[短編小説] 金の切れ目が縁の切れ目
「なあ、10万貸して?」
当時、付き合っていた彼からの突然の申し出だった。
「えっ」
「・・・・・」
お金貸してって、何のために?どうして?そんなにお金に困ってるの?
頭の中ではいろんな疑問が一気に駆け巡っていた。
でも、口からついて出てきたのは
「いいよ。ちゃんと返してね。」
なんとなく余裕を見せたくて、聞きたいことも聞かずに貸してしまった。器の小さい女と思われたくなかった。
28歳、結婚を意識し始めていた時期のこと。
10万円って、1人暮らしの女性にとってはかなりの大金