介護が必要な高齢者を支えるための動きの理解について(立ち上がり編)
介護やリハビリを必要とする高齢者が身近にいる方に読んでもらいたい投稿です。
例えば、ご高齢の両親のいる方に。
もちろん、介護を必要とする高齢者をケアしている職種の方にも。
介護を受ける高齢者の現状
ヒトは何故、介護が必要になるのでしょうか。
その原因のひとつに、運動機能の衰えがあります。
・老化(加齢)によって
・病気のために
・突然のケガや事故など
ほとんどは加齢によるものが原因となり、運動機能の低下と認知機能の低下が起こります。
足腰が弱くなってくると、普通に歩けていた人が歩くのが辛くなってきます。これは、普段から歩く習慣のある人、運動習慣がある人と、そうでない人で大きな差が生まれます。
体を動かす仕事を続けている人は、いくつになっても元気な傾向があります。
歳を取るとやがて、立っているのもしんどくなって座っているほうが楽な状態になります。外出したくない、家のなかで過ごすほうがよくなり、他者との交流も徐々に減ってくるのが次の段階です。
予防策とすれば、外に出て知人、友人と交流を持つことがとても大切なのがおわかりになるでしょう。
デイサービスは、その一環として運営されています。
「身のまわりのことが自分でできること」
これまで在宅現場で高齢者に関わってきた経験から、健康成人であれば当たり前とされていることが、いかに価値を持つのか。
その際たるものは、ひとりでトイレに行けることでしょう。
逆を考えれば、子どもを育てていく過程では、ひとりでトイレに行けるようになれば、どれだけ育児が楽になるでしょうか。
高齢者はその逆をたどります。
自分で歩けていたものが、歩けなくなる。
座っているのもやっとになる。
起き上がりが困難になる。
やがて、寝たきりになる・・・。
残念なことかもしれませんが、
これが今、介護現場で起きている現実です。
そして誰しもが、この過程をたどる可能性があるということです。
平均寿命に対して、健康寿命という表現があります。介護を必要とせずに、元気に暮らせる年齢を指します。
健康寿命は 男性72.68歳、女性75.38歳
平均寿命は 男性81.41歳、女性87.45歳(2019年現在)
その差は男性が8.73年、女性が12.07年となり、
言い換えるとこの期間を高齢者は介護を受けながら過ごすことになります。
動きの理解と介助者にできること
身のまわりのことが自分でできるには、足腰の筋力を保つことがとても重要になります。元気に動けるということです。
もう一歩踏み込むと、足腰の動きに加えて
体幹(腹筋、背筋、首)をしっかりと動かせることも重要な要素になります。そして、基本的な動きには、歩く、立つ、座る、起き上がる、寝返るなどの動作があります。
動画:4つの姿勢について
もし、足元がふらつくようになってきたら、それは「フレイル」という現象が起きていると考えてよいでしょう。
フレイル=虚弱と訳されます。
加齢のために筋肉が細くなり、動きがゆっくりになることです。
程度の差こそあれ、介護を必要とする高齢者では、このフレイルが起きています。そして、寿命を全うするまでの10年近い期間をどうやって過ごせるかは、終末期の生活の質を大きく左右します。
足腰が弱くなってきたな、と感じる高齢者によく勧められるのがスクワットです。それほどまでに、足腰の筋力と体幹のバランスを取れることは重要と言えます。
また、実際に介護をしているご家族にとっては、どうやって親の動きをサポートしたらよいでしょうか。
いすから立ち上がる、座るという動きひとつとっても、介護に直面して初めてそのやり方に戸惑うことでしょう。
立ち上がり動作の介助方法
今回、ご紹介する動画では、ベッドから立ち上がる際のポイントについてお伝えしています。
介助する際の3つのポイント
・転倒リスクを避けるために足腰の筋力の確認をする
・立ち上がる人の重心を骨盤⇒膝に移動する(水平移動)
・介助者は担ぎ上げる要領でまっすぐに立ち上がる(垂直移動)
動画:立ち上がりを安全に介助する
ベッドから立ち上がれることで、つかまりながら歩く、車いすに移るなど部屋のなかでの行動範囲は格段と広がります。
寝たきりにならない、させないためにも介助者の理解が深まればと思います。
physical, mental, spiritual and social well-beingに生きるお手伝いをしています。2020.3に独立開業しました。家族を大切にし、一人ひとりが生き生きと人生を楽しめる社会が訪れるといいなと思いながら綴っています。