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他人に親切をすれば、いつか自分も助けてもらえる 〜池に落ちたアリ(『イソップ物語』)

「情けは人のためならず」ということわざがあります。
 人に親切をすると、めぐりめぐって自分に返ってくるといわれます。
『イソップ物語』には、アリとハトとの心温まるこんなエピソードがありました。
 意訳してみましょう。

池に落ちたアリ(『イソップ物語』)

 池のほとりにいたアリが、誤って水の中に落ちてしまいました。このままでは、おぼれてしまいます。

 たまたま近くの木の枝にハトがとまっていました。

 苦しんでいるアリを見つけたハトは、かわいそうに思って、木の葉を一枚、ちぎって落としてやったのです。

 アリは、水に浮いた葉に乗って、陸へ戻ることができました。

 何の縁もゆかりもないハトの親切で、命が救われたのです。
 アリは木の上のハトに何度もお礼を言いました。

 ちょうどその時です。
 一人の猟師が、ハトを狙って鉄砲を構えているのを、アリが発見したのです。

イラスト 黒澤葵

 アリは、「今こそ、恩返しを!」と決意しました。
「自分のような小さなアリに、何ができるか」などと悲観しませんでした。
 すばやく猟師の足に駆け登り、力一杯かみついたのです。
「あ、痛い!」
 人の気配を感じ取ったハトは、間一髪で逃げることができたのでした。

 困っている人、苦しんでいる人を見かけたら、知らないふりをせずに、優しい言葉をかけましょう。助けてあげましょう。
 他人に親切に接しようと心懸けている人は、いつか必ず、自分も周りから助けてもらえるのです。

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