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メジャーリーグおよびマイナーリーグの投手における尺骨側副靭帯再建手術の疫学

米国の野球界では有名なCamp氏らによるこの報告書は、プロ野球における尺骨側副靭帯(トミージョン靭帯)再建手術に関する疫学情報を提供することで、特にその手術の結果と選手としての活動”生存率”に焦点を当てています。

MLBの傷害管理システムを含む3つのリソースを組み合わせ、1974年から2016年までにトミージョン手術を受けたすべての投手を照合しました。そしてそれぞれのケースの負傷日、手術日、復帰率、欠場期間、および再手術の有無が含まれました。

手術を受ける直前のプレーレベル(メジャーvsマイナー)別に、時間の経過に伴う傾向も総合的に分析されています。競技復帰に関する分析には最低2年間の追跡調査が必要とされました。

結果メジャー&マイナー両リーグにおいて42年間で1429件のトミージョン手術が確認されました。一次手術また再手術の年間件数は有意に上昇していることが分かりました。

大多数の選手(83.7%)は平均435日で競技復帰し、全体の72.8%は平均506日で手術を受ける前の競技レベルに復帰していました。統計的にメジャーの選手はマイナーの選手よりも競技復帰する可能性が高かったようです。

再手術を受けずにプレーを続けた平均活動期間は3.8年で、一次手術の場合は3.9年、再手術の場合は2.9年でした。再手術に至った確率は6.7%で、メジャー(9.4%)の方がマイナーリーグ(5.2%)よりも高いことが分かりました。

米国でトミージョン手術は10代の子供からプロの野球選手まで、どの年代でも幅広く行われていますが、決して成功率が100%ではないことが理解しておいた方がいいかもしれません。

また術後に球速が上がったという選手がいますが、それにはいくつかの可能性があるものの、手術自体に球速を上げる効果はないとおもいます。

論文のリンクを貼っておくので、興味のある方はどうぞ。

https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S1058274618301149

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