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【解答例無料公開】2023年度獨協医科大学医学部(2月11日実施) 小論文 #過去問分析

こんにちは、医塾の木村です。

医学部の試験において、小論文は最も後回しにされる科目だと思います。
まだ現時点では小論文の勉強に手をつけていない人も多いのではないでしょうか。

確かに、小論文は医学部では配点が低い(or配点が無い)大学がほとんどですので、勉強戦略としても小論文は後回しで良いと思います。*ちなみに、獨協医科大学では、小論文の配点は非公表です。
しかし、全く文章が書けないとなるとさすがに足を引っ張ってしまいますので、「現役生」については、自分がどの程度文章が書けるのかを知るために、一度志望校の過去問を実際に解いて(書いて)みると良いと思います。
本格的な対策は9月以降でも良いと思いますが、実際に過去問を解いてみたら「全然書けない〜やばい~間に合わない~」と慌ててしまうのはメンタル的にも良くないですよね。いつから始めれば間に合うかを逆算して、心に余裕を持って勉強することが大事です。そのためにも一度過去問に触れてみることをオススメします。
「浪人生」は一度問題を解いて、自分の実力をある程度知っていると思いますので、全く書けないor苦手意識がある人は、少し早めに夏ごろから毎週1問程度で良いので手を付けてみると良いのかなと思います。(ただ、他の科目の方が優先度は高くて良いと思いますが)

志望校の問題パターンを知って、形式に合わせた対策をしていけば、最低限答案としてまとめられるようになりますので、慌てなくて大丈夫です。練習していきましょう。

細かい解き方が知りたい人は、コメントいただくか、こちら(X(twitter))まで連絡ください。
X(twitter) @kimura_ijyuku

【学校情報】

一般(前期)
科目
英語 60分100点
数学 60分100点
理科(2科目)120分 100点+100点
小論文(60分配点非公表)
合計400点

試験日は2日連続だが、自由選択制を採用しており、2日間受験しても良いし、1日だけ受験しても良い。2日受験した場合、その日の合計点が高得点の日の結果が採用される。
ちなみに、点数は素点ではなく、標準化された数値が採用されること、合格最低点が発表されないことから、目標点を定めにくい学校の一つと言える。
また、指定校推薦等もあり、一般入試での募集人数は全体の定員の半分程度となっている。

【全体概評】

今回は養老孟司さんの「自分」の壁からの出題でしたが、2022年もバカの壁から出題されていましたね。他にも、外山滋比古さんの思考の整理学から出題されたり、林修さんの著作から出題されるなど、割と有名な人の作品から出題されている印象です。

形式としては、2500〜3000字程度の文章が与えられて、問1で本文の要約(200字)、問2で本文の内容を踏まえて自分の意見を述べる(400字)という非常にオーソドックスな形式の小論文です。

文字数など違いはありますが、タイプ的には慶應の文系学部(特に経済学部?)と似たようなスタイルですね。

この形式の注意点は、問1を外すと「本文を正しく読めていない」と判断されてしまい、本文の内容を踏まえて記述する問2の点数も満足にもらえなくなる傾向にある点は注意が必要です。

合格する人の作戦は「とにかく問1を外さない!!」ということです。

【小論文の対処法】

基本的に小論文は攻めの科目ではなく、守りの科目になります。

なぜなら、会心の出来を狙って、自分の中でうまく書けた!と思っても、採点者によっては、あまり満足に点数がもらえなかったりするので、他の人と大きく点差を広げにくい科目だからです。
*採点者によって点数が大きく変わるのは不公平なので、点差がつきにくいのは仕方がないとも言えます。

逆に、誰が見ても間違っているミスであれば、容赦なく減点されてしまうので、誤字脱字や論理矛盾は厳禁です。
そのため、小論文も、英作文などと同様で「減点されない答案を安定して作成できる人が合格しやすい」ということですね。

要約の書き方はある程度パターン化できるので、需要があればまとめたいと思います。(コメントなどいただければ対応いたします)

【合格答案のポイント3点】

  1. 問いに答えていること

  2. 誰もが納得できる答案であること

  3. あまりに無難(当たり前)すぎないこと

  1. 問いに答えていること

    当たり前のことなのですが、意外とみんな問いに答えられていないんですよね・・・。
    例えば今回の問題であれば、問1は要約する問題ですが、要約するってどういうことかわかっていない人も意外と多いんです。例えば、要旨と要約の違いがパッと答えられない人は要注意ですね。
    生徒の答案を採点していても、聞かれていることに答えられていない・問いに沿っていない答案は結構多いです。前回ChatGPTに答えさせましたが、それも問いに答えたとは言えない解答でした。
    問2についても本文の内容を無視して、書きたいことを書いてしまっては問いに答えたことになりません。あくまでも「本文の内容について」自分の考えを書く必要がある点には注意が必要です。

  2. 誰もが納得できる答案であること

    合格者の答案というのは、決して奇抜な内容や極端な内容ではありません。
    ある意味普通なんです。「確かに〜」と大半の人が思える内容で十分なんです。「社会に一石を投じよう!」などと意気込まなくて良いということですね。

  3. あまりに無難(当たり前)すぎないこと

    2番目と矛盾するように見えるかもしれませんが、当たり前すぎる内容でも説得力が薄まってしまいます。(加減が大事です)
    例えば、「以上の理由から、人の命を大切にしなければならないと考えました」と書いても「いや、そりゃそうでしょ。」とツッコまれて終わりです。そんなことは自明なのでわざわざ論証する必要が薄いですね。

    でも、意外とこういう当たり前すぎることを書いてしまう人は多いです

    ちなみに、そもそもここまで漠然とした内容でまとめてしまうと、もはや本文の内容に沿っているのか?と思われてしまう可能性があるので、あまりに抽象度が高かったり、自明な内容は避けるべきでしょう。

    これを防ぐためには、自分の意見を展開する際に、どういう問い(主張)を設定するのかが大切になります。

    ただ、どういう問いを立てれば良いかについては、唯一の正解があるわけではありません。だからこそ赤本などでも小論文だけは解答例が載っていないことが多いのかなと思います。(憶測です)

    そのため、これについては一人一人練習が必要なので、基本的には授業・添削で鍛えていくところになります。授業での対話を通して、あなたならどういう問いを立てると書きやすいかを問題毎に明らかにしたり、何を書けばよいかわからず手が止まってしまった時の発想法(いくつかあります)を使って練習しながら、最終的に安定して守りの答案が書けるように仕上げていきます。

他にもポイントはあるのですが、最低限守って欲しいポイントを3つ挙げました。自分の答案を見直す際にも意識してほしいポイントですね。

【解答例】

**以下私が30分程度でざっとまとめてみました。満点解答ではないですが、最低限不合格にはならない程度にまとめたつもりです。

問1

何でも要領良くこなすのではなく、負荷がある方が生きていることを実感できる。そのために、自分がどこまでできるのかという「胃袋」の強さを知る必要があるが、これは他人とかかわり、状況を背負って絶えず挑戦することが必要だ。他方で、目の前の問題から逃げると、似た問題に対処できなくなってしまう。自分がどこまでできるか、できないかに迷うのは当然であるが、迷い、挑戦し、失敗を繰り返すことで自信を得ることができる。
200字

問2

 医師は、他人のために働き、患者やその家族の状況を背負い込む仕事であるため、「胃袋」の強さを知るために、絶えず挑戦することが求められる職業であると言える。特に医師の場合は、その挑戦が患者の自己決定権とも深く関わるため、他者とかかわりながら目の前の問題にぶつかっていく姿勢が大切である。
 しかし同時に、医師が自信を持って挑戦できる環境を作っていくことも重要であると考える。
 なぜなら、医師の仕事は患者の生命・身体に関わる重い責任を伴うものであるため、安易に失敗することができず、気軽に状況を背負い、挑戦することが難しい職務内容であるからだ。
 そのため、医師一人一人がミスをしないための準備を徹底すべきである一方で、すべてを個人の責任とするのではなく、重大な失敗を犯さないための制度設計を行うことで、自信を身につけられる環境を作っていくことが重要であると考えた。

379字(句読点と空白を含む。解答用紙がないため、厳密に指定字数内かわからないのですが、改行を想定して少し短めに書いています。)

以上です。ここまでお読みいただきありがとうございました。

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