日本の刑事司法が国連人権委員会から勧告を受けている。

国連人権委員会は日本の刑事司法に勧告をしているというのは事実です。国連の勧告は、国際的な基準や条約に基づいて、人権や平和、開発などの分野で加盟国に対して改善や協力を求めるものですが、法的に拘束力はありません。したがって、各国は自国の事情や利益に応じて、勧告を受け入れたり、無視したり、部分的に実施したりすることがあります。日本政府も、国連の勧告に対して、一部は受け入れて実施していますが、一部は拒否したり、遅れたり、不十分だと指摘されたりしています。


しかし、それでも日本の刑事司法には問題点があることは否めません。国連の人権条約機関は、日本の刑事司法制度について、以下のような問題点を指摘し、改善を求めています。


起訴前の長期勾留や保釈の制限、取調べに弁護人が立ち会えないことなどが「人質司法」を生み出していること 。

取調べの時間や方法に規制がなく、自白強要の可能性が高いこと 。

取調べの記録が電磁的に行われていないこと 。

検察官による証拠開示義務がなく、弁護側にも証拠開示を求める一般的な権利がないこと 。

代用監獄制度が警察と別個の官庁の管理下にないこと 。

人身保護法に基づく人身保護規則第4条がデュープロセスに対する明白な違反であること。

死刑制度が存続していること 。

これらの問題点は、日本の刑事司法が市民的及び政治的権利に関する国際規約(自由権規約)や拷問及び他の残虐な、非人道的又は屈辱的な取扱い又は刑罰に関する条約(拷問禁止条約)などの国際基準に適合していないことを示しています。日本はこれらの条約を批准しており、その履行を義務づけられています。国連からの勧告は、日本政府に対する強いメッセージであり、刑事司法の改革を促すものです。


では、具体的にどんな影響があるのでしょうか?日本の刑事司法の問題点は、多くの人々の人権や生活に深刻な影響を及ぼしています。以下に、いくつかの事例を紹介します。


カルロス・ゴーン氏は、日産自動車の前会長として、金融商品取引法違反や背任などの容疑で2018年11月に逮捕されました。その後、保釈されたものの、再逮捕や保釈条件の厳しさなどにより、日本での裁判に不信感を抱きました。ゴーン氏は、日本の刑事司法制度は「人質司法」であり、「有罪率99%の国で公平な裁判は受けられない」と主張しました 。また、日産社内でクーデターを起こすために日本の司法制度を利用した人たちを罰することを目的にしていると述べました。ゴーン氏は、2019年12月に日本からレバノンに逃亡し、その後も日本の司法当局との争いを続けています。日本では国際手配されており、仏国際逮捕状も発布されたと報じられましたが、ゴーン氏はフランスの司法制度を信頼しており、「公正な裁判を受けられると考えている」と述べました。

佐野太氏は、2000年に東京都内で起きた殺人事件で、被害者の妻と共謀して夫を殺害したとして逮捕されました。しかし、佐野氏は自分が無実だと主張しました。佐野氏は、取調べ中に暴力や脅迫を受けて自白したと証言しました。また、佐野氏は、検察官が証拠を隠蔽したり改ざんしたりしていると主張しました。佐野氏は、2004年に一審で無罪判決を受けましたが、2009年に二審で有罪判決を受けました。その後、最高裁まで争ったものの、2017年に最終的に有罪が確定しました。佐野氏は現在も自分が無実だと訴えています。

木村花さんは、テレビ番組「テラスハウス」に出演していた女子プロレスラーでした。木村さんは、番組内で他の出演者とトラブルになったことがきっかけで、インターネット上で激しい誹謗中傷を受けるようになりました。木村さんは、SNSやメールで自殺願望や自傷行為を示唆する投稿やメッセージを送っていたことが後に明らかになりましたが 、警察や医療機関などが適切な対応をしなかったことが指摘されています 。木村さんは2020年5月に自宅で自殺しました。

これらの事例は、日本の刑事司法が人々の人権や尊厳を守ることができていないことを示しています。日本の刑事司法は、国際的な基準や条約に適合するように改革する必要があります。国連人権委員会は日本の刑事司法に勧告をしていますが、それだけでは十分ではありません。日本政府や国会は勧告を真摯に受け止めて行動するべきです。

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