろいろずれてるなあとちょっと面白かったので記録。
怪獣デザインについての蛇足
上記のとおり、概ね満足しているのですが。
敢えて言うなら、怪獣のデザインが個人的にはゴチャゴチャしているように見えて、あまり好きな方向性ではなかったです。
特にサルンガ。
サルンガはサルとか昆虫とかのキメラっぽかったけど、もうちょっとシンプルなのが良かった気がする。
特にお口の辺りは前から見るとよくわかんない形状をしてるんだけど、全身を見るとぬるっとしたデザインで悪くないかも。
あれ、意外と悪くない……?
やっぱり、あの不気味感も込みで良かった気もする。
ゴジラウルティマもはじめは口がパッカーンと開きすぎていて、……?ってなったけど言葉の通じない感じもあるので怖いゴジラとして描くならあの方向性でも意外としっくり来ている、かも。
アンギラスはかわいいので好きです。
昔のアンギラスは後ろ足が膝立ちみたいになっていたみたいですが、アンキロサウルスみたいな生き物らしさが増したアンギラスはかっこいいしかわいい。
のちに槍になるのも含めて愛着を感じる。
ゴジラSPはひどい?
ゴジラSPで検索するとサジェストがあまり愉快ではないものも散見されます。
ギュラゴジ面白くないってコメントは大体短くて「意味がわからん」に終始しているように思います。
確かにSFってどうしても難しいんですよね、特に序盤。
導入が堅くて難しくてわかりにくいと離脱したくなるのもわかります。
それに最後まで観たところで100%すべてを理解できるわけでもないので、完璧に全部を理解したい人には難しいでしょう。
SFに慣れた、あるいは理解したつもりで割り切って見続けることが出来る人じゃないとこのアニメの評価はだいぶ違うと思います。
雰囲気で
ゴジラすげー!
よくわかんないけどスケールがでかい!
ペロ2かわい~
で入って、あとから気になる人はそれぞれで補完したり考察したりするといいんじゃないでしょうか。
私がSFそれなりに好きというのもあるのですが、そんなみんなで大騒ぎするほどつまらないアニメじゃない。
頭空っぽにしてアニメを観たいとか、怪獣が大暴れするのを見たいとか、そんなニーズには応えられないのはしょうがない。
重すぎないけどそれなりの厚みがあるアニメを求めている人にゴジラSP、おすすめです。
普段あまりアニメを観ない私ですが、これはしばらく引きずりそうです。
興味と時間があれば是非、ご覧になってください。
Netflixは月額990円~です。