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東北のおいしいこころ〜宮城県のしそ巻き(の、ちょっとしたミステリー)〜

 イタリアのマンマ。韓国のオンマ。日本のお母さん。私は世界中の「お母さん」が作る料理が大好きです。男女平等が叫ばれている世の中ですが、お父さんが作るものとお母さんが作るものって、おんなじではないよねぇって思います。

 ご縁あって、だいぶん前に宮城県のおうちを訪ねたことがありました。田んぼや畑と山があって、家々がちょうどよく馴染んでいる風景に、お父さんとお母さんが住む家がありました。
「まぁまぁ、遠くからよくきたね、寒いだろ、部屋をあったかくしてあるから早く入んな」

 畳の部屋のこたつにみんなで入って、お父さんを中心にしてお話をしていると、お母さんが食事を持ってきました。「おなか空いたろ、たくさん作ったから遠慮なく食べなぁ」根菜の煮物や、葉ものと調味料の炒め煮、お醤油やお味噌の味付けのいろんなお料理が山盛りで運ばれてきました。仕込みにどれだけの時間をかけたんだろう。
 大きくカットした根菜がゴロゴロしている煮物はどこを食べても味がしみしみで、炒め煮の種類の豊富さに驚きました。畑を持ち、冬は極寒の地域に住む人たちの元気の源は、ごはんがススム濃い味のレシピは各地に無数にあるのかもしれないなぁ。

「これも、おいしいよ」お母さんが持ってきてくれたのは「しそ巻き」でした。 甘味噌を大葉で包んで油で揚げたもので、ごはんのお供にもお酒の肴にもなる、おそらく日本からは門外不出の宮城の郷土料理です。
 と書いたものの、私が住んでいた静岡県中部のスーパーにも置いてあって、小さい頃からふつうに食べ馴染んでいたので全国区の食べものだと思っていたんです。この記事を書くに当たって改めてウィキペディアで調べてみたら「主に食べられている地域は、遠州、宮城、秋田など」という記述があって驚いちゃった。 
 郷土料理レシピとしては宮城県のものだというものも多くありましたので、きっと元々は宮城から広がっていったレシピなんだとは思いますが、なんで静岡県に飛び火してるんだろう?いつ頃かに東北と静岡との間で何かしらの交流があったのかもしれませんね、今になって未知のご縁に感謝を覚えました。

 宮城のお母さんのしそ巻きはお手製です。私は出来合いのパックに入ったものしか食べたことがなかったので、手作りできるってことにまずは驚き、おいしさに感動しました。
 食べられる期間を延ばすための保存料などが入っていないから感じるお砂糖やお味噌の本来の甘さと、良い加減の塩味と、大きさ、揚げ具合。これがほんもののしそ巻きか!と、目を丸くしておいしいを連呼しながら食べました。「そうか、んまいかね」お母さんはうれしそうに言ったと思います。
 静岡に帰るときに、お母さんはしそ巻きをタッパにたくさん入れて持たせてくれました。

 東北には、おいしい食べもののレシピがそこかしこにあるようです。
「郷土料理」土地と、そこに住む人が一緒になって生み出されたレシピには、宮城のお母さんのしそ巻きの如く、風土と食べる人への愛情が込められているのだと思うんだよねぇ。郷土料理のこと、一生をかけて知り、学んでいきたいと思っています。

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 今日も、最後まで読んでいただきありがとうございます。
「お父さん」と、「お母さん」で、いいじゃない。男の人と女の人、同じじゃないから補え合えるのよね。男も女もおんなじようになんでもできたら、世の中どうなるだろうか。

いろいろあるけれど、明日もまた読んでいただけたらうれしいです。

先日、東北の太平洋側で起きた大きな地震で、お父さんとお母さんのおうちがある地域の震度が強かったので心配しています。

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