新しいお仕事のご報告


こんにちは、木村綾子です。

今日はひとつ、新しいお仕事のご報告をさせてください。

新型コロナウイルスの感染拡大で、世の中が不安と混乱のなか、生活やお仕事にも多大な影響が及んでいるかと思います。
エンターテインメントの発信方法にも自粛や規制がかかっている現在、けれどいっぽうで、「本」の持つ強度を、私は改めて感じていました。
現在3つの蜜に触れるようなイベントはすべきでない。
だとするなら、いまこそできる企画とはなになのか。
さまざま模索しています。
そのたびに、本に力をもらっています。

このような情勢のなか、きわめて個人的な報告をするのはどうなのかとも考えました。
でも、事態に良い兆しが見えたとき、少しでも早く、また皆さんと出会える機会を作りたい。そんな願いを込めて、お伝えしておきます。

この春から、「蔦屋書店」さんと一緒にお仕事を始めています。

全国にある蔦屋書店を舞台に、「本」から「場所」を、あるいはその逆、「場所」から「本」をイメージして、本にまつわる企画と制作をおこなっていきたいという思いから、業務委託契約を結びました。
イベントだけでなく、その日その場所から帰ったあとも、その人の人生とともに歩む「体験」を企画することで、本と人とをつなぐ場所を作っていこうと考えています。

ご縁に恵まれた経緯を、すこし書いておきます。

東京・下北沢の「本屋B&B」。福岡・天神の「Rethink Books」。横浜・みなとみらい「BUKATSUDO」。青森・五所川原を本拠地に運営する「太宰治検定」……。
さまざまな場所で企画の仕事を続けるなかで感じたのは、同じ本でも、置かれる場所が異なることで、まったく違う表情を見せるという気づきでした。
同じ企画でも、開催される場所が異なることで、語られることが変わり、参加者への届き方や刺さり方にも変化が生まれるという驚きでした。
そしてそれは私にとって、とても面白く、刺激あふれる発見でした。

そうか。「その本がその場所にあること」「その場所にその企画があること」は、奇跡と呼べることでもあったのか。
だとするなら、「本」と「場所」を掛け合わせることで起こる奇跡を企画してみたい。自分の目で、それを見てみたい……。
私のなかに、新しい挑戦が芽生えていきました。

本と場所を見つめる日々のなか、最初に生まれた企画が、又吉直樹さん全書き下ろしアンソロジー『Perch』でした。
とても悔しい決断でしたが、本作は発表直後、新型コロナウイルスの影響で発売を延期しました。今後の展開も、情勢を見つめながら検討していこうと思っています。
良い形で大切に、みなさんに届けたいと最善を尽くしています。待っていてください。

「羽田空港 蔦屋書店」と『Perch』を繋ぐ企画。
それが今度は、私と蔦屋書店とを繋いでくれました。
「何かと何か」を繋げることに夢中になっていたら、いつしか自分の人生まで繋がっていたんだから、まったく企画は、すさまじい。

本をめぐる日々のなかで私が経験したことを、文章にしました。
「木村さんはいま書いておくべきです」
文藝春秋・浅井愛さんのその声に導かれて、私は私を見つめるきっかけを得ました。
4月20日発売の『別冊文藝春秋』に掲載されます。
巻頭グラビア、31ページ。
よかったら読んでみてください。

表紙2020年5月号

健やかな気持ちで人が集う場作りを、これからも考え続けていきます。
かならずまた、お会いしましょうね。

2020年4月1日

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