きんいろの月舟

しじん。エッセイ・イラストとか。

きんいろの月舟

しじん。エッセイ・イラストとか。

最近の記事

白クマ

子供の頃の記憶というものは、簡単に思いだせるものと いくら思い出そうとしても思い出せないものがある。 すっかり忘れてしまったことを 誰かに言われて思い出すこともあるし、 何かがトリガーとなって記憶が鮮やかに蘇ることもある。 いままで何度も白くまの親子のかわいらしい姿を見ていた。 白くまは愛情深い生き物なのか、人間の子供のようにこぐまが母ぐまに甘えている写真などをよく見かける。 微笑ましくて、可愛らしい姿だ。 それまでは一度も思い出すことがなかった。 それが、

    • イチゴいちえ

      葉の裏にひっそり。 息を潜めて 待っている。 あなたが見つけてくれるのを。 もしこのまま・・ 見つからなかったらって 少し怖い気持ちと 表に出たい気持ちと このまま隠れていたい気持ちと 入り交じる。 ああ。 だって。 こんなに赤い。 こんなに赤くなっているのだもの。

      • 夜空に浮かべて

        西側の空は かすかに夕焼けを残したまま 紺色に染まり うすい うすい 三日月がのぼってた。 この舟の上に何をのせようかと考えた。 この舟の上にはきっと 繊細できらびやかで・・ って、いくら考えても具体的なものが浮ばない。 君だったら、何をのせたいって思うんだろう? そんなことを思いながら 空を見上げて、 うすい三日月に携帯のカメラを向ける。 誰かに見せたら、たぶん、何の写真かも分からない。 どうせ、まともな写真なんか撮れないって分かってるのに

        • ぼくの片割れ。

          僕は、ずっと、生まれてから孤独だった。 どこにいてもなじめない。 僕のことを分かってくれる人など どこにもいない。 誰も僕のことなど、関心がない。 でも、そんな風に思いながら暮らしてもいけないから 傷つかないようにってこころを閉ざして なんでもないフリをして生きてきた。 絶望にフタをして、 夢というキラキラしたものを飾り付けて それさえ観ていれば、人生は悪くない。 すべて上手くいっているように振舞っていた。 そう、それで上手くいっていたんだ。 君と逢

          きんいろの月舟。

          夕暮れに傾く空、 小指の爪で引っかいたような月、 淡く、儚く、 消え入りそうで。 あなたはきっと 痛いというのでしょう。 その儚さゆえに。 あまりの愛しさゆえに。 ひりひりと細い 空にあいた窓から 覗く あちらとこちら。 深い、深い闇に落ちて。 凍りつくような痛みさえ、 喜びに変え 漕ぎ出せば きんいろの月舟。 恍惚に抱かれ 天の川にうかぶ。

          きんいろの月舟。

          まあるい水晶の中の思い出。

          それまで大切に大切に胸の中で暖めていた 大切な思い出と想いが壊れてしまった。 わたしのやってきたことはなんだったのだろう? まあるい水晶のようにキラキラとした玉の中に ずっとずっと輝いていた 明るく心を照らしていた想い出が 床に落ちるようにして 粉々に砕ける瞬間を感じた。 涙がぽろぽろと流れた。 大切な思い出だった。 胸がぎりぎりと音を立てて軋んだ。 割れてしまった思い出を 拾い集めようとしたら指先から血が滲み 拾い集めたところで元には戻らないことを

          まあるい水晶の中の思い出。

          そうだ!どこでもない場所へ行こう!(浅生鴨さんにインタビューをしました)

          僕はいつも迷っている。 文字どおり、道に迷ってなかなか目的地に着けないことなど日常茶飯事だし、ようやくたどり着いたと思ったら、そこは約束していた場所と違っていたなんてこともよくある。 誰も気にしていないようなことを気にして余計な行動をとるくせに、みんなが気にしていることはまったく気にも掛けないから周りの人には迷惑をかけっぱなしだ。 伝えるべき言葉に迷って大事なタイミングを逃し、言葉選びに迷わない場合には伝えるタイミングに迷って、結局は上手く伝えられないでいるーー 迷エッセイ

          そうだ!どこでもない場所へ行こう!(浅生鴨さんにインタビューをしました)