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地域を豊かにするエネルギー自給、人口877人、オーストリアの山村の挑戦。 大規模集中から小規模分散へ

これまでのエネルギー供給は、火力・原子力・水力ともに、巨大な発電所を作り、たくさんの電気を作って売る、というものでした。
再生可能エネルギーであっても、メガソーラーや巨大な風力発電は、同じように電気の大量生産・販売を目的としています。

果たして、それは本当に「エコ」なのでしょうか。
地域に経済効果をもたらし、豊かにするものでしょうか。

これからのエネルギー供給は、大規模集中から小規模分散目指すべきと考えています。

例えば、小水力発電。

既存の農業用水路などに、小型の水車のようなタービンを設置して発電し、近隣の農業用施設などで利用するもので、日本全国に導入事例があります。
クリーンな発電方法であるのはもちろん、円安による化石燃料の高騰や、地震による停電にも左右されません。

これまで地域外に灯油購入費などとして出ていってしまっていたお金が、反対に売電収入として地域の中に入ってくるので、経済効果もあります。

また、海外では、薪ボイラーによる熱供給という面白い取り組みもあります。

オーストリア、アルプスの山中にある小さな村、ラグガル。
10年前に811人だった人口が、現在は877人と、10%近く増加しました。

取り組みの肝は、村役場に設置した薪チップボイラー。
このボイラーから村の各家庭に配管が伸びており、暖房用などの熱供給を行なっています。

村に生えている木を、村人が伐り、チップを作る。そして、役場のボイラーで燃やして熱利用する。
同時に、木造の魅力的な建築物も建てる。
本当の循環型社会をこのラグガル村に、という芯の通った理念と、美しいアルプスの自然や景色も相まって、人々を惹きつけるようになりました。
移住したいという人が現れるようになったのです。

しかも、そうした移住希望者は、有名アーティストや、高度な技能や広い人脈を持った人たち。
彼らのラグガルでの暮らしを見たり聞いたりして、また移住希望者が増える・・・

減少していた村の人口は、増加に転じました。
人口が増えただけでなく、人財が集まったことでさらに村の魅力がアップしました。

導入ボイラーの初期費用は300万〜400万円とのこと。村のレベルでも十分はじめられるものでした。

青森市でも、こうしたエネルギー地産地消の取り組みによる、地域で循環する経済の仕組みを作っていきたいと考えています。

※写真は夏の八甲田


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