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26年前の作文と決意

「むかつく木」

小学4年生のときに書いた作文のタイトル。
我ながら尖ったタイトルをつけたなぁと振り返る。

作文の内容は、図工の時間にのこぎりで木を切る作業が大変だった、というもの。

硬くて硬くて、
小学生のわたしの力ではなかなか切り落とせなかった木。
その木に対して湧いてきた感情を「むかつく木」という作文に込めた。

教室の廊下に貼りた出されたクラスメイトの作文。
身長より高い位置から顔の位置まで、タテヨコずらりと並んでいる。
わたしの書いたそれを探すと、ちょうど目線の高さにあった。


乱暴な字で書かれていた。
その上には、赤ペンで書かれた大きな花まる。

作文の最後には赤い文字で
「うまい文だな〜」と、ひとこと書かれていた。

いまでも鮮明に覚えている。
先生からのひとことを、何度も何度も見返した。



自分が体験したことをそのまま書いた作文。
わたしが書いた作文で先生が喜んでくれたことが素直に嬉しかった。


本の好きな先生だった。
白髪交じりのロングヘアを、いつも一本の太い三つ編みにしていた。
本と同じくらい歩くことも大好きで、いつもリュックサックを背負って歩いて通勤していた。

名前はI先生。
4年生の1年間だけ担当してくれた。

他の先生と違い、
朝の会では毎日本を読んでくれた。

朝の光が差し込む教室で、
先生が語りかけてくれる。

本の内容は覚えていないのに、
そのあたたかい光景はよく覚えている。


先生が生徒たちを想う気持ちが
26年経った今も伝わってくる。

そんな先生に認められた作文の記憶は、
わたしの原体験になった。

I先生に出会えてよかった。
先生のかけてくれたひとことのおかげで、
わたしは今も書くことができている。


26年も経ってわかった、先生の愛情。
誰かの記憶に残り、良い影響を与えられる人。
わたしも、そんな人になります。

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