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TEAL組織の話

最近、私の周辺でTEAL組織の話題が少々盛りあがっていまして。今回はそれについて少々まとめてみたいと思います。

TEAL組織って何??

まずはこの話なんですが、すでにいろいろなところで紹介されていますので、ここでの詳しい説明は省きます。いろいろなアプローチでの説明がありますけど実態を分かりやすくまとめているnoteは下記のかなあ??

TEALとは??という話(特に組織形態の種類)から入るとややこしいので、要は社員が自律的に判断し、動く組織で、管理がなくても自律的に活動できている組織の状態のということに今回はしたいと思います(経営情報のオープンとか、給与を自分で決めるとかいうのはそういう組織を作るための方法の一つということにします。だってそれが目的ではないと思いますので)。

ヤマキン的TEAL組織の衝撃

私は一番最初にTEAL組織で衝撃を受けたのは、NHKのプロフェッショナル仕事の流儀で星野リゾートが取り上げられていたDVDを見たときです。このDVDを見た当時は金沢大学でキャリアデベロップメントという授業をやっていまして、コンピテンシーアセスメントを学生にやってもらうために、仕事の流儀のDVDの中から面白そうな人を選んでいたのですが、その時に星野さんにしようかなあと思ってDVDを視聴したのですが、組織はドフラット、プロジェクト単位でチームはできたり、解散したり、そして一番衝撃だったのが、社長が会議に出席しても何一つ決めないという部分でした。星野さんは本当に全国駆け回っていて(最初、社長室は軽井沢にあったらしいのですが、いないのでもったいないから事務所にしちゃった。っでPCを常に持ち歩いており、出先の空いた机で仕事しているそうです)。会議にはできる限り参加するのですが社長は一切決めない!!。会議自体も提案者が関係者によびかけて招集するらしいのですが、社長は議論しても決めない、「どうしたいですか??」と提案者に投げかけるだけらしいんです。

私も一応経営者として会社やっているので、最後の決断が経営TOPの仕事だと思っていて、何度DVDみてもこの星野さんのスタンスが???だったんですね~

そうこうしているうちに巷でTEAL組織の話が話題になってきて、TEAL組織の概念が理解できて初めて星野さんの行動に納得できた(つまり星野リゾートはTEAL組織になっている)という次第です。

最近になってやっとそれについて書いた本が出てきました。

星野リゾート


TEAL組織って新しいのか??

実は私の周囲にもTEAL型の組織で会社を回している人が何名かいます。面白いのはそのうちの何名はTEAL組織のことを知らなかったんです。でもやり方を聞いているとTEAL型なんですね。私の知っている2名の経営者は言われて初めて気が付いたみたいな・・(笑)

※でもそのうちの1名は新卒で星野リゾートで働いてから起業しているので、TEALが当たり前みたいな感覚があったのかもしれません。

ちなみに仕事の流儀のDVDで星野さんが取り上げられたのはなんと2008年。

つまり星野リゾートはすでにその頃からTEAL型だったという、、

でもおそらく(あったことがないの確認できない)は星野さんはTEAL組織のことは知らずにいろいろ工夫していく中でそういうやり方に変わっていったんだと思います。TEAL組織という概念自体は新しいのですけど、日本式経営(ボトムアップ型)の中には自然にTEAL型になっていったという会社が実は結構あるんじゃないかという気がします。

TEALとアクティブラーニングに見える「形の重要性」

TEAL組織を形成するうえでいくつかの形(組織の中でのいくつかの約束事を設定する、あるいは組織運営のルール)があるのでは?というのが私の印象です(型から入るコンサルやっている会社もありますし、TEAL型に似ているとされるホモクラシ―型組織も実は型を重視しているようです。)型から入るということについては一定以上の有効性があると私も感じています。これについて、私の場合は全く別の文脈で、アクティブラーニングをいろいろ調べていたところに接点があります。あ、アクティブラーニングとは課題を投げかけてそれについて学生どうして調べて議論して学ぶみたいなやり方の授業のことです。PBL(課題解決型)とか反転授業とかのやり方がその代表例です。やはり金沢大学で就職支援とキャリア教育に関わっていた時に、「金沢大学の学生って、まじめだけどおとなしいし、覇気がないよね~」といわれてまして、まあその通りなんだけどちょっと悔しいので何とかしたいなあという課題意識を持ち続けていたのですが、そんな中でアクティブラーニングで没入体験を経験させると、まじめで誠実でおとなしいのがとてもアグレッシブな奴に変わるみたいな事例をいくつか聞きまして、「おおそれ何とかモノにしたい!!」みたいな感じで自分の担当していたキャリア系の授業でも導入したりしてみたんです。やってみてわかったことは、ただアクティブラーニングを導入してもそれほど大きな変化がみられるわけではないがいくつかのポイントを押さえて導入すると結構効果があるという事でした。

っでこのポイントって何かというと、①正解探しをさせない。②議論の場での心理的安全性を担保する。③アウトプットをストレッチする。④学生一人一人の個性と価値観を尊重する⑤教える側はコーチングのスタンスで接する

だったと思います。これらについては学生たちにも提示していたと思います。

金沢大学の学生って地頭は悪くないんだけど、なんでもそつなくこなすタイプが多いので、最初は8割くらいの学生が私の顔色見て、正解探し(ヤマキンが気にいりそうな内容を考える)をするんですね。この辺のやり取りの中でそういう思考を否定して突き放すと、結構まじめに考えだして、そこそこのレベルにまで議論しだすのですが、やはりどこかでブレーキかけて「まあこのくらいやっとけばOKか??」みたいな着地点を探し始めます。そのころ合いを見計らって「まさかこの程度の内容でOKってことはないよね?」みたいなプレッシャーを与えつつ、そこまでに出てきた意見の中でオリジナリティのあるものをいくつか拾って持ち上げたりするとだんだん目の色が変わってきて、最後はかなりの割合で没入してアウトプットまで仕上げてきていたように感じます。

アクティブラーニングにおける没入体験って、言い換えると課題に対して何らかの内的動機づけをもって取り組み、妥協することなく自分自身が納得できるレベルにまでアプトプットを引き上げて仕上げるという状況だと言い換えることができると思います。これって組織の中で同様のことが行われていたとすればそれがまさしくTEAL組織の状態なのではと思っています。

そういう意味では何名かのメンバーで協業してオリジナリティの高いアウトプットを創出するにはやはり抑えるべき型(ポイント)があるように感じます。アクティブラーニングを調べていた時、ファシリテーション(プロジェクトやワークショップをうまく進める手法)についてもいろいろ調べたのですがこちらでも明らかに型(抑えるべきポイント)があり、それを参考にしていました。

じゃあ、このアクティブラーニングの手法を使うとTEAL組織ができるか?という問いに対しては、残念ながらNOです。というのは授業で実施するケースは場づくりに対して教員が介入(ファシリテーション)できるんですね。没入状態に追い込むという言い方のほうがピンと来るかもしれませんが、そこが自律的ではありません。自律的な組織運営が保たれるようになるには、学校においては教員、組織においては経営者もしくはマネジャーが第3者的な立ち位置で介入するのではなく、組織の構成員の中で生まれる雰囲気や、暗黙のルールがそうした状態を自律的に保つような状況を生み出す必要があると思います。組織でうまくいかないケースで多いのは、経営者もしくはマネジャーが介入するような立位置でやっているケースが多いのではないでしょうか?星野さんのすごいのは介入ではなく、あくまでも構成員の一人という立ち位置を演じていることだと思います。あ、そうか!!ということはマネジャーや経営者が介入者の立場をとらないというのは一つの形になりますね。ほかのメンバーと全く同じ位置の構成員という立場をとりつつ、組織とメンバーの自律性を担保するための黒子に徹するという形があるといえそうです(サーバント型マネジメントという奴ですね)。

TEAL組織でなくなる理由(管理=性悪説の弊害)

現在、北陸でTEAL組織について考えよう!!みたいなコミュニティでいろいろな人と定期的に意見交換しながら学んでいるのですが、その中に京セラで働いた経験のある方がいまして、京セラといえば「アメーバ経営」が有名なんですが、これってTEAL組織の考え方にすごく近いんでは??といえそうです。しかし、彼が入社したころ(今から10年くらい前)には社内にはそういうものがすでに実態としては存在してなくて、いろいろ社員の方に聞いてみたそうなんですけど、どうやら企業規模が大きくなる過程でだんだんなくなってしまったみたいという事らしいです。あの分厚いTEAL組織の本の中で代表的なTEAL組織として紹介されているいくつかの企業も現在はそうでなくなっているみたいです。なんとまあ残念な!!

これについては自分自身が人事経験者なのですごく気にしていることでもあるのですが、いわゆるちゃんとした人事管理をやろうと人事が動くとおそらくダメになるのでは??と思っています。前にも書きましたが日本企業(グローバル企業にも多い)のほとんどが性悪説のマネジメントなんですよね。一方TEAL型組織の本質的な考え方は性善説です。人はきちんと管理しないとすぐに手を抜くし、さぼりたがるものだという考え方が性悪説、一方、一人一人がより良い姿を目指しているので細かい管理等せずにゆだねて任せてしまうというのが性善説です。コロナで在宅勤務をやむを得ずに導入したけど、もとに戻している会社は残念ながら性悪説の会社が多いように感じますが、これをきっかけに変化し始めている会社も多いのはよいことだなあと思います。

自分自身のキャリアを振り返ってみたときに、残念ながら性悪説の管理をしなければと思っていた時期があります。アイ・オー・データ機器の時に、細野社長(現会長)と時々話がかみ合わなかったことがあるのですが、今にして思うと細野社長は性善説的な発想で見ていたのかなと感じます(ただ、性実態としては、あまりにも無管理すぎて会社を食い物にしているような幹部社員もいたのでこれはこれでうまくいっていなかったと思っています)。

話が脱線しましたが、マネジメントといいながら実態はチェック&コントロールを管理であると思い込んでいる経営者や人事屋が一人でもいるとおそらくあっという間にダメになってしまうということなんだろうなと思います。

で、TEAL型組織ってぶっちゃけどんな雰囲気??

これがなかなか伝わりにくいなあと思っています。

なんかないかなあと思っていろいろ調べていたんですが、ありました!!

これが恐らくTEAL型、雰囲気伝わるかも!!

「7人のシェイクスピア」という漫画です。

英国の劇作家・詩人のウィリアム・シェイクスピアを物語の中核に据えた歴史漫画であり、謎に満ちたシェイクスピアの人生や、宗教弾圧や陰謀などが描かれている。作者初の歴史作品であり、小学館の漫画誌では初の連載作品であった。また、移籍先の『ヤングマガジン』での連載は『ストッパー毒島』以来18年ぶりである。

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簡単に説明するとシェイクスピアの数々の名作を作りあげていたのは一人でなく表題の7人である!!というお話です。といってもシェイクスピアがその中核的なメンバーであるのですが、プロジェクトシェイクスピアとでもいうべきそれぞれ全く別のバックグラウンドを持ち、個性も性格も異なる7人がそれぞれの強みを存分に発揮して作品を作り上げていくさまが描かれています。演劇を単なる娯楽でなく後世に語り継がれる壮大な芸術にしようというシェイクスピアのビジョンに共鳴した他のメンバーがそれぞれ、自律的に、考え、自分の強みを最大限発揮し、作品のレベルを高めるために喜々として協業していくさまはまさしくTEAL型組織であろうと思いました。

※漫画は二部構成になっているのですが、二部のほうがもろTEALっぽいかなあ??

っで、TEAL組織を実現するには??

これはそこの集っているメンバーが自律できていることと、組織が自律していることの二本立てかなあと思います。人としての自律って口で説明するとなかなか難しいのですが、自分の直観に素直に従うことができるマインドということができると思います。理由も理屈もなく、自分の内なる心の動き(直観)に素直に従うことのできる人々が、実現したい未来の姿に共感して集まってその実現に向けて協業しているという感じでしょうか?

「個人の自律」と「組織の自律運営」この二つがTEAL組織のカギになるのでは??というところで今回は筆をおきます。「個人の自律」と「組織の自律運営」についてはどこかで触れてみたいと思います。

以前に書いた記事「自分のわくわくと向き合おう」は「個人の自律」にとても近いかもしれません。わくわく視点なのでちょっとTEALとつながりにくいかなあ??


長文、駄文の最後までお付き合いいただきありがとうございました。


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