ホストが埋めてくれる
『私は一般人じゃ満足しないの。もうプロじゃないとムリ。女性用風俗だっていきたい。』
彼女は悩んでいた。
性欲の処理の方法がわからない。
マスターベーションをする気は起きない。
なにかに集中することが出来ない。
衝動も抑えられない。
もちろん、アンガーマネージメントなんて
気休めは彼女には通用しない。
『もうあれやこれや指図されるの嫌なんだよ!
私が障がい者だからっていちいち細かいんだよ!』
知りあって5年が過ぎようとしていた。
知的障がいをもつ母親、中東出身の父親のもとに産まれ、充分な愛を注いでもらえず
両親は蒸発。母は病で亡くなったらしい。
親族の提案で、支援学校を出てからはグループホームで生活しながらバイトをしては
同世代の女の子たちがすることをしたがった。
当たり前のことだ。
障がいのある無しに関わらず、自然な気持ちだろう。
9歳離れた彼女をほうってはおけなかった。
「グループホームからでて、一人暮らししてみたらどうだ?」
しかし、この提案は果たして正解だったのか。
思い悩んでいた。
先日、彼女はウチに来た。
そこで気付いたのは、服の汚れ、下着を身に着けていない、そして何よりもゴキブリの死骸が
靴の中と足裏に付着していたことだ。
グループホームをでて、
働きながらも福祉の手助けもしてもらいつつ、
僕が助言するなかで彼女は生活していた。
部屋の整理整頓と身だしなみは特にうるさく言っていた。
社会人として外で働くからには基本中の基本だからだ。
嫌な予感はしていた。
部屋を見せたがらない。
彼女はシェアハウスを借りて暮らしていたが
同居人から害虫に関するクレームが仲介業者を通じて入ったと聞いていた。
説得し、本人の了承を得て
鍵を預かり不在時に部屋を訪れた。
ゴミ袋に入れられた洗濯済みなのかわからない
衣服、少しの調理器具、ベッド、冷蔵庫。
ーそしてゴキブリ。
ひどい有り様だった。
1年半前の入居時に白かった床は
ゴキブリの抜け殻、フン、死骸でいっぱい。
『掃き掃除はしてるよ!!』
彼女は主張したが、そうゆう問題ではなかった。
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