お味噌汁のルーツを知る②

自分のために癒しご飯を作って
心も体も元気になる
<一汁一菜シンプル自炊>をお伝えする
自炊伴走人ひろきよです。

お味噌汁のルーツ、先週は平安時代まで
お伝えしました。
今週は鎌倉時代以降です。

◆鎌倉時代◆

平安時代には庶民の口には入らない貴重品だった味噌。
鎌倉時代になると中国から日本へやってきた僧の影響で
すり鉢が使われるようになり
味噌の粒々をすり潰してペースト状にしたところ
ペースト状の味噌は水に溶けやすかったため
味噌汁になりました。

これが味噌汁の登場です!!!

この味噌汁の登場によって
「一汁一菜」という鎌倉武士、そして現代まで通じる
食事の基本が確立されたと言われています!!!

鎌倉時代は質素な生活をモットーとした武家社会だったため
味噌汁の登場によって確立された「一汁一菜」の食習慣は
粗食に見えても、栄養バランスの優れた味噌のおかげで
健康的な食生活となり
庶民にも少しずづ浸透していきました。
味噌汁は食生活の基本になり、
庶民にも少しづつ浸透していきました。

◆室町時代ー手前味噌全盛◆

鎌倉幕府がつぶれて、戦乱の世になると、味噌はますます貴重に、
基本の食材になってきました。

味噌はいつ戦いに行くかもしれない武士にとっては、
携帯に便利な栄養食でした。

この頃、朝鮮半島の高麗から、大豆を丸めて糀発酵させる
味噌玉が伝わりました。
今の味噌作りと同じですね!

味噌はさらに美味しくなり、どこの家でも味噌を造るようになりました。
こうして手前味噌の時代が到来です。

造る人や、その家に住む自然の菌、気候によって味が変わるから、
全国各地で、地方、村で、家庭で、それぞれの味噌が造られていきます。
味噌はそこでしか味わえない、家庭の、ふる里の味になっていくのです。

◆戦国時代ー味噌が戦陣食◆

食事が戦闘能力に大きく関わる時代。
兵士は塩・味噌玉・食料を携帯していたそうです。

石田三成は「熱湯に焼き味噌をかき立てて飲めば、
終日米がなくとも飢えたることなし」と
語ったとの言い伝えがあります。

現在、各地に残る味噌には、戦国武将の考案によるものと
されるものがあります。

上杉謙信の「越後味噌」、伊達政宗の「仙台味噌」、
武田信玄の「信州味噌」、
豊臣秀吉、徳川家康の「豆味噌」というように
味噌作りを奨励していたようです。

◆江戸時代ー 味噌屋の登場◆

徳川家康が天下統一を果たした江戸時代。
江戸の人口が50万人に達し、味噌の需要に対する
生産量が追いつかなくなってきました。

そこで、三河や仙台からどんどん味噌が江戸に送られ
味噌も家庭での手造りだけでなく、お店で買うことも多くなってきました。

1645年には、伊達藩が「御塩噌蔵」を設け、
仙台味噌を大量に売り出します。

これは味噌の生産量だけではなく
そもそも江戸にいる伊達藩の藩士たちが、仙台味噌を食べれずに
欲求不満になってしまったのが、
「御塩噌蔵」を設けるきっかけとも言われています。

◆明治・大正時代ー異国の味にも似合う味噌◆

1867年、大政奉還、王政復古の大号令、徳川幕府の終焉、文明開化…

日本に異国の風が一気に吹き込んできましたが
なによりインパクトがあったのは肉食の習慣!

それまでの日本人は、肉はたまに鶏肉がせいぜいで、あとは、
ウサギ、イノシシ、鹿などを食べるくらい。

それが文明開化の象徴として、東京で流行したのが牛鍋でした。
ちょんまげを落としたざんぎり頭で、牛鍋をつつのくのが
最先端のお洒落だったそうです。

とはいえ、西洋文化といえど、この牛鍋、
ちゃっかり味噌仕立てだったそう。

それまでおなじみの、牡丹(イノシシ)鍋、紅葉(鹿)鍋、桜(午)鍋は、
どれも味噌仕立てでした。
味噌は、獣肉の臭みをとり、柔らかくするのです。

それで、牛肉も味噌で臭みを消せば、日本人の口に合うだろうと、
味噌仕立てになったようです。
こうして味噌は異国の味にも合う食材として、さらに広まっていきます。

◆ 昭和から平成、令和◆

第二次世界大戦後、東京では味噌蔵が戦火で少なくなり、
味噌が不足していました。

そこで、信州から味噌が大量に出荷され、
米糀がたっぷり入った薄い、山吹色の信州味噌が
東京でお馴染みになります。

時代にともない、味噌の容器は樽から冷蔵庫へ収納しやすい
カップへと変化してゆきます。

また、出汁を取る手間を省いても美味しい味噌汁を作ることができる
出汁入り味噌やインスタント味噌汁なども登場しました。

食品化学が発達し、味噌も工場で素早く作れるようになってきました。

でも、今、自然食品や無添加が見直されるようになってきて
“安全で美味しい”ことを求めて、「手前味噌」や
味噌汁が「腸活に最適!」「病気を防ぐ!」と注目されています。

縄文時代にまで遡る味噌、やっぱり日本人のDNAに
染み付いている「ソウルフード」ですね!

いやあ、奥が深い!!!

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