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昨日、息子に歯が生えた。

昨日、息子に歯が生えた。

このところ機嫌が悪いことが多く、ひっきりなしに自分の指をしゃぶり、奥まで咥え込んではえずいたり、私の指や腕や膝にまで喰らいつくこともあり、昼夜を問わずぐずぐずと泣いていた。

今になって思えば、まさに歯痒くて苛々していたのかもしれない。

昨日の朝。
彼の頬についていたお粥(なお、意を決して始めた離乳食は、今のところほぼ食べてもらえていない)を拭おうと、伸ばした指を噛まれた。
もしかして、と見てみると、ちいさなちいさな乳歯が2本、つるつるの歯ぐきから、確かに顔を覗かせていた。


息子が、まっさらな歯ぐきを見せて、うふふ、えへへ、と私に笑いかけることはもうない。


息子は最近寝返りを覚え、うつ伏せの姿勢のままその場で回転することを覚え、ずりずりと後進することを覚えた。

まだ前進はできなくて、お目当てのものに手が届かなければ、その悔しさから泣けるようにもなった。

父と母の区別がはっきりとつくようになり、私の抱っこでしか泣き止まないことが増えた。

もうすぐ彼はずり這いで前進できるようになり、はいはいを覚え、自分の意思でどこへでも行けるようになる。

つかまり立ちをし、つたい歩きをし、あっという間にひとりで歩きだす。

手にしたいものは、大抵自分の力でつかめるようになる。

父や祖父母や周りの大人や、いずれは友達と過ごす時間も増える。

そしていつか、私には抱っこもさせてくれなくなる。


今、彼の望む殆どは、私によってのみ叶えられる。

でもじきに、私では何ひとつ、
彼を手伝うことさえ、してやれなくなる。


10kgになろうとしている彼の体を抱き上げて、「早く大きくなるんだよ」とはしゃいでみる。

本当は「もう少しゆっくりでもいいんだよ」と言いたいのを我慢して。

大きくなって、たくさん楽しいところへ行こう。
きれいな景色を見よう。おいしいものを食べよう。


あと数日で、息子は生後半年になる。


お祝いには、それはそれは可愛い歯ブラシをプレゼントしようと思っている。


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