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塩豚の塩抜き加減と旨味減少への葛藤

 私は塩豚が好きだ。

 詳細なレシピはしっかりとされた投稿者の方があまたに手法を凝らして描かれていらっしゃるので割愛するが、豚のブロック肉をしおづけにする。これだけである。寸前に塩とだけや、塩とハーブを混ぜるとか、飽和食塩水的な溶液(本格的に言えばソミュール液)を作って漬け込むのだ。そうして熟成された豚肉は血の臭みが抜け、滋味のあふれるアミノ酸がじゅっと口に広がって、脂身もまた甘味を増し、美味である。

 ここで私が何に悶えるかというと、塩豚は熟成させるときの塩分濃度と実際食べるときに許容される塩分濃度の差異が激しいため、……つまり、食べる前に「塩抜き」というひと手間を要するのだが、何分の間水にさらせばいいんだ???という加減がわからないのである。

 塩は水溶性だ。水に溶けやすい。だからこそ特に乾式で作る塩豚だとうまみが濃縮されるわけだが、塩抜きするときにうまみも逃げないかい??っていう不安が頭をよぎるのである。せっかく濃縮したアミノ酸が失われるのはもったいなく思うのである。

 しかし、塩豚を作るときに全体の5%以上の濃度になるように塩を使う以上、スープに用いるとしても塩抜きという工程は外せないのだ。じゃあ、何分までなら「塩は抜けるけど、まだ旨味は残っている??」という疑問が現れてくる。


 おんなじ話がウロボロスの様にわっかになっている。


 とにかく、肉は高い。最近とみに、100g100円などといった豚肉はお目にかからない。ブロック肉を使う以上、崇め奉りながら、丁寧に、粗末にならぬように、十二分に長所が生かされるように調味したいのである。これは全人類、いや、食物を飲食するすべての種が希う、「おいしいものが食べたい」という希求であろうが!!


 寒くなって、悪くなる恐れが少なった今、塩豚はまさに試し時の調理方法なのだ。今期の冬こそ、最適解を見つけ出したい。 

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