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【前編】広島湾岸TR完走記

広島湾岸トレイルラン走ってきました!

6月からずっと湾岸わんがん言ってましたが、とうとう今回で一区切りです。自身の計画よりも1年繰り上げて挑戦した初の100kmレースは、28時間を目標にスタートして、28時間55分で完走する結果となりました。整理された見せ方は他所でやりゃいいので、この完走記ではレースの振り返りを通じて、大会情報と感謝の気持ちとちょっとした面白みを残すことを心掛けて書きました。前中後編と3本立てになっています、よろしくお付き合いください。

自宅ーSTART(広島市)

博多駅での新幹線の発券待ちが大行列で、「ばり得」を利用して安値で予約していた新幹線に乗り遅れた。後発の新幹線に乗るために8500円の高い授業料を払い、先発した友人たちを追い抜いて広島駅に到着する。ところが今度は降りるときに2つの荷物のうち片方を車内に置き忘れて大慌てで取りに戻った。とにかく何かと落ち着かない前日のスタートだ。今日はそういう日なんだろうと気を引き締める。同じ便に乗るはずだった友人たちと駅で無事に落ち合い、駅ビルで念願のお好み焼きにありつく。むぎゅっとしていて、風味がよくて美味い。

@広島駅EKIEの麗ちゃん

受付の会場は太田川沿いの中央公園。川幅があって空が広くてとても居心地がいい。何をチェックされるか分からないんだからと割り切ってトレランザックへのパッキングまで終えていたので、必携品チェックはちょっと手間取った。段取り合間に汗が流れるような暑さで、数日前まで涼しかったのがかえって恨めしい。そのまま参加賞などをいただき、ドロップバッグを預け、会場の空気を吸ってみる。ダイソーが冠スポンサーだったので「百均で揃う必携品フェア!」みたい出店を期待してたんだけど見当たらず。面白いと思うんだけどな〜。

九州メンバーとウェイーってする。
別府さんと同じレースを走れることが嬉しい。

前夜にお酒を飲むかどうかは散々迷ったんだけど、結局は「いつも通り」であることを選んで軽く楽しむ程度にした。あくまでも軽めに、居酒屋と鉄板焼き屋とカラオケと飲み屋(ボカして言うw)をハシゴした。前夜祭が捗り過ぎて終わらない。広島湾岸TRのストロングポイントだ。都市型トレラン大会の弊害だ。カプセルホテルで明日の準備を整えて横になったのは22時だった。

月例会メンバーと別れたこのときまだ19時。
広島の夜はここからだった

大会当日の朝の準備に何分かけているのか実は分かってなくて、レースのたびにアラームを何時に鳴らすか迷う。今回は90分。ちょうどよかったので覚えておきたい。乳首の擦れ防止に貼っておくテーピング(の切れ端)にはジンクスのようなものがあって、以前は菱形に貼っていたんだけど今年の春からはずっと3cm×5cmに切ったテープを逆ハの字に貼るのが気に入っている。ちょうどアイアンマンの顔みたいになる。写真はない。

同宿だった鹿児島のちりちりと、出雲のモンゴさん、米子のけんちゃんと会場に向かう。「今から24時間くらい山の中をマラソンするんす」とタクシーの運転手に話すと、『そうですか~、達成感がありそうですね~、でも、少しじゃ物足りなくなってだんだん長く遠くなっちゃうんですかね~。』と真理の扉を突然開けられて戸惑う。

ほどなくして、少しの距離じゃお薬が効かなくなってしまった変態の集会場に到着。九州の仲間たちが集まって写真を撮ったり、なるべくいつもの雰囲気を作る。いつもクールな熊本の前田さんが「こんなに緊張するのは~~」なんて言っていたけど、わたしはどうだったかな。時はきた!

写真撮ろうぜ〜と集まった九州勢
ほんとはもう少しいたはず

STARTーA2(緑化センター19.8km)

・区間距離 19.8km(1385m+)
・区間タイム/通過タイム 4h18m(計画 4h19m)
・松笠山、二ヶ城山、★呉娑々宇山、藤ヶ丸山

スタートしてからの入りのペースは普段と同じくらいを意識したのでキロ7:00ちょい。河川敷を淡々と走ると後ろから声をかけられ、振り向くと山村君だった。福岡のストラボさん、橘湾岸、秋吉台など出先でばったり出くわすマンで、そのたびによく話すのだけどSNSは積極的にやってないらしい妖精のような存在。当然連絡先も知らない。彼はとくに先を行きたがるでもなく、聞けば「レースの中間で14時間くらい」っていうわたしにとっても快適な計画を立てていて、であればと同行することになった。

「呉婆々宇山」登山口と妖精

序盤の難所である呉娑々宇山を含むA2までのこの区間でやりたかったのは、事前に作ったタイムテーブルと当日のがんばり具合のすり合わせ。汗のかきかた、補給食の入り具合、自分の状態をなんとなく確認。A2までは少々渋滞していたものの、28時間完走を目標に作った予定表と実際のエイドアウトの差は1分程度だった。前夜祭で広島の夜の街を4軒ハシゴした割には高精度で非常に好ましいし、20kmの距離を体調確認だと言えるなんてわたしも出世したもんだよね。

A2ーA4(スポーツランド46.6km)

・区間距離 26.8km(1728m+)
・区間タイム 6h55m
・通過タイム 11h07m(計画 11h13m)
・三本木山、★木ノ宗山、★鬼ヶ城山、白木山

レースは前半戦の核心部へ。A2緑化センターから三本木山を越えると目の前に小さいくせにやたら存在感のある山と正対する。あれが木ノ宗山やろな~と予想しながら福田地区に下りる。まだ昼前だったけど結構な暑さを感じて、電解質の補給タイミングを少し修正。コンビニに寄り、2Lの水を買って頭から被った。その辺の沢より冷たいし、なにせ有料なので贅沢な気分が清涼感を加速する。1人で使い切るには量が多かったので、その辺にいた知ってる人知らん人にも被らせてあげた。ちょっとした宗教のようだった。

木ノ宗山への急登はまだ序盤だったし、たかだか300mアップだからまだ良かった。とにかく楽にとにかく楽にと急登を上りこなしていくと何やら看板が見えた。そろそろ頂上だろうか。

「ここから急登」
ここまでのは何だったのか。

たった400mそこらの、しかしほかのどんな山にも形容し難かった木ノ宗山から下りるとA3上深川。時刻は正午を回り、リスタートできそうにないゾンビが湧き始めているのがパッと見でわかる。たしかに暑いけど、わたしにとってはやっちろドラゴンの時ほどではなかったし、補給食も余裕で食べれている。負の雰囲気に引っ張られずに、菜っ葉で巻かれたおむすびをひとつ頂いてエイドアウト。
3kmで700m上る鬼ヶ城山の取り付きに、佐賀の江口さんがいた。ボラ参加なんだろうかと尋ねると個人で応援に来たんだという。あほなんだろうか、いや最高だ。同じ広島でも見知らぬ山中でのレースだったらこういうのはなかっただろうなと、都市型トレイルの恩恵ともいえる元気と勇気を分けていただいて前に進んだ。

ありがとうございました!

しかしながら鬼ヶ城山に至る3段ロケットは想像以上に厳しくて、足元が滑った拍子に脚が痙攣してしまった山村くんが休憩を取るというので、ここに残して行くことになった。付き合って休止することも一瞬考えたけど付き添う必要はなさそうだったし、自分の28h目標に拘りたい。

一人で進んでいると、今って楽しいのかな?とかいう疑問がちらつき始める。どこに行ったって知っている顔がある九州のレースじゃなく、急登と激下りの連続だからと言って九州の山に置き換えて考えることはそれほど難しくなく、コース上にスタッフさんが多くいらっしゃってありがたいしエイドもとても良いけれど、どうしても湾岸じゃないといけない理由があったかな。目の前にあるのはただ初挑戦の100kmレースで、エントリー前から何度も何度も書き換えたタイムテーブルの上をなぞるように完走に向かう行為は本当に楽しいんだろうか。

鬼ヶ城山頂から、見晴らしの良い白木山山頂を挟んで38kmのウォーターエイドまでのトレイルはきれいで走りやすくて、余計なことを考え始めていた気持ちが晴れた。ここに限った話ではないのだけど、どのトレイルも(めちゃくちゃハードだけど)きれいに整備されていて気持ちがいい。一週間前に台風が来たのが噓のようだけど、それは大会の中のひとたちの手による連日連夜の復旧あってのもの。本当にありがとうございます、最高です。

白木山山頂だけがウソみたいに開けていた

WAにはちりちりが居て、前腿がどうこう経口補水パウダーがどうこうと言い訳している。わたしとはこのレースに対する心構えが違うようだったので、同級生のよしみは封印してあまり構わずに置いていった。
A4までは8kmほど下りのロードが続いていて、トータル50kmを迎えようかという所でもあるし何となく気分は歩きたい。だけどここって稲佐山峠走のイメージでジョグする区間だったよな~と思い返しながらトコトコとジョグで下る。ちょうどそのころ、声かけずにはいられない感じのお洒落な選手を見つけて「どちらからですか?」と。100km初挑戦で27h目標、『ロードって唯一頑張れるとこなんで』ってこともなげに言い、なのにサングラスじゃなくてなんか伊達メガネで、キャップに「泥酔」って刺繍してあった(もうたまらんw)高知のさわさんと、なんとなく一緒にがんばりましょうねって感じになった。

A4に到着したのが17時ごろ。持ち場を終えて応援に来てくださっていたボラ参加のMJとニータさん、そして空田さんに元気をもらい、ここで夜間走の準備をし、股ずれ対策のテングバームを塗り直し、おいなりさんをいただいてインスタのストーリーをあげる。今回SNSをいじるのはA4、A7、A8~9間にあるローソン、武田山、A10の4か所だけと決めていた。これでもまだ多すぎるけど、わたしにとってはこれまでよりも真面目にレースと向き合うためのけじめのつもりだった。

中編に続きます!

トイレでやれ



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