青い森セントラルパークの整備における地域産木材の利用について【青森市議会令和5年第1回定例会・予算特別委員会質疑原稿】


(質疑)
 現在、建設中の青森市総合体育館は、中央大橋から見ますと鉄骨が立ち上がり、その全容が次第に見えて参りました。この総合体育館と同時に、青い森セントラルパークも公園としての一体的な整備を行う予定とのことです。令和3年10月に前身の「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」を改正し施行された「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律(通称:都市(まち)の木造化推進法)」においては、公共建築物はもちろん、民間建築物にも積極的に木材を利用することを目指していくこととなっています。地域産木材の利用は、林業や製材業といった地域産業の活性化につながります。つまり、法律の趣旨は、公共建築物を模範にして、民間建築物へも木材利用を広げていくことです。
 青森市でも、「青森市木材利用促進基本方針」の中で、「青森市内の公共建築物の整備において積極的に地元産材の利用を促進する」と定めています。公共建築物の柱や梁などの躯体や床や壁などの内装だけでなく、公園のベンチや遊具などでも、地元産木材の利用が全国的に広がっております。そこでお伺いします。青い森セントラルパークの公園部分について、地元産材を利用する予定があるのかお示しください。

(「青い森セントラルパークは、『青森市みどりの基本計画』などに基づき、小高い丘の整備、郷土樹種の植栽など、自然を遊具にして遊べるような公園を整備予定。木造になり得る施設としては、ベンチなどが考えられる。今後整備実施事業者と協議しながら進めていく」)

(要望)
 公園など屋外の施設に木材を利用する際に懸念されるのは、まず風雨に晒されることによる腐朽、つまり木材が腐ることによる劣化ですね。また、雪国青森では、積雪による物理的に破壊されないような構造である必要もあります。そうなると実績のある既製品が、ということになりがちではあります。しかし、雪国であっても地元産材を屋外に利用している例は多くあります。例えば、青森市と同じく豪雪地帯である新潟県上越市においては、地元企業が地元の木材を利用した、「雪曲がりベンチ」というものを開発・販売しております。これは地元の公園などに設置されているとのことです。
「雪曲がりベンチ」は、積雪によって樹木の根元が曲がった形をそのままに、厚い板にひき、それをベンチの座面、座る部分ですね、にしております。そして、座面を支える部分も、丸太でできています。もちろん防腐剤などは塗布しておりますが、仮に多少表面が腐朽したとしても、一つ一つの部材の断面積が大きいため、すぐに壊れることは無い構造になっています。
 こうした、無垢の木を使用した公園施設は、景観にも馴染みますし、市民の憩いの場所としての効果も高まるものと考えます。また、加工度を低くすることで、製材、つまり丸太から製品へする際の歩留まりを高めることで、製材業の儲け、そして林業の儲け、森林所有者への還元を高めていくことにもつながります。
 地元木材の利用をするにあたって課題となるのは、地元産木材の調達です。木材は森林から切り出してから実際に使用するまでに、樹木の伐採、運搬や、乾燥などの加工準備にもある程度の時間がかかります。そのため、市で例えば「公園のベンチにはこういう地元産木材を使った製品を利用します」というものがあらかじめはっきり決まっていれば、地域経済への波及効果を最大化する形で、木材の利用を図ることができます。
 ぜひ、個別の施設の整備にあたって、具体的な木材利用の計画を立てていただき、「青森市木材利用促進基本方針」の理念が実現できるように、積極的な取り組みを要望します。また、これ農林部になりますけど、以上でこの項は終わります。


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