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松坂の引退に寄せる秋の物憂げ。

同い年の松坂が引退するんだそうだ。

もちろんそんな親しい間柄ではないのだけど、1980年に生まれた世代で僅かにでも野球を通ってきたひとであれば、ひとつの時代を作った素晴らしいピッチャーが現役生活を終えることについて、隣のクラスのあいつがみたいなトーンで口にしたくなる気持ちを共感してもらえるんじゃないかと思う。

引退するプロ野球選手がほとんど年下になった。うわあ。

高校球児がみな年下になったときの「歳をとった」は、後輩が増えた程度の軽い意味合いしかなくて大して響かなかったけれど、今回のはもう少し大きな質量を感じるような気がしている。スピードが鈍ってきた思考、なかなか落ちない腹周りの脂肪、増えにくくなった給料、きっと折り返し地点を回った残りの寿命。現状になんとなく頭打ちを感じ、これから先の人生を思いやってセンチメンタルになっているのが自分でよくわかる。

とは言ったけど、もうすこし頑張ってみようと思ってはいる。残り40年(そんなに長いのかどうか知らないが)を昏い感じで生きていくというのはさすがにまだ早い。ランニングやトレーニングは変わらず楽しみたいし頑張りたいし、たくさんの本を読んで自分のアタマをはたらかせ、社会との繋がりを感じながら生きていたい。趣味は引退しなくていいというのは良い。

そして、それだけじゃなくて、もう良い歳になったんだからと雑に扱い始めていたひとつひとつのことをもう一度ていねいに生きてみようとも思っている。これまでと同じ軸の上での成長が望めなくなったというだけで、別の方向に伸びていけるベクトルがあると、今ちょうど乗り換え駅に来ているのだと、そう捉えてみると何か湧き上がってくる気持ちがある。もしかしたら乗る電車を間違えて晩節を汚す、ということになってしまうかもしれないけれど、そもそもプロ野球選手じゃないんだし自分のセンスはそこそこ信じられるものだし、ある程度は好きにやってみよう。

、、、といったようなことを週末に考えながら、部屋の掃除をした。自分の部屋の掃除が本当に苦手で周りには「本当はゴミ屋敷に住んでる」って話してるけど、SNSで造られる虚構と現実とのギャップは大きければいいというものでもない。

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これは虚構。

締めの話題に余談を挟む。4~5週に一度くらいの頻度で、遠出したり頑張ったりしない週をつくって身体と心を休ませてあげるようにしていて、これが結構フィットしている。走る距離は抑え、トレーニングも軽く、食事制限もあまり気にせず、しっかりめに部屋を掃除して、SNSから遠ざかる、などなど。なかでも軽いジョグの後で岩盤浴に行くのが特に気に入っていて、温冷温冷と数セットで汗をかいたあとでロウリュで仕上げると、身体の表面の摩擦抵抗がいくらか下がったんじゃないかというくらい肌がサラッサラになって気持ちがいい。

そういえば、ロウリュで石にお湯をかけたり大団扇で熱風を浴びせたりしてくれるバイトの子が自己紹介したり、そのことに客が拍手を送ったりするあの慣習はなんなんだろうって不思議に思ってるんだけど、余談が過ぎるのでここまでにしておく。

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