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兼近大樹著『むき出し』を読んで

やーーっと読めた!!!
せっかくなので感想をつらつらと書いていきたいと思います。全く纏まりない文章で申し訳ない。


このオレンジをベースとしたカラフルな表紙の本を手にした瞬間から、きっとこの本は私の人生にとってすごく大切なものになるのだと確信していた。


※ネタバレあります。読んでない方注意。※



ok?




序盤は壮絶な彼の幼少期のお話だった。回されることの無い洗濯機の上でネズミが死ぬような、想像もつかない程貧乏な家庭、容赦ない祖父からの暴力、周りの環境や状況が理解出来ずに孤立する学校生活。学びから程遠い世界で生きる子どもがどう成長するのか、所謂普通を教えられることが無かったせいで自分が抱えている感情が何なのかが分からず、暴力や暴言で周りをコントロールすることしか知らなかった彼の幼少期はあまりにも凄まじいものだった。
全編を通してこの感情のコントロールや自分との向き合い方が出てくるが、少しずつ少しずつ彼の中で変化が起きているのを、初めて書いた本というには驚くくらいしっかりと描写されていた。本当に本が好きで、沢山読み、そこから学びとった書き方だと感じて胸が熱くなった。

メインは幼少期から高校中退すぐまでで、中盤から後半にかけてはサクサクと進んでいったように思う。きっと彼の中での記憶が、幼少期の方が色濃く残っていたのだろう。本編にも書かれているが、彼の記憶、特に大人になってからの記憶は所々曖昧だったように感じる。


本書の中で、私が心を打たれた文章が2つあった。

1つは、213ページにある
『人は被害者だと強く思った時、加害者になり得るんだ。』

特にSNSをやっていれば、すぐにこれが言わんとすることがわかると思う。自分が何の被害も被っていなければ気にならなかったことが、自分に危害が及んだ瞬間それは攻撃対象、あるいは攻撃'をしても許される'対象となるのである。自分が受けた被害を免罪符とする人があまりにも多い。しかもその被害は人による。自分が傷つけられた「気がする」レベルからだ。
少しくらい我慢をしろ、という話ではない。1度落ち着いて考えるべきなのだ。それは果たして誰の正義で測ったものなのかを。

2つめは、245ページにある
『経験が浅いんじゃなく、経験が違うんだよ。』

あの人はまだ若いから、何も考えてない、これからわかる事だから、そうやって相手がまだまだ未熟者であり自分のステージが上だとでも言うように発言する人がいるが、そうじゃない。そもそも同じステージになんて居ないことに気づかないといけない。これは生きていく中ですごく重要だと感じる。
分かり合えない人種、というのは一定数いる。
私の人生にも一生分かり合えないし、分かり合いたくもないと思った人が数人はいる。その人達のことを私は「OSが違うから文字化けしてる」と表現してきた。これは多分、どこかで聞き齧った文言だと思う。これに並ぶ、人生の重要な指針になる文章に今回出会えたことが私はすごく嬉しいし、それが推しの、兼近大樹の言葉として自分の人生に組み込まれていくことがすごく嬉しい。


当初の予想通り、この本は私の人生において宝物となる事が決まった。きっと今後の人生の節目節目に思い出し、読み返すだろう。
そして出来ることなら、多くの人にこれを読んでほしい。何かにすごく悩んでいる人だけでなく、どちらかと言えば、現代のSNS社会や未だ「普通」以外がマイノリティである世界で、ほんの少しだけ息苦しい人に読んで欲しい。何かが革命的に変わるということじゃないかもしれないけれど、この本が一掬いの酸素になってくれたらいいと思う。

兼近がこの本を書き切ってくれたこと、出版までサポートをしてくれた人々、支えてくれた仲間たち、そして私がこの本を手に取るまで一ファンでいられたこと全てに感謝と愛をこめて。








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